第25話 Pirate attack

 上陸寸前の白い奴を止めようと、飛行結晶で飛んで正面からグングニルを構える!

 因みにコロちゃんにも飛行結晶が付いてるにゃ!


 ゴリラっぽい海中生物でヌメヌメしてて目が虚ろで怖すぎる!


 グングニルを投げようとすると、背後から凄まじい数の銃声が私に向けられる!


 こっそり障壁・花鳥風月を張ってたから問題ないが、分かりやすい奴らだにゃー…




「さぁ、そろそろ本音で話そうか!お前達、盗賊か海賊なんでしょ?全員!」


 村長が前に出てきて嫌な顔で笑う。


「なんだ…クソガキ気付いてやがったのか?ま、放火で殺しそこなったからしゃーねーな。そうよ…俺達ゃ海賊よ、村人全員俺様の子分さね!」


「ここに本来いた村人達は?」


「安心しな!俺の海賊船に……なーんてあるかよ!全員スキルで海の果てまでぶっ飛ばしたよ!海洋生物の餌が沢山増えていーじゃねーか!」


 全員がゲスい笑い方で大笑いする。

 そして足並み揃えて全員で銃を撃ってきた!


 グングニルを高速回転させて弾く!

 何人かに跳弾して当たった様だ。


「もう終わりか?至近距離で全員で撃っても私には当たらないぞ」

「くっそ、村を乗っ取る前に村長が余計な奴呼びやがって…」


「一体何が目的だ!?」

「あ・れ・さ」



 後方を振り返ると、男が一人回り込んだのか魔獣に走っていく!


 そして人間離れした跳躍で魔獣の頭に乗ると、男の身体が黒い塊になり魔獣の頭に染み込んでいく!

 あいつウォーカーだったのか!?


 魔獣の動きが停止したかと思うと、頭を一回頷く!

「乗っ取ったか!エギル!そのチビを殺せ!」


「成程、ウォーカーを使って魔獣を手駒にする為に、村人を全員…道理で貴様達の作るご飯が不味い訳だ!」


 魔獣が口から水流のような物を吐き出す!

 面積が広かったので花鳥風月で防御し、魔槍を構える!


「コロちゃん、ライトニングモード!魔槍よ、穿うがて!」


 コロちゃんが薄そうな背ビレを頑張って1本ずつ折りにかかっている!

 魔槍は額に撃ち込んだが…硬い!

 半分位しか刺さらず戻ってきたから致命傷に至っていない!


 あれを使ってみるか!

「攻防自在の型!」


 戻って来た魔槍の力に私の倍の力を上乗せして…

「貫け!魔槍よ!」

 薄そうな腹の下を狙ってみると、貫通出来た!

 実感なかったけど、やはり魔槍の通常技は私の力をベースにしてたのか!


 バチン!


 大型生物と思えない速度で叩かれた!

 直前で花鳥風月を出したが、砕かれてそのまま岩壁に当たる!


 転がった私をコロちゃんが守りに来てくれる!

 特大火球を無数に出し雷を纏わせ魔獣に飛ばした!

 雷が聞いてるのか多少怯む魔獣!


 回復を自分に掛けてるけど、衝突ダメージが思ったより効いている!


「全員、命を散らす準備は出来たか?」

 王が戻ってきた!!!

 あ、意識が…






 式部が怪我している…コロちゃんが守ってくれてる間に全て済ます。


「はぁー?死ぬ準備?お・前・が・死ぬんだよ!太古からまつられてきた魔獣をお前如きガキが倒せると思うな!」


名も無き武器解除ネームレス・リリース

 全員を一薙ひとなぎし、海賊達の武器が一つ残らず破壊される。

技術破壊スキルブラスト・フルバースト!」


 何百人いるか知りたくもないし、興味も無いがスキルは全て破壊した。



「私の相方を怪我させた罪は何よりも重い…死を持って知れ!」

 名も無き刀を構える。


名も無き封印ネームレス・シール解除リリース!」

 ズバァン!!!


 蚊を叩く様に私を潰そうと両手を合わせたが、その程度で封印解除した私を捕まえられるものか。


 今度は空を掴む様に片手で飛んでいる私を潰そうと狙ってくる。


名も無き一之太刀ネームレス・ワン二連ダブル

 高速移動斬りを二連続で放ち、両腕を一瞬で斬り落す。


「気安く触れようとしてくれるな」

 魔獣が痛みで唸り超えを上げるがもう伸ばす腕もない。


機械仕掛けの神デウス・エクス・マキナ襲撃の魔狼アサルト・ウルヴズ!」


 デッくんとフレキとゲリが魔獣に襲いかかる。



 地面に降り立ち、振り返ってゆっくり歩みを進め、海賊達の正面で立ち止まり、指をパチン!と慣らし結晶で豪華な椅子を作って座り、足を組んで片肘をつく。

 封印解除のままなので目は赤く光ってるし闘気を纏ってるいる姿はさぞかしいかついだろう。


「で?」


「な、なんだ?」


「アトラクションはもう終わりか?」


「………くそっ」



「この村の者が全員服と違う日焼けをしていたから、余所者よそものの浅知恵だとすぐ理解した。最初に魔獣に人の味を覚えさせたのもお前だろう。もう理解しているだろうがスキルも武器も残らず粉砕した。貴様達は一人残らず殺す。私の相方を怪我させた魔獣は私が手を下さず共その内死ぬ。後はお前達の死ぬ順が遅いか早いかだ。さぁ、私を億が一倒せたら生き残れるかもしれないぞ?」


「……わ、悪かった…見逃してくれ」


「謝罪しろと言ったか?そんな事は一言も発していない。この村の住人に同じ事を言われてお前は助けたか?私はここで全員短い命を終わらせろと言ったんだ」



「くっ……クソガキが偉そうにっ!」


 まぁ、海賊の親玉となれば、武器が無くともそれなりに動けるか。

 飛びかかってジャンプから斜めに蹴り下ろしてくる。


 見てから一瞬で蹴り足を刀で落とし、そのまま胴を斬り、逆の足を斬り、首を貫き、刀に沿って上半身が目の前に滑り降りて来る。


「…地獄に落ちようと、百億回生まれ変わろうと、私の顔を忘れるな…魂に刻み込め。我を恐れろ」

 言い終わると死んでたから横に無造作に捨てた。



「次」


「ひっ!」


「次 は 貴 様 達 だ」


『ひぃぃやあああああああああああああああああ!!!!』



 全員逃げたか、よし。



 見えなくなったのを確認して式部の処に飛ぶ。


 自分で回復してたようだが気を失った様だった。

生命の安定スタビリティ・オブ・ライフ、月光の相愛」


 岩場で後頭部が痛そうだったからタオルを敷いて、出血を拭いていると式部が意識を取り戻した。


「ふぁっ!?川の向こう岸でジェイソンが斧を振ってたにゃ!」


「ん…、まだふらついてる…人工呼吸した方がいいな」


「え?ぁん」


 ………


「どうだ?まだ気分が良くないか?どこが痛かった?ここか?」


「ん!ちがっ」


「違う…ならここか」


「ん…ふぁ!王よ、封印!封印!」


「あ」

 再度名も無き刀の力を封印し、目の光と闘気が消える。



「月花が封印解除するといい感じになる…メモメモ…」


「何メモしてるの?」


「なんでもないにゃー♡…しかしあんな大振りに当たるとか…」


「たまにはそんなこともあるあるー!気にしなーい!」


「キスして貰ったから今日は負けでもいいにゃー!♡」


「調子いいんだからー」



「あれ?海賊達は?」


「さっき捜し物で離れてたじゃん?近くを探したらやっぱり海賊船があったから、マストだけ折って、この島の隅っこにあった脱出用の船も念の為全破壊して、隣の国の海兵さんに捕まえてもらいに来てもらった!多分皆海兵さん達を見て戻ろうとするけど、花鳥風月でこの島の端に追い詰めたから逃げ場なし!」


「更生してほしいにゃ!あれ?魔獣は?」


「あ、見えた。デッくんとフレキとゲリがなぶってる」


「さっき闘っておいて何だけ、少し可哀想になってきたにゃ…」


「もう眠らせてあげよう。彼方よりの星光スターライト・ビヨンド!」

 頭から胴体まで極太ビームが撃ち抜く!


 デッくんとフレキとゲリを戻して、塵は塵にダスト・トゥ・ダストで全てを無に返した。

 もしかしたら本当に神様だったのかな?

 ごめんなさい。


「ウォーカーと同化した海賊が居て、頭に取り付いて乗っ取ったみたいだったにゃ…」


「またウォーカーか……アナザーバースでは予想外の動きばかりだね…あ、式部!隣の国に行っていい?」


「良さげな国だった?」


「うんうん、大きな国だし、美味しいもの在るかも?海賊逮捕に出て貰ったお礼も言いに行かないとね!」





 飛行結晶飛んで、諸島を抜けて次の大きな島を目指す。


 水滴状の島で太い部分にすり鉢状に街があり端に城がそびえ立っている。

 水滴の先の辺りが港町になっている。


「上から見ると凄いね!形が面白いにゃ!」

「うんうん!まずは海兵さん達にお礼しに行かなきゃ!」


 さっき行った海兵団の詰め所に人が居たので頭を下げる。


「あー、さっきの子ね!助かったよ!危うく近隣に大被害が及ぶ処だったよ…あと…捕まえた海賊が酷く怯えきってて、失禁してる奴も居たんだが、一体君達何したの?」


「大きな怪物が怖かったんじゃないですかー?こんな可愛い女子二人を怖がるなんて失礼ですよねー♡ピヨ」

「あざとい上にピヨが遅いにゃ♪」



「あと、村の人達が犠牲に…」


「それは…君達が着いた時にはもう如何しようも無かったんだ。二人が気に病む事は無い」


「ににっ!」


「おっと失礼、三人共気に病む事はないよ」

「にー♪」


「村自体は良い処だからね!移民が増えたらまた活気が出るだろう」


「また、怪物がお酒を楽しみに来てくれる様な素敵な街になるといいですね」




 ヒュ――――――パパパパパーン!!

 遠くの方で花火の様な音が聞こえる。


「何?お祭り?」

「いや、これは……もしかして!」



 海兵さんが慌てて外に出て埠頭で単眼鏡の伸ばす。


「天を識る瞳!」

「遠視の魔眼!」


「四キロ先位に船団が…」

「…赤いドクロの旗が付いてるにゃ…」


「君達のスキル凄いね!赤いドクロの旗印は、君がさっき倒してくれた海賊団の残りだ…タイミングが良すぎる…」



「前から狙われてたりした?」


「我が国にある財宝はフォースアイテムが多くてね…事あるごとにとあるアイテムを寄越せと言われてたが…」



「あ…それで魔獣か!」

「どういう事ですか?」


「奴らは隣の村の魔獣を配下に付ける算段をしていたんだ。そこに村長が亡くなる前に依頼した私達が来たから計画が頓挫とんざしちゃったんだけど」


「もし、私達が来なかったら、魔獣が城や街を破壊して、こちらから船団で一気に国を乗っ取る気だったのかもしれないにゃ…」


「そんな恐ろしい…奴らは大所帯なのであの船の数で押されたら…でも魔獣は死んだのになんで!?」


「きっと定時に動く手筈だったか、連絡が途絶えたから痺れを切らしたのかもにゃ?」



「船長は死んだと聞きましたが、まだあの船団には副船長が二人居ます…どちらも好戦的で残忍で有名で、あちこちで略奪を繰り返して人を殺す、さらう、売る、とやりたい放題です」



「お仕置きが必要な訳ね…どうしたらいい?」


「え?」


「全殺し、半殺し、普通殺しの三コースあるにゃ!」


「小豆の潰し方みたいな軽い言い方なのに全部殺意が高い!いや、先ずはこの街の防御、それから海賊団は出来るだけ生きて捕まえたい…どんな下衆でも、殺さず生きて罪を償わせます」


「いい事行う!じゃ、広い留置所と、沖で全部沈めちゃうから助けに行く準備も進めておいて!」


「…可能なんですか?」


「悩みの種は減る方がいいにゃ♪」



「花鳥風月・広域展開!」


 障壁を船団がいる方向に大きく展開した瞬間、射程距離に入ったのか大砲の弾が着弾した!


 大きな音と共に何発か風切り音が聞こえ、上空から砲弾が落ちてきた!



流星蝕エクリプス・メテオ!!」

 上空に対象を抉り取る流星を放つ!


 削り逃した数発は式部のグングニルが殲滅してくれた!


 花鳥風月をもっと高く伸ばし、上から攻撃されても砲弾が止めれる様に貼りなおす!



「海兵さん、念の為付近の避難を!私達は行って来ます!」

 二人で飛行結晶で飛び立つ!



 思ったより早く進んでいる…


「沈めちゃうかにゃ?」

「手っ取り早いの賛成!」


「進撃せよ魔槍!!!」


 十隻以上の船団の船底に魔槍が海底から大穴を空けて進んでいく!!


 こちらに砲弾が向くかと思いきや、人が二人程飛んで上がってきた!


 飛行スキルはレアだから珍しい!



 飛び上がってきたのは赤い服で筋肉質、左腕が機械の様な奴と、青い服で赤いのとは逆に痩せ細っていて、両手に銃を構えている。


「何してくれてんだおいぃ!」

「ボス不在を狙ってくるたぁ、どこの海賊だゴルアァ!!」


「あ、さっきボスは死んだよ。魔獣ももう来ないから」



「…そうかい、お前達が計画を台無しにしてくれたんならぁ…償ってもらわなきゃいけねえよなぁ!!」

 赤い方がこちらに飛び掛かり、青い方が式部に発砲していた!

 この二人、技術破壊スキルブラストすると落下死しちゃうから使えないし…相手してあげるか!


 赤い方が偃月刀えんげつとうを取り出し、名も無き刀と火花を散らす!

「ほぉ、フォースアイテムか!ボスと魔獣をやったのがそいつなら、お前を殺して貰い受ける!!」

「やってみろ!!」

 偃月刀が固い!これもフォースアイテムか!?


 激しく斬撃を連続で繰り出してくるが、そこまで重く強い訳ではない!

 全て刀で受け流す!


激震の波動クエイク・オブ・ウェイヴ!」

 強烈な振動が相手に伝わる!

名も無き一撃ネームレス・スラスト!」


 スキルの効果中に突きを入れるが偃月刀で受けられた!

 再度相手が斬りかかってきたので刀で受け流した!


「降参しろ、お前達じゃ私に勝てない!」

「良い腕だが、勝敗は腕だけで決まらない事も覚えておけ!」

 剣を掴んでいた片腕を離し、突然私の腕を掴んだ!


「煉獄の氷結!!」

 な、この機械の腕!身体が凍






「いへへへへぇ!届かねぇな届かねぇなぁ!銃!最強!」

「笑い方が気持ち悪い!!」


 槍を回して、銃弾を打ち落としていたら…月花が大きな氷に包まれ落下していく光景が視界に飛び込んできた!



「レクス!!!」





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