第12話 Unrequested kidnapping
皆で食事が終わり、小町ちゃんが後片付け中に式部と二つ名の話をする。
「決めるの楽しいけど、いざ呼ばれるとテレそうだよねー!」
「分かる!付けたはいいが呼ばれ慣れるまで恥ずかしくなりそう!♪」
「月花、パパにも二つ名あるよー!自分で付けた訳じゃないんだけど…♪」
「何それママ!初耳だよ!」
「本人恥ずかしいって言ってたから言わないけど、かっこいいよー!♪」
「そうなんだ…
「二人で呼び出して聞いてみようか?」
『
二人の金髪が跪く。
「呼びましたか、我が主」
「縮みましたか、我が主」
とりあえずスリッパで一発殴る。
「私達、通り名というか二つ名を考えてるんだけど、何かいい案ない?」
「ふむ…不敗の魔槍士、麗しき守護華とか如何ですか?」
「うちの子はセンスあるにゃー♪」
金髪をなでなでする式部!
「私は私はー!?なんかかっこいいのがいい!」
「主は…小さいけれど力持ち、胸が無くて隙間に入れます、とか?」
スリッパをもう一発ダイレクトヒット!
「なんかうちの子が主を弄ってくるんだけどー…小町ちゃんめっちゃ笑ってるし!」
「あっはっは!いや、金髪ちゃんのバグり方が面白すぎてついつい♪」
なんか腹立つから
結局決まらずこの日は家に戻る。
帰るとパパとママがレトロゲームでバチバチに熱くなってるのをコロちゃんが慰めるという、私が生まれる前は毎日こんな感じだったのかな?って想像してふふってなっちゃった。
式部何してるかなー?
チャット送ってみよ!
「]ω・)チラッ」
『ママと小花ちゃんと二つ名考えてるなう』
「難航してる予感しかしない(・ω・)」
『漢字でかっこいいの考えても上から被せてくる言葉がジェノサイドとかブラッディとかしか出て来ないっ』
「押し切られない様にね?蒼髪の妖精と書いてジェノサイドストーカーとかにされたら皆引いちゃうからね?」
『ううっ…蒼髪の妖精って言ってくれる月花好きすぎる(ó﹏ò。)』
「頑張って決めようね!(*ˊ艸ˋ)」
『にゃ(=^・^=)♡』
「月花、起きてる?」
「ん?パパ、何ー?」
「《社》が、トーナメント形式の能力審査をやるらしいんだ。参加は自由なんだけど、どうも《社》所属以外の参加者も募って、色々調べようという事らしいんだ」
「賞品とか出るの?あと安全とかも気になる…」
「安全面は、特殊なスキルを事前にかけて、何回かダメージを受けると失格扱いになるらしい」
「何それ!?そんな競技向けスキルあるんだ…」
「あと、勝ち進んだ数だけ《社》からの依頼報酬のベースが上がって、最後まで行くと、金額問わず《社》所有の封印レベル以下のスキル一個貰えるらしい」
「うっ…一回でも勝ったら報酬アップ…美味しいな!」
「出なくてもいいぞ?寧ろ出ない方がメリットが大きいからな」
「危険な目に会わないからとか?」
「いや、今回はライブビューで企業や関係者の観客も入れるんだ。宣伝効果もあるんだが、月花と式部ちゃんの手の内を晒す事になる。それに、スキル欲しさに危険な奴が出るとも限らない。お金には困ってないだろ?《社》の仕事に、ママからのお小遣いもあるんだし」
「うっ…そうなんだけど…パパとママに家を買ってあげたいじゃん!大きな家を買って駒鳥鵙家も合わせて三世帯住宅とか素敵じゃない!」
「うっ…パパ泣いていいかな?お金は…正直色々あって割とあるんだよ…この部屋とオアシカは逢禍が入れない結界が貼ってあるから便利なんだ…」
「え、うちにそんな結界が…」
「うっ…ママも泣いちゃおうかな…」
「パパもママも泣いちゃ駄目ー!出場は式部と考えるね!」
翌朝、久しぶりの学校!
制服久しぶりに着るなぁー!
式部、小花ちゃんと三人で登校し、校内で小花ちゃんと分かれた後、教室に入って先生が来るまで式部とトーナメントの話をする。
「そのスキルってどこまで安全何だろうにゃー?月花の刀や私の槍で攻撃するのは躊躇するよね…」
「
「でも好きなスキル一つと報酬アップはなかなか魅力的…」
「パパも言ってたけど、ライブビューで手の内晒されるのはデメリットだって」
「そうだねー…やめよっか!」
「皆のお家貯金も順調だしね!スキルは買うより掴みとる!」
「流石私の嫁!よく言ったにゃ♪」
「私いい事言った!えへん!」
「私達の安全が一番だもんね!あと…公衆の面前で月花にかすり傷とかつけられてブチ切れる姿を晒したくない////」
「ええんやで式部…愛が伝わるやで…」
「二人とも朝からイチャイチャしてるなー」
同じクラスの仲良し女子、飛火野ちゃんだ!
「でしょー?式部はあげないからね?」
「……ここは略奪愛を仕掛けてドロドロの三角関係を作るべき…?」
「なんでわざわざ抉らせようとするのっ!?」
『式部はあげないからねっの部分だけ録音したかったにゃ…♪///』
ん?バタバタと誰かが入ってきた?
「ごめんなさい!駒鳥鵙さんている!?」
制服のネクタイの色が違うから上級生だ。
「はーい!私ですー!」
「小花こっちに来てないよね?」
「小花ちゃんいないんですか?」
「もうHR始まるのに、教室を出ていったまま帰って来てないからこっちかな?て…」
「式部、気になるから探そう!」
「うん!」
小花ちゃんの顔を知ってる人と、小花ちゃんのクラスメイト皆で探したが、どこにもいない。
念の為パパ、ママと小町ちゃんにも連絡を入れ、おじいちゃんとおばあちゃん家にも結晶飛行で確認しにいったがいなかった。
帰り道、通学路を確認しながら学校に戻る。
学校の周り、屋上、色々探した。
小花ちゃん自体がホラー映画から頂いた凶悪なスキルを多数持ってるから素人に攫われる様な女子ではない。
これだけ探していないのは手練に攫われた可能性が高い…
式部と合流し、捜査状況を共有する。
「どうしよう、不安になってきた…校内に居ればいいんだけど…」
「式部、諦めないで探すよ」
頬を撫でて元気づける。
授業も自習扱いで分かる人だけで探す。
考えたくはないが、事故の可能性も考えて普段見ない場所も探した。
怪我で出血なんかしていたら時間との勝負になる!
事件なのか事故なのか分からないが、
その時、校舎端の非常口からパパが入ってきた!
「パパ!」
「少し観てくる、時間と場所は!?」
「場所はここなの!丁度クラスとトイレの中間辺りだと思う!三人で学校に着いたのが八時前…HRが始まる前だから、きっと八時一〇分から二十五分位だと思う…何処に見に行くの?」
「過去だ、DLB!」
パパが色の違う結晶を斜めに回すと、結晶が高速回転し姿が消えた!
「月花パパ、消えた!」
「過去を見るってそんな無茶苦茶な…」
「あ、ママから聞いたことある!月花パパは時空を超えれるって」
「…マジか…」
突然、パパの消えた空間が歪んでパパが戻ってきた。
「…スキルを使って攫われている。私服の二十歳前後の男だ」
「…パパ、本当に見てきたんだ…」
「警察に電話はしておく。俺も捜索するから、悔しいだろうが今は二人一緒にいて欲しい。これが生徒の誘拐なのか、うちの家系の誰かを狙った誘拐なのか、まずはそこからだ」
「…分かった」
「うん…」
「二人ともいい子だ。警察が来るから教室に入ってなさい」
無力だ…何も出来ないのがもどかしい…
「
「
「先生、パパと知り合い?」
「そうやでー大人の関係やでー♡」
「誤解を招く言い方をするなっ」
何の進展もないまま夜を迎えた。
パパ曰く、空間転移系のレアスキルで一瞬で攫われたらしい。
頑張ってパパも皆も探してくれたが、小花ちゃんの行方は
小花ちゃん…無事でいて
閉店したオアシカで、ママ、小町ちゃん、式部と考え込んでると突然ママが立ち上がった。
「ママ?」
「≪社≫に犯行声明らしきものが出た!」
「何て言ってるの!?小花ちゃんは無事!?」
「≪社≫のネットワーク上にある社内掲示板にただ一言『出ろ』と…」
「これは…」
「私達宛て…?」
「ここ最近で繋がるキーワードが例の≪社≫のトーナメントしかない…」
「何目的なのか分からないけど、必ず後悔させてやる!」
「エントリーするよ!参加表明すれば犯人に伝わって小花ちゃんの安全の確率が上がるかもしれない!」
「うん!私達が今出来る事!」
≪社≫の掲示板書き込みは内部の犯行に思われたが、参加表明してる企業ならば書き込み可能で、尚且つ匿名ソフトを使っていて足も掴めないらしい。
「ママ…パパの時空移動で小花ちゃん助けられないのかな?」
「ん…手を出すのは容易なの…でも過去を改変すると何が起こるか予測が付かないの。小花ちゃんが大怪我や、考えたくないけど…死んでしまう様な事が起こるかもしれないの」
「パラドックス…」
「うん…パパは家族の為なら言えばきっとやってくれる。でもそれで代わりに誰かが…最悪パパも帰って来なくなるかも知れない」
「言わないよー!私と式部はね…ハッピ―エンドのお話が大好きだから!この事件もハッピーエンドで終わらせる!」
「但し、相手はそれ相応の報いを受けてもらう、絶対に!」
「あと、今気付いたんだけどコロちゃんがいないの。もしかしたら小花ちゃんにくっついてるのかもしれない!」
「コロちゃんが居れば少し安全だね…」
人外ならぬ猫外のコロちゃんの働きに期待!
《社》から、今回出場の企業をご案内させて頂きます。
①《社》
②株式会社クロノテック
③アメリカスキル研究財団
④株式会社 鴉
⑤灰薔薇コンツェルン
⑥瓦堂重工
⑦神殿インダストリアル
⑧トライアングル・ジャパン
以上八企業がそれぞれ代表二名を匿名で出して頂きます。
バトルフィールドはこちらが示す無人の世界の座標へ飛んで頂きます。
無人ではありますが、ライブビューでスポンサー様、研究機関の方が観戦し、企業同士で高め合える関係を築く事が狙いとなります。
なお、プレイヤーは勝ち抜く毎に今後の報酬の増額、優勝した二名には《社》から封印レベル以下のお好きなスキルを一つずつお持ち帰り頂けます。
予選の日時ですが…急ではありますが明日正午から行います。
急な事に対応出来る臨機応変さも要求されますので頑張って下さい。
最後に、戦闘のルールですが命の危険がないように戦闘前に全身に特殊なコーティングをさせて頂きます。
このコーティングが三撃、もしくは致命傷を一撃食らったと判定したら控室に戻され隔離されます。
命の危険はありません。
ただし、事前に一人一つずつ危険なスキルをロックさせて頂きます。
「よし、スキルを何個か揃えるよ!予測可能な限りの準備はして行こう!」
「明日にでも全て終わらせて小花ちゃん奪還!!!」
その部屋は扉のない部屋だった。
窓もなく通気口だけがある。
先程まで学校にいた筈なのにここは何処だ?
ただ、トイレ、ベッド、風呂とワンルームマンション程度の設備があり、着替えもある。
「ふむ、脱出した方がいいのか、様子を見たほうがいいのか…」
「ににっ!」
「あら!コロちゃん!ついてきてくれたのね!偉いぞー!見つかったら怖いし、服の中に隠れててね?」
「にっ♪」
「コロちゃんが居るから少し余裕がある…でもスマホがないから連絡手段がない…少し様子を見るかー!」
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