第5話

 窮極集合のなかにたくさんの人類が誕生しました。たとえばひとつのわたしのなかではアニミズムとよばれる原初的信仰がうまれその人類はわたしのなかの森羅万象に『神』をみました。これはあながちもうまいゆえのびゆうではありませんでした。なぜといえばこの宇宙がわたしであってこの宇宙内のすべての素粒子が元来一本の超紐であるわたしなのですからわたしのなかの物質を崇拝することはわたしそのものを崇拝することであったのです。やがて人類はこの『ことわり』を『全にして一なるもの』や『ワンネス』と名付けることになります。とにかく五十回の人生のなかではじめてわたしに『接触』してくれる存在があらわれたわけです。『神』であり『多神』でもあるわたしはもはや孤独ではありません。わたしはきんじやくやくいたしました。

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