第4話

第五十宇宙


 わたしすなわち宇宙に『友達』が誕生しました。

 わたしはかんどくではなくなりました。

 四十億年でビッグクランチをむかえた第四十九回目の人生がしゆうえんをむかえて第五十回目の人生をむかえたわたしはついに百億年まで生きることができたのです。するとわたしのなかの質量なかんずくあんたんたる真空地帯のしようしゆされ銀河がうまれてゆきました。巨億の銀河のなかに銀河系が誕生し銀河系のなかに太陽系が発生します。太陽系のなかに地球がようらんをむかえ神聖ぼうとくすべからざる生命たちがれいめいをむかえたんげいすべからざるあなたがた人類の歴史が夜明けをむかえました。ばんこくの人類は『観測者』でした。巨万の人類がわたしを観測することによってエネルギー状態のわたしは粒子化され同時に相補性をたもったまま波動関数が拡散されてゆきました。ひつきようわたしはけつけつたる素粒子のかずだけプランク秒単位で『分裂』することになったのです。わたしは数学的に計算しうるかぎりのDブレーン型の『膜』として分裂してゆき数学的宇宙すなわち『窮極集合』をかたちづくってゆきました。

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