放課後の楽しさ
1
タイミングを見計らい「じゃーね」とお別れを告げてから、昇降口まで降りた。昇降口付近には、昼休みになると開く購買と、自販機が三台置いてある。
それぞれの会社の持つ有名な飲み物系から、少しマイナーな飲み物、パンなどが置いてある。
部活終わりはお腹がちょうど空いてる時間帯であるため、少し我慢するか、我慢できず買って食べるか非常に悩む時間だ。
過去の経験から考えると、部活ができて少しお腹が空く時間が増えて精神的に厳しい面がある。歩いて消化もできるし、胃としては早く食べたいと言ってる気がする。 何を食べるかは決まっている。
メロンパンである。 甘くて食べ応えがある。そして安い。学生の味方メロンパン。ここから歩いて半分カロリーを消費して、半分を帰ってからの勉強に充てることができる。しかし、迷っているのはそれではない。メロンパンは決定しているのだが、パンというのは飲み物が欲しくなる。
飲み物どうしよう。
俺の回想は昼休みへと遡る。
みょんみょんみょん
2
「いただきまーす!」
俺が思う、大嫌いな学校の瞬間を発表しまーす!
初っ端から、第一位!
昼休み!
理由は、好きな人と固まって楽しく過ごしているのを見てられないからです。
うーん、俺ぼっちだからね。
基本人と話さないもん。
今までの高校生活先生としか話してないな。
だが、話してなくても楽しいことはある。
人が何を買っているのか、食べているのか見る幸せだ。
こっそりなので多分誰にもバレていない。遠くからこっそりと教室に入ってくる時、何を持っているのかサッと見るだけである。 いちごみるく美味しそう。
みょんみょんみょん
3
俺の回想終わり。
おそらく最後の一行だけでも伝わったと思う。みょんみょんの前です。
いちごみるくも買います。
そこらへんで座って食べよう。外ではなく、廊下に謎に出されている机と椅子があったのでそこに座った。
「お、ジョーさんだ!」
聞き慣れていない、あだ名で呼ばれた。
しかも呼び方が陽キャぽいため、萎縮してしまう。
さながら、”ジョーさん何やってんのそのメロンパンもらうな!ガハハ”と言われそう。ひいぃ陽キャ怖い。
「なんでしょう、、、なんだお前か」
立っていたのは、白波だった。
こいつは、陽キャのコミュニケーション術ーーこれさえ押さえれば大丈夫ーーとかいう本を読んで、あだ名で呼ぶとか実践してるんだろうなと想像できる。尊敬するところはその行動力。というのは嘘、実際は天性の賜物だろう。
「ジョーさんって、聞いたことねぇな」
「新しく呼んでみた」
サッとそのまま通り過ぎていった。
何か絡まれると思ったが、なんもなかった。
何か期待していたのかも、めんどくさいと思っても少し話して欲しかったかも。
うわー女々しいなぁ。
食べようとしていたメロンパンといちごみるくをスクールバッグにぶち込み、校門までダッシュで駆け抜けた。こんな時風があれば最高だと思うのだが、全然風が吹かず、夕日は私の後ろを照らして、いつもよりカバンが重たいせいか気づけば少し俯いて駅まで歩いていた。
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