いじりがいのある
俺たちは、いや白波以外は友達がいないと知った。
その原因とやらももう見つかった。わかってしまった。
情緒不安定さが顕著に出現している。という点だ。
「おっはよー」
「午後十六時だけどな」
俺は十五時五十分に着いて、今来た赤月は十六時についた。
時間はこの際関係はない。誰が早く着こうが自分の時間を確保したいという場合があるからだ。今日は十分確保したことになる。といってもスマホゲームしてました。ギガ増やしたい。 突っ込まれるとめんどくさいランキング一位のツッコミを入れてしまった。通常なら赤月に言うもんじゃ無かった。スマホゲームをしていたがために対応が疎かになってしまった。 そのようなどうでもいいツッコミをしたため、ジト目でこちらを見てくる。 俺はその目大好きなんですけどね。
「そういうツッコミいらない」
案の定言われてしまった。
「今日、これから起こることは他言無用だぞっ」
語尾には音符が付いていた。キャピキャピ語であり、変なところで“意識的に使われていると、何事かと警戒してしまう言葉である。
「セット」
カチリとここには無いはずの秒針の音がした。 可愛らしい声から一変、まるでここからは本気でいくぞとでも言いそうな、いや違うこれは魔法を使う気だ!
「やめろ!」
……
何も起きない?
「お前、恥ずかしいな」
プププと口に手を当てて笑っている。
くっいっそ殺せ!
どうやら、秒針の音は、教室の正面の黒板の上にある時計であった。 そう、魔法とやらは起きませんでした。 赤らめた顔は見せまいと一瞬入り口から背けた。
「なんの用だよ」
「普通に部活に来ただけだよぉ」
「お前、それ演技だろ」
「ええぇなんのことぉ?」 ピキっ。 あ、ウゼェ
「今日はぁ、魔法がだーい好きな城ヶ崎くんのためにゲーム持ってきたんだよぉ?」
もう、この部活ゲーム部にしてもいいんじゃね? みんなゲーム好きすぎかよ。 俺どちらかというと嫌いな部類。 好きなゲームは時間かけばいい育成系。嫌いな部類はシューティング系。 シューティング系は本気の本気当たった試しがない。つまり勝ったことが一度もない。
「なんのゲームかタイトルと何系かさっさと言え」
「『多乱闘ヒット』狙いどころが肝心なゲームかな」
なるほど、格闘アクション系であるあれね。 あれねー、四つのボタンとスティックを操作するやつね。 あーまじでこの世界からボタン減らしてくんねぇかなー、あんなにボタンいらない。俺の場合Aボタン連打で済ませてしまう。まぁ大体これで負けてるんですけどねぇ。ここは小さくブラフするか!
「いいよ、やってやる。負けても泣くなよ」
いやなんで俺が勝ってんの?謎なんだけど。この世の謎発見!って感じ。ノリでミステリーハントやっちゃう? まぁそれはスルーしといて、負けて泣いてんだけど。やりずらい、非常に。こういうやつだったんだ。こんな部活でほんとに恋人なんてつくれるんですかね。
「ぐすん」
うわっ嘘くせー。めんどくせぇー。もう今日は帰ろ。 睨んでいる赤月に
「もうゲームは当分無しな、ゲームに勝ち負けは付きもの。このまま続けていたら、ここは交流を重ねれば重ねるほど憎むようになるかもしれない。じゃあな」
「口下手ね」
「うわ、泣いてない、うーっわ、ほんとやめてくれよ」
「優しいんだね」
「やめろ」
「いじりがいのあるやつだ」
クククと笑ってる。
「ちなみに俺はさっきのゲームで勝ったことがないが、本気でやってたのか?」
「ほ、本気なわけないじゃーん」
ダウトーーー
帰路、思い返していた。明日どうなることやら、二、三回の部活の集まりで睨まれることをしてしまった。俺も部活のために楽しめるアイデアを考えた。
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