④このエピソードにノイズを

白波サイド


 それから1分くらいが経過した。

 一旦後ろに下がってしまい、相手のいる場所がわからなくなった。すぐ壁の向こう側にいるかもしれないし、逆にもっと下がっているかもしれない。どちらが仕掛けるか、音を立てるかで状況は一変するだろう。


設置型水鉄砲のところまで顔を出す。前進あるのみ!

少し様子見だ。

そろりそろり前進。


 ここは1と3のハイブリッドだ。

 そろりそろりと設置型水鉄砲のとことまで前進だ。

 すると

「なぁ長引いたなぁ、俺はスタート地点に戻ったぜぇー」

 城ヶ崎の声がする。


 なるほど、、声の位置からしてスタート地点にいることは間違いない、だが、赤石の方はどうだ。これは罠かもしれない。

「ええ、私もスタート地点におります」

 今の思考の間、まさか思考を読まれたか?


 だが、それをして何になる。赤石もスタート地点にいるということがわからない方が奴らにとっては有利だったはずだ。何を隠している、、俺たちには、小細工はできない。ボイスレコーダーで位置を偽情報として伝えるような用意周到な真似ではないと思う。それにこの静かな状況で使っているのであればレコーダー特有のノイズが混じりそうということも考えられる。おそらくスタート地点に奴らの最後の決め球があるのだろう。


 乗ってしまったら最後。だが、これ以上の進展はこちらには見込めない。相手に有利だと思わせその油断につけ込むしかないのか。

 楽しい、この四人でゲーム。

 誰かと何かができる。

 この幸せをこれからも続けていきたい。

 でも終わりは必ずくる。

 終わらせよう。


城ヶ崎の回想

「ねぇねぇ一緒にサッカーしよ」

「今日あいつ呼ばないの?」

 そう、あの日だ。人を信じることをやめた日だ。



 この関係もいつかは終わるかもしれない。

 でも信じたい。この瞬間に感じてる幸せはここにいる全員が感じてるって。

 終わりの瞬間に全身全霊の弾をこめる!

 俺は何かを感じるためにランデ部に入った。

 空虚さを思い出せ、空虚さをここで捨てろ。

 変わりゆく瞬間を見逃すな.

 「あぁ、楽しいな」

 誰にも聞こえないような小声を宙に吐き出した。



 気配はない、だが確実に近づいてきている。

 そのはずだ。

 おそらく誘いから1分が経過しているだろう。

 この経過時間は一体何なんだ。

 こちらに無駄な思考を与えるためか。

 山の上に水鉄砲を置いて固定させる。

 銃口を相手が出てくるであろう壁に向ける。

 まだ相手には見せてない武器があるのではないか?

 そう不安になるが、こちらの有利と言えばこの山くらい。

 この強さはかなりあると思う。

 ここで整理してみよう。

 相手の有利は、霧と実は使えない設置型水鉄砲。

 数ではこちらが不利であるが、質的に見るとイーブンに見える。

 もしこの先相手に武器があれば、こちら側で何か見落としている可能性が高くなる。


 そしてその武器が設置型水鉄砲同様にこちら側にあればそれを今、相手が手に入れてもおかしくはない。

 なるほど、この時間はその武器を見つけたことによる作戦会議か?

 その武器が強ければ強いほど、こちら側にも武器があると思うのだが、運営側のイーブンであれという心意気があれば、こちら側の武器はあまりいいものではないのかも、だから仮にあったとしても使わない方がいいかもしれない。

 結論、やはりどんなに時間が経ってもここで待機すべきかもしれない。

まだか、、



「両者が合わずに3分が経過したため、今から30秒後両サイドをいてはならない区域とします。具体的には、霧発動時に指定したレーンで言うところの一番と六番が対象になります。」

 しまった!この時間は有利に運ぶため、両者が合わなかった時のために取られる手段を待っていたのだ!

 そして、取られる手段は霧である。どうする、、いや考えている暇はない。今は進むしかない!

 

とその時左横の壁から声が聞こえてきた。

「そんな装備で大丈夫か!?」

「大丈夫だ問題ない。」

「くっくっくそれって一回死んじゃうフラグじゃない?」

「いいや違うよ、コンティニューで復活する話だ。」

ここで俺がやられる運命ではない。

「ふ、計画通り!」

「知ってるか?計画ってのは破綻する運命にあるんだ。

こっちを向け!」


「な!背後、」

 そこには誰もいなかった。

 だが、ものは一つ床にあった。

 それはスマホのアプリから流れた声だった。

 なぜ、そこにボイスレコーダーがあると思う?

 いや、それ以前になぜ声を入れたレコーダーを入れていると思う?

 そう、ここに案内したのは俺。ランデブ以外の部活にも友達はいる白波だ。


 なぜここにボイスレコーダーが、、これは白波のスマホ!

 案内をしたのは、白波だった、、、

 なるほどお前、知っていたな

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