第21話:笑って、マリア。
次の朝、俺はマリアのキスで目覚めた。
「おはようシューちゃん」
「ああマリア・・・おはようマリア」
「マリアがいる・・・夕べのことは夢じゃないんだ、いつものマリアだよな。
もうおかしくなったりしないよな・・・」
俺はまだ少し不安だった。
また普通のガイノイドに戻るんじゃないかって・・・。
だがマリアは修平に対する愛を完全に取り戻していた。
マリアの体の中のナノマシンも通常の点検に勤しんでることだろう。
「今日俺、会社休む・・・」
「ええ〜?、休んでばっかいたら、首になっちゃうよ」
「いいよ・・・どうせ辞めるんだから・・・」
「そんな無責任なこと言わない」
「だって・・・今日はマリアといたいんだ・・・」
「少しの時間でも君といたい」
「もう、わがままな人・・・ずっとベッタリって訳にはいかないでしょ
・・・シューちゃん、私に依存しすぎてるよ」
「依存って・・・まあそう言われてもいぞんはないけど・・・
なんちゃって・・・」
「つまんない・・・」
「でも・・・ま、いっか・・・もしシューちゃんが会社首になったら私が
養ってあげればいいし・・・」
「え・・・もしかしてそれって、また街でスケベそうなおっさん
捕まえるってやつ?・・・じゃないよね?」
「いっぱい稼げるよ」
「あのね・・・ワンパターンだから、それって」
「冗談だってば・・・見ず知らずのおじさんについてっちゃダメなんでしょ?」
「あたりまえだろ?」
「この間も言ったように・・・いくらお金稼ぐためだからって、どこに自分の
彼女が見ず知らずのおっさんとエッチするのを喜んで応援する彼氏が
いるんだよ・・・」
「だから冗談です・・・」
「シューちゃんがちゃんと働かないと、そうなるよ、って言ってるの」
「はいはい、分かりました」
「明日からちゃんと会社に行くから・・・」
「そんなことより、ね・・・マリア・・・しようよ?・・・朝エッチ」
「え、昨夜あんなに激しかったのに?」
「いいじゃん・・・ちょとだけ」
「無理無理・・・ちょっとなんて、そんなのしないほうがマシ・・・」
「じゃ〜めっちゃハードなやつ・・・」
「エッチも・・・いいけど・・・その前に、とりあえず朝食しない?」
「エネルギー補給しないと、途中でフェードアウトしちゃうよ」
「そんなことになったら、許さないから・・・」
「慌てなくても私は、この前みたいに出てったりしないから・・・」
「急いてはことを仕損じるって言うでしょ」
「え、そんなことわざ、知ってるんだ」
「バカにしてる?・・・ぷ〜」
「あは、怒らない・・・ほら・・・笑って、マリア」
マリアは満面の笑みを俺にくれた。
その笑顔だけで俺は幸せな気持ちになれた。
朝ごはん食べたあと、やっぱり俺たちは、朝エッチした。
まあ、拒否る理由も拒否られる理由もないわけで・・・。
で、俺は親父に言われてたこと、一度マリアを家に連れてこいって・・・。
無視するわけにはいかないから、昼から、俺の実家へマリアを連れて行った。
実家に戻ると、綺麗な和服姿のお姉さんが出迎えてくれた。
親父の家に、俺の実家に前からいるガイノイドの
明日香さんはセクサロイドじゃなくて普通のガイノイド・・・。
だからセックスはしないタイプ。
親父には他に人間の彼女がいるみたいだ・・・。
「お帰りなさい、修平さん」
「ただいま・・・明日香さん、元気してた?」
「はい、おかげさまで・・・」
「明日香さん、この子、マリアだよ・・・君と同じガイノイド・・・
で、俺の彼女」
「いらっしゃいマリアさん」
「こんにちは、明日香さん・・・お邪魔します」
「親父いる?」
「いらっしゃいますよ・・・どうぞ中へお上りください」
明日香さんは俺のおふくろが他界してから我が家に家政婦として
来てもらってて、親父が明日香さんを気に入って毎回レンタルを更新して
るから、ずっと我が家に専属でいる。
俺とマリアは明日香さんに案内されて、勝手知ったる我が家の
応接室に案内された。
「ここでしばらくお待ちください・・・旦那様をお呼びしてきます」
しばらく待ってると親父が現れた。
「おお・・・来たか・・・」
「親父の会社に就職するって話と・・・それからマリアを紹介した」
「お父様・・・こんにちはマリアです」
「お、お父様?」
「はい、シューちゃんのお父様ですから、私にとってもお父様です」
「なるほどな・・・セガレに嫁をもらったみたいだな・・・」
「こんにちはマリアさん・・・改めまして、修平の父の修一朗です」
「よく来てくれたね・・・さ、掛けたまえ・・・」
「さっそく就職の件だけど・・・」
「そのことだが、俺はおまえに俺の会社に来いって言ったが。強制じゃないからな」
「もし、不本意なら無理に俺の会社に来る必要はないぞ」
「でも、借りた金、返さなきゃいけないし・・・」
「それに縛られることはない・・・」
「あの金はおまえにやる・・・もう返す必要はないよ」
「そういう訳にはいかないよ・・・」
「いいんだ・・・だからってマリアさんを置いていけなんて言わんから安心しろ」
「おまえには、兄貴と違って何もしてやれてなかったからな・・・」
「借金はかえさなくていい」
「ありがとう、父さん・・・感謝します、じゃ遠慮なく頂戴します」
「それにしてもおまえ・・・女性のセンスはいいようだな・・・」
「こんなに可愛い子が家にいたら、仕事に行きたくないだろ?」
マリアは私のこと?って言うふうに俺の顔を見た。
「そうだね・・・俺のタイプだし・・・顔だけじゃないからね」
「彼女は、普通のガイノイドじゃないから・・・」
それから俺は親父にマリアの生い立ちや、彼女に関すること、すべて
親父に話した。
その間・・・マリアは明日香さんと庭の池の鯉に餌を楽しそうに
あげていた・・・。
ガイノイド同士で何を話していたのか知らないが、ふたりの笑い声が
聞こえて来た。
「そうか・・・限りなく人間に近いか・・・」
「じゃ〜おまえ、もう人間の女性には興味はないのか?」
「マリアがいてくれたら、俺には人間だろうが他のガイノイドだろうが
もう必要ないよ」
「俺はおまえの子供は・・・孫は見れんと言うことかな」
「そうだね・・・それだけはどうしようもないね・・・」
「まあ、人間の女性といっしょになったからと言って幸せになれるとは
限らんからな・・・」
「よさそうな子じゃないか・・・マリアさんは・・・」
「うん・・・最高にね」
「ガイノイドの彼女か・・・」
「マリアのことをついガイノイドって言っちゃうけど、父さん・・・マリアは
もうガイノイドとは呼べないよ」
「人間とも違う・・・マリアはガイノイドから進化した新人類だよ・・・」
「人に対しても自分に対しても、いろんな面で人間より優秀なニュータイプ
なんだって思う・・・」
つづく。
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