第7話:ガイノイドの体。

俺はまともに女性の裸を見た。

って言ってもガイノイドだけど・・・。


マリアは体にバスタオルも巻かないで俺の後に続いて風呂に入ってきた。


人間の女性の裸を見たのは子どもの頃、母親と一緒に風呂に入ってた時。

でも子どもの頃と今とじゃ女性の裸を見る目が全然違う。

俺には兄弟は上に兄がひとりいるだけで、姉妹はいない。

だから、なにかの間違いで姉や妹の裸を見るなんてこともなかったわけで・・・


大学時代付き合ってた女性の裸だって、まともには見たことはなかった。

まあ、恥ずかしがって見せないわな・・・普通。

マリアは基本セクサロイドだから・・・裸を見られることに抵抗はないんだろう。


厳密に言えば女性の裸を見たことないって言うのは語弊があるかも・・・。

生の女性の裸はないけど、動画でなら何度も見てる。


マリアはガイノイドとは言え、人間の女性に忠実に作られてるわけだけど、

行きすぎるくらいの誇張もなく・・・おっぱいだって大きからず、小からず。

体そのものも、めっちゃナイスバディってほどじゃない。

何もかも、ほどよいんだ・・・。


マリアの年齢は分からないけど、最低でも20才くらいの設定だとして、

そのくらいの年齢の女性に相応しい体なんだと思う。


「マリア・・・後ろ向いて?」


そう言うとマリアは俺の目の前でくるっと回って後ろを向いた。

可愛いお尻・・・お尻の?・・・腰のあたりの小さなエクボも両サイドに

ちゃんとあった。


とうぜん、どこを見てもシミもホクロもない。


「もういいよ・・・こっち向いて?」

「あ、そうか、髪が金髪だからか・・・あそこもちゃんと金髪なんだ」


「私の裸が見たかったの?」


「そうだね・・・マリアの全部を知りたいからね」


「満足した?・・・もういい?」


「ごめん、ごめん・・・」


すでに俺が入ってる狭いバスタブにマリアは無理やり入ってきた。

でも、マリアと向かい合わせに入ったら、ふたり、きっちり入ることができた。


「また、ひとつ聞いていい?」


「いいよ」


「あのさ、バカな質問だと思うけど・・・体にお湯とか入ったりしないの?」


「あはは・・・本当におバカな質問・・・」

「完全防水じゃなかったら、お風呂になんか入らないよ」


「あ、そうか・・・」

「でもさ、なにかの拍子で体内に水が入っちゃったらマズいでしょ」

「たとえば・・・その・・・アソコから、入っちゃうとか・・・」


「何、想像してんの?」

「アソコって、ぽっかり穴が開いてるわけじゃないんだよ」

「私、締まりはいいんですからね」

「だから、入るわけないでしょ・・・」

「体の中に水が入って、錆びちゃったりしないか心配してるんでしょ」


「そのとおり・・・」


「私の体って皮膚以外は全部金属でできてるって思ってる?」


「え?そうじゃないの?」


「あのね、もしそうなら今ごろシューちゃんちの床、修理頼んでると思うよ」

「金属の部分はごく一部・・・その一部も耐腐食性のチタン合金でできてて・・・

あとは金属より硬くて軽い強化プラスチック&特殊シリコン・・・」


「私、機械や工業用ロボットじゃないからね」


「あ〜俺、めっちゃ認識不足・・・ガイノイドについてちゃんと勉強しなきゃ」


って言いながら、俺の目の前に可愛いおっぱいがある・・・。

「こんな可愛いものが目の前にあるのに触らないではいられない」


「あのさ・・・嫌だったらいいけど・・・おっぱい触っていい?」


「いいよ・・・」


俺はマリアのほどよいふくらみのあるおっぱいを触った。


「わ〜〜〜〜柔らか〜・・・プニプニ・・・」


「シューちゃんのモノだよ・・・」


「厳密には、まだ俺のモノじゃないけどな・・・」

「気の遠くなるようなローン払い終わらないとマリアは俺のモノにはならないの

・・・遠いな・・・ 」

「ああ、君をモノ扱いしてごめんね・・・」


「しかたないよ・・・」

「かぎりなく人間に近いけど、人間じゃないからね・・・私」


「え?・・・なに?・・・また?」

「また泣いてんの・・・よく泣く子だな・・・」


「本当は私が人間の女の子だったら、よかったのに・・・」

「シューちゃんには、ほんとはそのほうがよかったんだよ」

「どんなに願っても、がんばっても人間にはなれないもん、私」


「大丈夫だよ、俺はそんこと望んでないし人間の女の子がいいなんて

一言も言ってないだろ?」

「俺はマリアが一番素敵なパートナーだって思ってるんだからね・・・

君だけを愛しちゃったんだから・・・マリアは人間とか他の女性の代わりには

ならないよ 」


「そうだけど・・・」


「だから・・・そのくらいのことで泣かない・・・」


マリアはよく泣く子だ・・・。

なんで、マリアがここまで感受性が豊かなのか、実はこれには大きなわけが

あったんだ。


「俺、のぼせるから、そろそろ出る・・・」


「あ、じゃ〜背中、流しましょうか?」


「あ〜そうだね・・・」


そう言いながら俺は湯船から出て風呂の椅子に腰掛けた。


「背中を洗う前に先に前から洗いましょ・・・」

「はい、立って」


立ったついでに俺はマリアにキスした。

もう、どちらからともなく、自然と磁石みたいに唇がくっつく。


「洗うよ・・・」

「髪はシューちゃん自分で洗ってね・・・」


「じゃ〜、右手上げて・・・」


「はい、次は左手・・・上げて・・・」


「おヘソもキレいキレいしなくちゃ・・・」


「あ、そこはいいから・・・自分で洗う・・・あははくすぐったいし・・・」


「可愛い子がぶら下がってる・・・」


「可愛い子って・・・」


「あのさ・・・風俗じゃないんだからな・・・」

「俺だって、本気出したら、すごいんだからな・・・びっくりするぞ」


つづく。

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