第5話

「どこ行ったあいつ」



近くから声がした。怖い。男の人の声


私は咄嗟に女の子の手を引き家の中に入れて

玄関の鍵を閉めた



家の端っこの壁の隅まで女の子を連れていき

血だらけの口に手を軽く当ててもう片方の手で

体をぎゅってして

声が出ないように、



男は玄関の目の前まできてどこかに行った





震えた声で、涙と血でぐしゃぐしゃになった顔で




「お姉さん、」



気づいたら私も一緒に泣いていた



「頑張ったね」



なんでこんな血だらけなのか、そんな事

もう分かってた


何してたの


どこにいたの



そんな事より頑張って私の家に来てくれた事に


こんなんになっても、まだ生きててくれた事に



涙が止まらなかった







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