第11話 詩/神という力
葬りの地に無象の嘆き
雨はいつしか晴れ
人が時の奴隷だと 運命を知る
オレンジの木より生まれた
貴婦人が僕をあの地まで……
自由
光に向かって走る
後背の影のように捕らえられずに
散り舞う夕色の塑像たち
逃れえぬ精神のアポトーシス
銅貨を空高く飛ばして
歩く道を決めた
石舗道は硬く靴は
太陽に手を伸ばし
願ったのだ
靴でなく
重苦しいものがここにある
世界に吠えてみた
世界は小さかった
そうだ
知っている世界は小さかったのだ
認め難い現実に
そびやかす眉宇
認識が世界を開示するなら
ここにあるものはなんだ
もの哀しい音調で
虫の音が
夜の虚空へ溶け込んでいく
いつわりだ! いつわりだ!
暗がりより誰かが叫んだ
影に意思はなく
自然は黙している
世は輝いて
死者は
伸ばした手を
そっと下ろした
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