第5話 詩/舞い

銀燭のあえかな灯に照り返るかげ

怪しの高らかなわら

ふるえる空気


自己という支点 呼びかける声

世界は存在を呑み込む

清かに映じる群像


夜の静穏なる神秘と不吉なる無言しじま

闇にうずくまった鬼が口にする

人であったもの


月明の下

かの姫君は華々しく舞う

若やいだ薄紅色の肌が上気する

その足取りが流露するのは

神への思い 生命の

喜びと哀しみ


やがて宴も終わり

残された空間に 犬が立つ

吠え声が月の空へと広がる


誰も在ることを知らない

自身で自身がわからずに

その不快さに迷う


歩み続けた歴史に何を思う

猛き武士たちに華を送ろう


死が意味を持たなくては

この闇は明けないだろう だが

薄明より跳ねるような生でさえ

幾の言もない

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