第3話 詩/神々は高き山に座す

夕色の太陽が空を染め上げる

あの雲はそれに映え 風に流れる

オーケストレーション

すべて現世という存在

凱歌を上げよ

凛烈な風景が世を伝う


弔鐘ちょうしょうが薄闇の空に響いている

尽き果てた思いに怪しの影がかすんだ

世に隠された永劫のエニグマ


見よ

神々は大地の果て

高き山に座す

星屑のことわりはその宮殿で語られる


プロメテウスよ

あなたは光をくれた

だが どうだ

人々は同じ光で

力を誇る 灰の都は歴史を語る


変わらない流れの一つ一つに

変わらない人間

昏い赤銅色の精神は

何も解消していない ただ

抑え付け隠すのだ 何も変わりはしない


神々よ

我々は制することのできない

力に操られる

それが運命か

弔鐘が空高く響く


人々は自己を騙す

自らを騙し潔白を持つ人

自らが認められる

都合良い事実だけ集める人


神々よ

人はどうして

absolute でない

我々が救われるのは

死があるからだ


いく数もの失敗を重ねる精神は

いづれ 正気でなくなる

我々は騙し続けなければ

世界を保てないのだ


すべてイリュジオン

はかなき現世


自己とは差異であり

隔絶と共に融和をもつ

我々が

外界より出づる精神であるなら

何が本当に自己だろうか

永劫のエニグマ


神々は大地の果て

高き山に座す

人々は世に嘆く

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る