解決
~解決~
篠原は神野ゆいの合図を聞いてすぐに三階に駆けつけた。
田中と他の捜査官も上って来た。
「坂本ちえさん、署までご同行お願いします」
篠原が手錠をかけた。
田中たちに連れられ、階段を下りて行くちえに坂本が呼び掛ける。
「ちえ!」
坂本ちえが振り向いた。
「ちえ……ごめんな」
坂本はちえの元へ駆け寄り抱き寄せた。
「あなた、すみませんでした」
体を離すとちえは坂本に頭を下げてから車に乗り込んだ。
坂本は涙を浮かべていた。
「田中、坂本大臣をお送りしろ」
篠原がそう言うと、坂本はすみませんと言って田中の車に乗って行ってしまった。
「……大臣にはキツいことだったな」
田中の車を見送りながら篠原が言った。
「神野くん。いやぁ、ありがとう。よくあそこまで引き出してくれたよ。さすがだ。うん。感謝するよ」
「いえ。私は話を聞いただけです」
「ゆい」
晴輝が下りてきた。
すぐにゆいを抱きしめる。
「あー。恐かったよ、ゆい。お疲れ様」
「うん。ありがとう」
「……でも、どこで気付いたんだ?」
篠原が神野ゆいに聞いた。
「お茶です」
「お茶?」
「はい。誰でも嘘をつく時は少なからず緊張します。全部話し終えて、きっと喉がカラカラになったんでしょう。人は食べたり飲んだりする時が一番素が出てしまうのです。無意識のうちに。ちえさんもほっとしたのでしょうね。ほんの一瞬、微笑んでしまいましたから」
「なるほど。いやぁ、本当に助かったよ。ありがとう」
「はい」
篠原と神野ゆいは握手をした。
「それじゃあ私も署に戻るよ。晴輝くんもまたな」
「はい。お疲れ様でした」
晴輝も頭を下げて見送った。
「本当の本当に、終わったんだね」
晴輝がゆいの肩を抱きながら言った。
「うん。やっと終わった」
「聞くだけ屋」がある三階と四階のVIPルームでは、機材の撤収作業が行われていた。
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