上条晴輝
~上条晴輝~
晴輝と付き合い始めて一週間、晴輝は毎日神野ゆいの家に来ていた。
「大臣の件、何か進展あった?」
二人でリビングのソファーに座りくつろいでいる時に晴輝が聞いた。
「まだ昨日の今日ですから」
神野ゆいが笑う。
「もう、何で親父のやつゆいさんを巻き込むんだよ。心配でしょうがないじゃん」
「上条先生は何も悪くないですよ。それに、篠原さんがついてますから、大丈夫です。安心して下さい」
晴輝が怒ったような顔をする。
「そばにいるの、篠原さんじゃなくて俺なんだけど」
「あ……そういう意味では……」
「あは、冗談だよ、冗談。ホンッとに可愛いなぁ、ゆいさんは」
神野ゆいは顔を赤らめる。
「ねぇゆいさん。ゆいさんのこと、ゆいって呼んでいい?」
「えっ。あ、はい。もちろんです」
晴輝が甘えた顔をする。
「じゃあさ、ゆい。ゆいも敬語使うのやめてくれる?」
「これは癖なんです。やめれるかどうか……」
「すっごい距離を感じるんだけど。ねぇ、俺だけにでいいから普通に話せない?」
「う、ん、頑張ります」
「じゃあさ、俺のことも晴輝って呼びすてにして」
神野ゆいは困っていた。
「はい。わかりました」
「本当にわかってんのかなぁ」
そう言って晴輝は笑った。
「ゆい、こっちおいで」
晴輝が立ち上がりゆいの手をとってベッドへ誘う。
「う、うん」
ゆいが立ち上がると同時に晴輝がキスをする。
「ん……」
その時、神野ゆいのスマホが鳴った。
晴輝が残念そうにゆいの手を離す。
「すいません、出ます」
神野ゆいはスマホを持って廊下に出た。
晴輝は寂しそうにソファーに座りなおす。
「篠原さんからでした。坂本大臣の奥さまが昨日から帰っておらず、連絡がとれないようです」
電話を終えた神野ゆいが晴輝に知らせる。
「ちえさんが?」
晴輝も驚く。
「昨日、大臣が帰宅するとちえさんがおらず、今日になっても帰らないそうです。スマホは家にあるのでGPSでも捜せないみたいです。大臣は知り合いに連絡して行方を追いましたが誰も何も知らないと」
「そんな、ちえさんまで……。何があったんだろ」
「とにかく、皆さん無事だといいのですが……」
「うん……」
この時まだ二人はこの事件が大きくなることを知るよしもなかった。
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