ようびの話
おむ
ようびの話
「月曜日が一番だ!休日空けで疲れなし、すがすがしいスタート。やる気、希望に満ち溢れるオレ様月曜日が一番だ!」
突然の主張に他の曜日達は驚いた。
どうやら何曜日が一番人気か決める時が来たようだ。
「待って、確かに疲れも取れて体調はバッチリかもしれないけど、今から週末まで労働があると考えると憂鬱じゃない。月曜日が一番なんてありえないわ。水曜日の私が一番よ!」
月曜日の主張を跳ね返し、今度は水曜日の主張が始まった。
「一部の職種だと水曜日が休みのとこも多いし、そんな人達は平日働いてる人達を横目に朝はゆっくり、昼間からお酒も飲めて優越感に浸れるわ。それに、働いてる人達も週の折り返し、あと半分で休みだ、とやる気も出てくる。週末金曜日は次の日休みだけど労働で体力が残ってなく疲れ果ててやる気も出ないし、絶対私水曜日が一番よ!」
「まてまて、何を言ってるんだ。ワシ金曜日が一番に決まってるだろ。疲れてやる気がでない?何をぬかしとるんじゃ!」
水曜日の主張に怒り奮闘の金曜日。
ワシが一番だと金曜日の主張は続く。
「次の日休みの金曜日はな疲れ果てても次の日休みのだから問題ないんじゃ。酒に溺れようが、夜更かししようが次の日休みってだけで全てが許される。お前達にはあるのか次の日が休みだと言う安心感と高揚感が!」
「ちょっと待ったー!」
土曜日だ。
「次の日が休みだと言うならボクも同じだし、その上、土曜日自体が休みって事は完全にボクの方が金曜日より優れてるじゃないか。朝からゆっくりできて昼間はグータラ、夜更かししても次の日はまた休み。こんな完璧な曜日はないさ。」
「ち、ち、ち、お子様だね土曜日くん。そんな何も縛られていない開放感だけで満足だなんて君は甘いね。日曜日の私は午前中は休日感たっぷりな幸福な時間。しかし、午後からは明日から職務を考え現実に戻される喪失感。そう、この決して混ざることの出来ない相反するこの感情。この混沌とした曜日、私日曜日が一番に決まってるさ。」
日曜日は少し頭のネジが飛んでいた。
「君たち、下等な争いは辞めたまえ。私、木曜日の話を聞きなさい。いかに自分たちが惨めな口論をしてるか気づきますよ。」
もう1人頭のぶっ飛んでる奴がいた。帰国子女の木曜日だ。
「この世はラブ&ピース。木曜日は英語でチューズデイ。今日は君にチューするデイ。多くの愛が結ばれる私、木曜日が間違いなく一番さ。」
ただのオヤジギャグでこの自信。木曜日は一味違った。
「みんなの主張を聞いたがやはり月曜日であるオレ様が一番だ。土曜日、日曜日が人気に聞こえるが『生活ペースが崩れる』『一日中顔を見るのは疲れる』など、主婦界隈からの批判も多い。やはりバランスの取れてる月曜日が一番だ!」
「いや、私が一番よ!」
「いやいや、ワシが一番じゃ!」
……
各々の主張が出尽くすと、みな声を揃え、
「誰が一番だと思う、火曜日?」
火曜日は思った。
(あぁ、私はその争いの場に立つ事もできないのか…)
ようびの話 おむ @kokugo2
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