第6話 見えた!追跡開始!
荒れた呼吸をととのえて体内の魔力も正常に戻った。
魔法使いになってもちっとも喜ばしい気持ちがない。
むしろ今は不安や恐怖が籠もった惚けた様子というのは適切だ。
はいと答えても、なかなか心細く感じている。
不自主に体が震え始めた。それに気づいた幽霊の猫は僕の本心を見抜いたようにため息をついて話を切り出す。
[姫様は朝六時に素に戻って、そして夜の6時に猫に変わる。今の規律だが、時間の経ちにつれて何か異変が起こるかもね。とりあえず姫様を見張ってもらう?この形態を維持すればかなりの魔力は費やすから、一旦尽きたら、おそらく君との連絡が取れなくなると思う。頼むよ、しばらく僕の代わりに姫様を守ってくれよ。後で苦労に報いると保証するから]
話が終わったやいなやすぐに霧になって空気へ散る。
[待って、まだ彼女についてのことを!]
気配はなかった。
腕時計を見ると、もう七時になった。彼女今の様子から見ると学校へ行くのは無理だ。寝付きそうな顔には幸せに満ちる。
[疲れ果てて寝るのも当たり前だろう。]
こっそりと魔法を使って体に身体強化を施して両腕で彼女を抱き上がってベッドに向かう。
そして自分一人でさっき幽霊の猫の話を掘り下げる。
[毎日の朝や夜の六時に彼女の体には変化が見える。だが早めに行動しないと事態が悪くなる可能性が高い。今何の手掛かりもないし、助けてくれるその幽霊の猫もどこかへ消えたか分からないし。悩んでるなー]
宛がなしに部屋をさまよい歩くのは何の役にも立たない。
[それより、魔法の力を頼りにしてみたらどう?よし、魔法を発動してその威力を見てみて。]
すると、幽霊の猫のまねをし始める。手のひらを翻して体内の魔力を一点に集中させる。
想定外のことが発生した。綱に縛られたくない馬みたいに放った魔力が暴走する!
[あっ]
魔力へのコントロールが失われた!
部屋では小さな光のボールが飛び散る。壁にぶつかった時に表面に穴を開けた。花瓶も強大な衝撃波を受けて破片が地面に落ちて散らかった。
[やめろ!]
声を上げて叫んだ。そしてさっきより数倍の集中力で魔力を操縦してみる。
頭が痛い!魔法は大量の魔力がかかる一方で、精密な操縦は脳や体に大きな負担になると納得した。
[集まれ!]
命令に従ってこちらに飛んでくる光のボールは自動的に融合し合い、澎湃の力が感じられる光球になった。
[解散しろ!]
光球が消えた。
息が切れてる。床に倒れ込んだ。天井に向かって臥す。
ふと目の前に映像みたいな画面が出てきた。
逃亡してる魔法師らしい人間!
まさか、死んでいない?
道理で呪文はまだ解いていないわけだ。
って、今彼は。。。
やばい!変容して人混みに紛れ込んだ。
早く動かないと!
彼女が猫になった!飼い主と彼氏としてのダブル生活 オアク @Nanaky
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