第24話 危険な男とやっと訪れた幸せ
ベッドの上で裸のMaxの胸に抱かれ幸せを噛み締めている十維……
「十維さん、十維さん、そろそろ……」
背中をトントンと呼ばれるように叩かれた。
「仕事?いくの?」
十維はMaxの顔を見る
「んー……、行って欲しくないですか?そばにいたいですか?」
「そばにいたい、離れたくないって言ったら?」
Maxは携帯を手に取り電話をかけはじめた
「ブン?俺。
今日、店に行かないから頼むわ。
……
あ、あと今日、うちの家ダメだからお前、自分の家に帰れ。
……
別に問題ない、大丈夫だから。店は頼んだ。
じゃあな。」
電話を切るとMaxはすぐに十維にキスをしてきた。
「これで大丈夫です。
今夜は先生とまだまだ一緒に居ますよ。どこにも行きません!
それに……肝心の話が何も出来てませんしね」
今夜は土曜日の夜だ。
死ぬほど店が忙しいのわかってるが、Maxは自分のために店を休んでくれた。
その事実が十維は嬉しかった。
お返しにと十維も何度も何度もキスをした。
十維とMaxは2人で夕飯作り。
にんじん切りながらキスをしたり、ミニトマトを並べながら食べさせたり……楽しくて仕方ない。
「先生、料理したことないでしょう?」
「Maxは料理すごいうまいね、ていうかこの家、キッチンデカい!広い!なんで?
Max、1人……だよね?」
言いながらいつも来る男たちの顔が浮かんだ
「キッチンはですね、仕事を始めた時から料理人を雇ってはいたんですが、『店に出す料理は作れるように』って思って練習してたので、自然と家でも作ったりするようになったんです。
で、この家を買うと決めた時に、キッチンは広く注文しました」
"一人暮らし"ということを聞きたかったが、それに対しての返答はなかった
それでも十維は夢見心地だった。
好きな人と一緒に戯れる時間、好きな人を見つめるだけでキスがもらえる至福の時間……
腕まくりをしてみる
「先生は意外と甘えん坊さんなんですね」
「甘えん坊なんて言われたことない……けど、Maxには甘えたい……ダメ?」
「ダメなわけないじゃないですか。どんどん甘えてください。嬉しいです」
ギュッ、力強く両腕で絡んでみる
Maxの手が十維の頬を触ってきた
十維はMaxをみる
Maxは優しくキスをしてくれる
「しあわせ……」
ポツリと十維は呟いた
「これからはもっともっと2人で幸せになりましょう。お互い、我慢した分とりもどりましょう。
さぁ、出来ましたよ、食べましょう」
食卓にたくさんの料理を並べ、向かい合って座る。
「いただきます」
Maxの作る料理はどれも美味しい。十維はどんどん食べていく。
目が合うと微笑み合う。
「すみません、そんなにお腹を空かさせてしまってたんですね」
「いや、そんなことは……Maxの料理が美味すぎるからがっついちゃったんだよ」
「嬉しいです、喜んでもらえて。あと、流石ですね」
「なにが?」
「そんなにガッついてるのに、口元が全然汚れない。さすが名家のお坊ちゃんですね」
「えー?」
慌てて口元を隠す
「大丈夫ですよ、本当に綺麗に食べてる。
実は少しでも汚れたら僕がキスして綺麗にしようと思ってたんですが、そんな隙はないですね」
「そんなこと……
じゃ、わざと汚そうか?」
「ダメですよ、先生はやっぱりそうやって綺麗に食べないと!先生は僕の憧れなんですから」
「憧れ?」
「はい、初めて会った時から僕はあなたに憧れてたんですよ」
「初めて会った時?挨拶回りでここを尋ねてきた時のこと?」
「先生、実は僕、あなたのことを前から知ってたんですよ。」
「え?前からって?」
「初めて会ったのは、もう2年も前になります。
先生も今でも通われているあのジムですよ。
僕は、運動を終えて帰ろうと出てきたときに先生は現れました。
ビシッとスリーピーススーツを着こなしてて、歩き方も優雅で……
スーツ姿なんてたくさん見てきたので、今更萌えるタチではない僕ですが、アレには参りました。
カッコ良すぎましたよ。見惚れましたもん。
残念ながら、店があるので貴方のその後を見ることはできず、ただただ、またいつか会えないかな?とジムの帰りは時間許す限りギリギリまで待ってたりもしてました。
その後、一度も会えませんでしたが……」
「スーツでジム?仕事帰りだよなー。昼に行ってたのなら、きっと休日出勤になった帰りかな……知らなかった」
「そうだと思います。
ほんと会えたのはそれ一度きり、その日だけです。けど、僕の脳裏にはしっかりと焼き付けられました。
そして次に会えたのが、引っ越して来られた日です。
顔を見た瞬間、あ!あの人だ!と、心の中で思ってました」
「そんなことを思ってたなんてしらなかったよ。俺の顔を見て何かを思ってたなんて……。てっきり俺は寧々に興味があるのかとおもったよ。」
「妹さんに?何も思ってなかったですよ。まぁ、清楚だな、可愛らしい人だな、くらいで。
先生からの名刺で、あなたが弁護士ということも分かり、僕は弁護士紹介をゴンに頼んだんです。
あなたのことが知りたくて。
けど、ゴンからあなたのことを詳しく聞けば聞くほど、どんなに凄い人かがわかり、僕なんかが近づいてはダメだと感じました。」
「そんな……俺はそんなすごい人では無いよ」
「先生は凄いですよ。
だから僕は、僕みたいな人間は、近づいてはダメだと自分を律してたんですよ。
本当に何度も何度も……。
先生が僕のことを避けているとわかった時も
『あー、これでいいんだ』
って思ってました。必死に思い込もうとしてました。
けど、あなたが見合いすると聞いて、居ても立っても居られなかった。正直焦りました。でもそれでいいとも思ったんです。
だからあなたへの想いにケジメをつけるために、ホテルに行ったんです。
先生が見合い相手と上手く行ってそうなら、その様子を見て諦めようと。
けど、仲良さそうに話してる2人を見て……気づいたらあんなことをしてしまいました。
せっかくのお見合いを壊してしまいました。
本当にすみません。
そして、ありがとうございます。来てくれて……」
「Max……
お礼を言いたいのは俺のほうだよ、来てくれてありがとう。
俺は、本当はお前に会いたかったんだ。会いたくて会いたくて仕方なかったんだ。
けど、会ってもお前が俺を好きじゃないんだから、ダメだって何度も何度も思ってた。
だからお前から俺に会いに来てくれて本当に嬉しかったし、改めてわかった。俺は、
『やっぱりお前が好きだ、好きなんだ!』
って」
キスをする
優しいキスをする
「ハァー……幸せ。」
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