第4話 危険な男の危険なトイレ
8階の寧々の家へと戻った2人は、話し合いの結果、ゲストルーム用にと思っていた部屋を十維の部屋にすることが決まった。
荷物は追々持ってくるとして、とりあえず1週間分の服をすぐさま、実家に戻り持ってきたのだった。
通路を通るたび、なにげなくMaxの部屋を見ていたらちょうど出てきた。
全身真っ黒な出立で、腹まで見えそうなほど全開にあけられたシャツを着ており、シルバーと金のネックレスが映える映える。脚の長さが際立って見える黒光したパンツは、またこれも十維の恋心をガンガンにくすぐるのだった。
十維はまたしても見惚れてしまう。
「引っ越しは落ち着きました?何か手伝えることありますか?」
「僕を……
あ、いえ…大丈夫です。これからお仕事ですか?」
「ええ。店が19時に開くのでね。
そうだ、ほんとよければいつでもいらしてくださいね。お兄さんなら1人でうちに来ても大丈夫でしょうから」
「Maxさんのお店なんですよね?」
「えぇ。僕がオーナーをしてます。」
「では今日にでも行けそうなら行きますね。Maxさんはいつまで店にいますか?」
「さぁ、その日の気分で帰ったりもするんですよね。あぁでも今日はバンドもいるので朝まで店にいて、呑んだくれていると思いますよ。それでは」
Maxはさらっとお辞儀をして去っていく。
十維は穴が開くんじゃないかというくらい見つめる。
かつてこんなにも人に惹かれたことがあるだろうか。3秒で恋したらっと周囲に言うことで、牽制をしてきたのだが、その言葉が自分を苦しめるか?くらい本当に3秒で恋に落ちた。
Maxの残り香だけで酔ってしまう。
ヨロケながら寧々の家に入る。
「お兄ちゃん?」
「寧々……お兄ちゃんダメだ……
Maxさんが頭から離れない……
お兄ちゃん、Maxさんが好きだー!」
ソファに倒れ込む十維。呆れ顔の寧々は
「そんなになんだったら、準備してMaxさんのお店に行ってきたら?でもあの人、絶対遊び人だし、近づいてもお兄ちゃんは相手してもらえないかもしれないよ?
けど、でもやれることはやったらいいんじゃない?
あぁ、私のことは気にしなくていいから。これから彼が寄ってくれるって言ってくれてるし。お兄ちゃんがいない方が私も嬉しいし」
「うんうん、そうだよな!そうだよな!やるだけやらないと、わからないよな!」
すると十維は大きく頷いて急いで風呂に入り、着替えを始める。そして全身ブランドでビシッと決めてあっという間に出発したのでした。
タクシーをつかまえ、名刺を見せ店まで連れてってもらう。
「この店までお願いします。」
「クラブシルキーですね。はい。」
「運転手さんご存知なんですか?」
「クラブシルキーを知らないここらのタクシードライバーはいないよ。ここらで1番のクラブだろからね。建物の大きさといい、人の入りといいあそこは凄いよ」
その話を聞いてなぜか誇らしくなる十維。
タクシーから降りると目の前に大きなく派手な入り口があった。
扉をあけるとすぐ階段で地下に行くようである。
階段をおりた先で、受付を済ませて中に入ると、そこは大きなフロアが広がっていた。
店内の装飾はそれはそれは煌びやかで、照明も無数にある。
フロアの中心では多くの人が踊っており、周囲に並べられたテーブルにもびっしりと人がいるのだ。
天井も高く、3階分くらいの高さはあるだろうか?
中二階か?内階段の先にもどうやらバルコニー席のような席が広がっている様子だ。
壁材、照明は現代だが、これはまさに、オペラ座のような馬蹄形の建物そのものだった。
広い店内を十維はMaxを探して歩く。が、なかなか見つからない……
そのうち歩き疲れ、バーカウンターにひとり座り飲み物を注文する。ふと奥の方に目をやると、Maxを見つけた。だがどうやら誰かと話をしている様子……
そりゃオーナーだもん、暇なわけないよな
お酒を飲みながらMaxが話を終えるのを待っていた。
途中、十維は男女問わず何人もの人に声をかけられる。が、どれも断わっていった。その様子を見ていた店員が声をかけて来た。
「お客さん初めてですよね?何をしにウチに来られたんです?踊らないし、ナンパも断ってるし……
なんだか僕、お客さんに興味もってきたんですけど?誰かを探してるんですか?」
「ちょっとね……。ごめん、トイレどこ?」
「あぁ、あっちの奥です。"後ろとか気をつけて"どーぞご利用ください」
「ありがとう」
何が『後ろを気をつけて』だ?
ん?トイレくらい行けるさ
男性用トイレもここは一つ一つのブースが広い。
フロアとは一変して照明はかなり暗めでおちついた空間になっている。人がいても顔まではハッキリ見えないんじゃないからと思えるほど、薄暗い。
5つもある個室トイレの1番右手前に入った。ズボンをずらして腰掛ける。
足音が近づいてくる
どうやら他の人が入ってきた。クスクス笑っている声が聞こえる。
「シー!」
1人が言った。
バタン ガチャ…
ん? 隣のトイレに入った?
チャッ チュッパ チュッ……
ん?なんの音だ?
「あぁもう久しぶりに会えて嬉しくて、キスが止まらないわ。けど下のもしゃぶらせてー」
クチュクチュクチュクチュ……
「最高!おしゃぶりが止まらないわ。幸せ。ねぇ、もっと僕とも会ってよ、もっと僕頑張るから」
「喋らなくていいからもっとしっかりしゃぶれ!じゃないと立たないぞ」
クチュクチュクチュクチュ……
より一層聞こえてくる音が大きくなった。
まさか!隣のトイレでフェラしてるのか!
「ね?そろそろ…」
「んなこと言って、ケツマンの具合はどうだ?」
「もちろん!準備出来てるから、ほら早く!きて!」
ガタン!
十維との間の壁が揺れた。
「あーん」
大きな声が聞こえた
ガタン!ガタン!ガタガタガタガタ…
おっぱじまってしまった!
「あっ!あっ!」
「シー!!」
「ん!ん!!ん!!!」
!!!!
これは…… となりで…… えーー!
しかもこれは、男同士だよな?
声からしたら絶対、絶対男同士だ!
隣で起きているだろうことを考えると、十維は用を足すどころでは無い。ペニスが、もうガンガンに興奮している。
ガタガタガタガタ…… ガタガタガタガタ……
「んーー…んー…… んんんん……」
隣との壁は、激しいピストンの動きによって振動する。音と、喘ぎ声を我慢している息遣いが聞こえる。壁の揺れる音だけでもすごいのに、漏れ聞こえる吐息がまたエロイ。
十維の興奮も段々と抑えられなくなり、気づくと左手の親指を咥えて、右手では自然にしごきはじめていた。
そして……
「ああーーー!」
隣の人が果てた声を聞き、十維も噴出した。
ここ最近で1番感じた自慰となった。
ガチャ
隣の鍵が開いた
「ありがとうMax!またお願いね!」
!!!!!!!
マックス?!
先に出たであろう人が言った言葉……
Maxだって??まさか!まさか!!
そして、もう1人が時間差で出て行く音がする。
十維は気になり、その人が手を洗って出て行く頃合いを見計らいそっと個室から出る。
……後ろ姿は、紛れもない彼だった
「Maxさん……マックスさん……嘘でしょ…」
十維は動揺して動けなくなってしまった。
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