第5話 ストーカー男と危険な男

「朝か…… 」


 十維は目を覚ます。

 昨晩はMaxの店に行き、トイレで衝撃を受けそのまま家に帰宅し眠ったのだった。


  とりあえずランニングをしてこよう……


 日課のランニングへと出発する。

 十維は自分の煩悩を抑えるかのように一心不乱に走っていた。


「うおーーーーー!!」



 しっかりと汗をかき本日のランニングを終えマンションに戻る。エレベーターは8階に到着。


 自分の家に入ろうとした瞬間、向かいの部屋の扉が開いた。


「今日はありがとねー!もう最高よ!

 またねー、Max」


オネェっぽい男性が出てきた。

彼はそのままエレベーターに乗り降りて行った。


   泊まったのか?

   朝だから帰ってきただけか?

   Maxさんもいま帰ったんだよな?

   違うか…やはり泊まったのか?

   ………………

   Maxさんは、あの人とも……

   いや、あの人が昨日の……?

  


 それからの十維は、Maxの日々の行動パターンを調べ始める。

 Maxは基本的に夕方18時半ごろから出勤に向かう。

 そして帰宅は2パターンあった。


 大体が朝の5時ごろ。閉店作業を終わらせてから帰ってきているようだ。


 時折、夜に帰ってくる日もある。時刻は24時頃。そういう時は1人ではない……。


 その後部屋から出ることなく次に出てくるのは、大体14時ごろ。その時間からいつも買い物に行くようだ。


 十維は、Maxの行動パターンに合わせて朝の5時ごろからランニングに出かけることにした。Maxの帰宅時間、その一瞬を狙って少しでも会うためである。


 ランニング後は、自分の出勤だ。

 俺の就労時間は8時半から17時。

 定時に帰るのは大変で、いつもは残業だらけだった。だがそれでは、Maxの出勤する時間に間に合わないので、忙しいがなんとか仕事を終わらせ急ぎ帰宅する。そして、出勤に向かうMaxとほんの少し、すれ違う一瞬、会うことができる。挨拶が出来るのだ。


 Maxが出勤すると今度はジムへ。汗をかきシャワーをし、スタイルを整え、クラブシルキーへと向かう。

 Maxが仕事をしている姿を、時間の許す限り見つめて家に帰るのだった。至福の時間だ。


 もう毎日がMaxの予定に合わせて動くようになった。おかげで仕事の効率もかなり上がり、上司から褒められもした。

 Maxを好きになってからの十維は、全てが順調だった。バラ色だった。

 ……恋が実る以外ではあるが。



 Maxは、クラブで毎日のように違う男たちと話す。

 自宅に人を連れて帰ってくるのは、2日に1回くらいだ。

 持ち帰る人は男性の時もあれば女性もある。毎度違う人のこともあるが、数回に1回は特定の男と帰ってくる。それは金髪で刺青の入ったキレイな男で、シルキーの従業員だ。

 十維が初めて店に行った時にトイレの場所を教えてくれた、あの男だ。


   今日もあの金髪君とだ……

   あれが、Maxの彼氏なのだろうか……


この日も、Maxは金髪男と帰ってきたのだった。



 十維は朝のランニングから帰ると毎日Maxの部屋を見つめる。そして、中で行われているかもしれないことを想像し、興奮し、自分の部屋で自分のムスコを慰める。


「Maxさん……Maxさん……

 あぁ僕にも……もっと……はやく……」


 十維はシゴいていると、自分の後ろが疼いてくるのがわかる。

 トイレでのアノ声を聞いてからというもの、Maxのモノを、いつか自分にも入れてほしくて、その日を想像して、自分で指を尻に入れてみるようになっていた。


 最初はほんの少し人差し指を背中側から手を回し、1節分穴に入れてみる。

 尻に力が入ってのけぞってしまう。


   これじゃだめだ……何か変……

   なんか、

   でもちょっと、気持ち悪くて気持ちいい……


同時に前もシゴいてみる。


   あぁ……あぁ……いつもより気持ちいい!


シゴく手を加速させてみる


   アァーー!


ドピュッドピュッ……タラー……

あっという間にイってしまった。


   ヤバい!なんだこの快感は!

   もっと!もっと!もっと!もっと!!

   もっと感じたい!



十維は初めての快感に酔いしれた。こうなると止まらない。日々、入れていく指を増やしていく。

 

 もっと気持ちよくなりたくて、いつかMaxを自分の中へ誘いたくて、ネットで調べジェルやアナル用開発器なども購入していった。


「アァーー!Maxさん!アァーー!!」





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る