第2話 危険な男に3秒で恋に落ちた!
「ここだな。」
寧々と2人、引越し先の億ションへとやってきた。
ここはすごい。ハイヤーやリムジンまで乗り入れ可能な玄関前のポーチがあるだけでなく、地下駐車場には、住人への訪問者向け無料駐車場も用意されている。
防犯面ももちろん最先端だ。顔認証ロックが玄関には導入されており、両手が塞がっていても、自動でドアが開く。さらに一階にはコンシェルジュが常駐していて、荷物の受け取りはもちろんのこと、住人の様々な要求に応えてくれる。
一階の共有スペースにはホテルラウンジのような応接セットがあり、来客対応もそこだけで可能。その際にはコンシェルジュがお茶コーヒーを出してくれる。
また、ジム器具もあり住人は自由に使える。
さらに、ペットを散歩して帰った際のペット用お風呂もあるので、足を洗って家に連れ帰ることもできる。
住人に対して至れり尽くせりの億ションとなっていた。
契約後初めて訪れた寧々と十維は、玄関前でコンシェルジュにつかまる
「お名前を伺えますか?」
「本日からお世話になります高柳寧々と申します」
「俺は兄の十維です」
「高柳様ですね?お一人暮らしと伺っています。到着予定は10時でしたよね?」
現在の時刻は9時48分
「はい、道が混んでいるかと思ったらすんなり来れたので早く着いちゃいました」
「そうですか、わかりました。引越し業者の方もご一緒ですか?」
「はい、トラック2台来ます。うちの侍従たちも来ますがどうしましょうか?」
「それでは業者のみなさんを紹介お願いします。その後は、その方たちは本日のみ自由に通れるようにしますので」
「ありがとう、よろしくお願いします」
引越し業者や侍従たちを無事に紹介し、8階の部屋へと向かった。
玄関前までいくと誰か知らない女性が待っていた。
「高柳さまですね?私ここのオーナーの母で、若林和子と申します。
この度は当方のマンションを契約いただきありがとうございます。引越しがおわりましたら是非とも休憩がてらに10階までいらしてくださらない?お待ちしてますので。
では、こちらがこのマンションの説明が書いてある書類です。引越し頑張ってくださいね。それでは失礼します」
わざわざオーナーの母が自ら挨拶に来られた。
あれが噂の母か……
そんなにうるさそうな方には見えなかったな
家まで行けば息子にも会えるか?
玄関を開けると引っ越し業者の出番だ。さすがにプロは大したもので、統率も取れており何をするにしてもスピーディーだ。十維と寧々は指示するだけでよかった。
「お兄ちゃん、同じフロアの方への挨拶にそろそろ行かない?」
「そうだな。」
あっという間に引っ越しが落ち着き、業者にもかえってもらったので手土産の羊羹を持ち、2人は挨拶まわりに行くことにした。
「みなさん、いい人ならいいな」
2人はドキドキしながらチャイムの前へ。
ピンポン
向かいの家のチャイムを鳴らす。
ガチャ……扉が開いた。
中から出てきたのは、背は185は超えているだろう大柄で、かなりの筋肉質、そのムキムキな身体を見せつけるかのように、服はボタン3つもあけている。髪はサラサラのセンターわけで、顔は日本人?外人?ちょっと疑いたくなるほどほりが深く切長の目をした男性だ。香りもとてもいい。
十維はその男性を見た瞬間、瞬きも、息をするのも忘れるほど動けなくなった。
『俺さ、
好きになるかどうかは3秒で決まるんだよね。
3秒みてときめかない人は
一生ときめかないって気づいたんだよね。』
ジムでトレーナーに言った自分の言葉が頭の中をめぐった。
「私、向かいに越してきました高柳寧々と申します。
なにぶん初めての1人暮らしでご迷惑をおかけするかもしれませんがどうぞよろしくおねがい致します。」
「1人暮らし?じゃ気をつけてね。
僕は土居誠(どいまこと)。一応ここで僕も1人暮らししてるんだ。
仕事はね、夜してるから昼間は家にいるけど寝ててね。
あ、これが僕の店。良ければいつでもおいで、君みたいな素敵な女性ならサービスうんっとするから。ね!
といってもまぁ、女性が1人で来るにはちょっとハードル高いとこかもしれないけどね。
で、僕を見つめてくれてるそちらはどなた?」
「兄の、高柳十維です。あの……俺もここに住むのでよろしくお願いします!」
「えー???」
寧々が驚く。
「ん、今妹さんが一人暮らしって……ん?お兄さんもここを借りるんです?」
Maxも困惑する。
「いえ、あの、妹1人だと心配なので同居しようと思います。
これ、俺の名刺です、どうぞ。で、誠さんの名刺をいただけますか?これからどうぞよろしくお願いします!店、是非とも伺います」
と、無理やり名刺交換する十維。寧々は驚きを隠せない
「マコトさん…名刺はMaxとなってますね?」
グイグイ誠に話しかける
「僕ね、ハーフなんですよ。で親は僕を誠ではなくMaxと呼ぶからそれを通り名にしてるんです。
気軽にMaxと呼んでくれていいですよ」
「Max……ですか。かっこいいですね。」
どんどん十維は話す。
「お兄さんも名前、珍しいですね……えっとこれは……
あ、TOI? ん?なんて」
「トーイです。オモチャと同じようにトーイって呼ん
でください。」
「トーイ。グッド」
噛み締めるようにMaxは言う。
「はい!トーイとマックスってなんか、英語名前仲間みたいですよね」
笑顔でなぜか2人の名前を続けて言う十維。
「それではこれからよろしくお願いします。失礼します!」
寧々が話を切り上げ、十維を引っ張りながらドアから離す。
Maxの家の扉を閉めてもまだ十維は、名刺を大事に両手で持ちMaxの家を見ている。
寧々は十維を引っ張り自分の家に引き入れる。
「十維お兄ちゃん!どういうこと?一緒に住むってなに?」
寧々は十維の暴走が理解できない。
「寧々、お兄ちゃんは恋をしたよ。
あんなに一瞬で心を奪われたのは生まれて初めてだ。お兄ちゃん、恋しちゃったよ…… 」
「それは見てたらわかります。だけど、だけどね、それと一緒に住むというのは……一体どういうことでしょう?」
「寧々はお兄ちゃんの恋を応援してくれないのか?
お兄ちゃんはお前と彼氏の協力をこんなにもしてるのに、お前はお兄ちゃんの恋路を邪魔するのか?」
「別に邪魔をしようと言うわけではないじゃない。
ただせっかく私、1人暮らしの許可もらって出てきたんだけど……」
「寧々、本当にごめん。でもお兄ちゃんはここに住みたいんだ、いや、住む!」
「えー!本気なの?」
十維の暴走は止めれない……だが寧々も食い下がる
「ここの契約は1人暮らしで出してます!だからたまに来ることにして、住むっていうのは…… ね?」
「寧々!すぐに10階に挨拶に行こう!」
そういうと新たな羊羹の準備をする十維。
天を仰ぎながら寧々も準備を始めるのでした。
「お兄ちゃん、聞いてよー!もー!」
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