第18話 電柱

「ナイアルラちゃんだよ☆ 今日も元気☆」


 知ってる。

 できれば風邪で寝込んで動けなくなって欲しい。


「不敬だぞ矮小なる人間~☆」


 この邪神……。


「今日はね~☆ コレ! 【電柱】!」


 送りつけられたイメージはただの電柱だった。

 道路に大量に並んでいるアレである。

 特にデザインの差もなく、そのまんまだ。


「まあ電柱って名前は全然正しくないんだけどねー☆ ちょっと違う技術が使われてるんだよ☆」


 電柱、に?

 いや電柱の機能は電線を懸架すること。

 そちらの方の可能性もあるか。


「生き物をねー、量子化して伝送できるんだよ☆」


 わあすごい。

 まさかのワープ装置だった。


「専用のケーブルと踏み台だけで使える、すごい技術なんだよ☆」


 本当にすごい。

 というかイメージの時でも確かに薄い踏み台も置いてあった。

 誰かが置いたものだと思ってたが。

 電柱の下に玄関マット置いてあって関係あるって思うのは流石に無理だよ。


「でもねー☆ これ、なんでかー生き物しか伝送出来ないんだよ☆」


 は?


「だから使うとー全裸☆」


 強制的に全裸。

 というかなんでこいつ電柱だけ持ってきたんだよ。

 こういうのは構造……システムとして運用されるもので、部分だけ持ち出しても意味ないだろ。


「これ使ってた世界が別件で滅んだからー☆ 記念品としてぶっこ抜いてきたんだよ☆ だからこれは大統領府の前にあった電柱なんだよ☆」


 わあお。


「で、欲しい?」


 いらん。

 一個だけもらってもコレクションにしかならねえよ!

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