第11話 夢見の羅針盤

「おいっす~☆ ナイアルラちゃんだよ☆」


 はいはい、今日の解説解説。


「扱いが適当じゃない~?」


 いつもこんな感じだろ。


「それもそうだね~☆ じゃあ今日はね~?」


 結構適当だなこいつ。

 まあそれは知っていたが。


「じゃん☆ 【夢見の羅針盤】~!」


 念話で送りつけられてきたイメージはバスケットボールほどの大きさの羅針盤だった。

 そしていくつものダイアルがつけられている。

 このダイアルを動かすことで羅針盤の挙動が変化するように見える。


「この羅針盤はねぇ~! なんと! 好きな夢が見れるの!」


 ゆ、め……?

 なんで羅針盤がそんな機能を?


「この羅針盤はねぇ、夢の世界の水先案内人なんだよ☆」


 水先案内人。


「ダイアルで夢の座標を指し示して~☆ そこへの道筋を案内できるんだよ♪」


 なるほどね。

 夢の在り方がわかった世界の代物なんだなこれは。

 だから、夢の概念に座標がある。


「ちょーっとパラメータを調整するのが大変なんだけどぉ~☆」


 でしょうね。


「誰でも好きな夢が見られるすごいアイテムだよ☆」


 で。

 どうせ落とし穴があるんだな。


「ぶーぶー! 先読みするのダメー!」


 いっつも紹介してるのはそういう代物じゃねえか。

 それならもっと素直なアイテム出しなよ。


「といっても~、これのせいで社会が滅んだだけでこれ自体はほとんどさっきの説明で全部なんだけどね☆」


 あ、待て。

 大体読めてきたぞ。

 


「せいかーい! 誰にとっても理想郷となる夢の座標が見つかっちゃってねぇ」


 そこに行ってしまって、誰も帰ってこなくなった、と。


「すごい光景だったよ~」


 脳裏に送りつけられる、眠った都市から無数の光が空に向かって浮かんでいく景色。

 わぁ、オカルト系のろくでもないタイプの世界終焉だぁ。


「なのでナイアルラちゃんのイチオシ☆ 欲しい?」


 いらん。

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