第10話 美肌マスク

「はろはろー☆ ナイアルラちゃんだよ☆」


 うわ出た。

 二三日静かだと思ったら。


「今日はねー、これ☆ 【美肌マスク】!」


 あまりにも早く、念話でイメージが送られてくる。

 それは使い捨てのパック・マスクのようで、ペラペラの紙のようで。

 なにかを染み込ませて使うもののよう、というかやっぱ化粧水を顔に浸透させるためのマスクだよね?


「そうだよー☆」


 思いの外、普通のものが出てきた。


「これはねー☆ 顔が良くなるんだよ~☆」


 顔が? 良くなる?

 何を言っているんだ?


「これはある世界の化粧品でねー☆」


 化粧品ではあるのか。


「効果がありすぎて、顔が別人になっちゃうんだよねー☆」


 は?


「誰でも簡単に美少女になっちゃうんだよー、骨格レベルでね☆」


 やっべぇ。

 効果がありすぎるってそういうことかよ。


「しかも~☆」


 まだあんの?


「ナイアルラちゃんの顔だよ☆」


 は?

 なにやってくれてんの?

 お前の持ち込み企画かよ。


「え~? 欲しいって言ったから~☆」


 他のやつにもやってんのかよこの念話。

 いや、やってたからこんなことできる、ということか。

 ろくでもねえぜ。


「褒めても何も出ないよ~☆」


 褒めてない。


「その世界は~、みんなナイアルラちゃんになっちゃって、誰も本人確認できなくなっちゃった☆」


 でしょうね。


「顔が変わっても体格や性別が変わるわけじゃないから~、すごいことになっちゃった」


 すごいことになった。

 他人事すぎる。

 やった当人のくせに。


「で、欲しい?」


 いらねえ。

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