第2話 黄金錬成

「はろはろー☆ ナイアルラちゃんだよ!」


 うわ出た。


「ノリが悪いぞ矮小なる人間~☆ 天罰与えちゃおっかな♡」


 ナイアルラちゃんばんざーい!


「いいねー☆」

 

 で、今日はなんすかナイアルラちゃん。


「今日はねぇ~、世界が何があっても滅ばなくなったお薬だよ☆」


 くすり。

 どうせろくでもないんだろうな。


「てれれれー! 【黄金錬成】~☆」


 もう文字からして嫌気がすごい。

 黄金錬成ってあれか?

 錬金術の最奥とされるやつか?


「おおー☆ 博識だねぇ~! だいせいかーい!」


 こんなに当たって嬉しくないことも珍しいだろう。


「その平行世界ではねぇ~、魂の黄金錬成に成功したんだよ~☆」


 それは……すごい。

 スピリチュアル界隈で言われるアセンションというやつだ。

 より高次の存在にへと昇華され……され……。

 そんなものをこいつが紹介するわけがない。


「1日22時間労働」


 は?


「医療技術の完全な断絶」


 は?


「出生率が完全な0に到達」


 は?


「統計上の死亡者が完全な0に」


 なんだそれ……。


「うふふふふ♪ そう、何があってもヒトが死ななくなったんだよね~☆」


 何があっても。


「そう、太陽に落ちようと、宇宙の伸長に巻き込まれようと、空間の歪みに巻き込まれようと、全身が焼かれようと、心臓をえぐっても、脳を引きちぎっても」


 なにがあっても死なない、と。


「だから医療を行う理由がなくなって、繁殖の必要性がなくなったから子供が生まれなくなって、そして資本主義と結びついて起きている間は仕事仕事仕事♪」


 おおう……。

 とんでもないディストピアが……。


「で、どうどう? 欲しくなった?」


 いるわけねえだろクソボケェ!

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