ナイアルラの超常アイテム解説 欲しいと思ったら即配達!
内藤悠月
第1話 チーズの切り身
「よっすよっすー! ナイアルラちゃんだよ☆」
唐突に脳に響く甲高い声。
何度聞いてもキンキンと響くせいでなれないその声の主は、超常存在である。
神とか邪神とか自称していたが、それが事実かはわからない。
だが、一つだけ言える事がある。
こいつは愉快犯で、イカれたことを実現する事ができる存在だということだ。
「矮小なる人間~! なんか不敬なこと考えたでしょ~!☆ ナイアルラちゃんそういうの全部わかっちゃうんだからね♡」
うっぜえ。
終始このノリである。
深夜2時に夜食を頂いていると大体それを嗅ぎつけて念話してくるのでとてもうざい。
「今日はねぇ~、世界を滅ぼしたばっかりのできたてほやほやの代物を紹介しようと思うよ★」
そして、やることはこれ。
「今日の超常アイテムはこれ! 【チーズの切り身】~!」
超常アイテムの紹介である。
なんでだよ。
通販か何かのつもりかよ。
脳に直接語りかけてくるな。
「矮小なる人間はノリ悪いなぁ。でもどんどん続けていくよー!」
半分眠いんだよ!
「デデドン! 今脳に直接【チーズの切り身】の画像を送ってまーす!」
ぐわああああああ!
頭の中に六等分されたチーズのイメージが送りつけられてくる。
それ自体は普通のチーズだが、若干色味が悪い。
傷んでるんじゃないかこれ。
「いいところに気が付きました! このチーズはなんとね……切り身!」
それはさっきも聞いた。
「ぶぶー。違いまーす。これは概念的にカットチーズではないんだよ!」
へー、ふーん。
「なんと死んだチーズから切り取られた切り身なのだ☆ ……そのせいで平行世界が一つ滅んだんだけどね♪」
……は?
「なんかねー。切り身であるという概念が、逆説的にチーズが生きていたって概念を生み出して【生きている】っていう概念を乱し始めたんだよ♡」
生きている……?
「【生きている】から生き物は生きてるんだよ☆ これが【生きてない】になると」
生き物は、死ぬ?
「だいせいかーい!!!! もうこの世のものとは思えない死に方をするというか、現世が冥界に変化しちゃうよ♡」
で、その世界は生きている人がいなくなって、滅んだ、と。
「知性のあるモノは残ってるみたいだけどねー、それらは全部【生きてない】から」
とんでもないチーズだな……。
というかチーズである必要もない。
「で、どうどう?」
どう、とは?
「欲しくなった?♡」
いるかボケェ!!
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