エピローグ



「今回は本当に情報が少なくて苦労しましたね」


「そうだな」


 私は煙草に火をつけながら一通り目を通した報告書を眺めていた。


「それで、ヒョウさん何かわかったんですか?」


 キラキラした目で私を見ているクロノ。


「クロノ。報告書は全て読んだ」


「はい」


「お前は何かわかったのか?」


「いえ、全く」


「だろ? だったらもっと報告書を集めてこい」


「わかりました!」


 バタバタと部屋から出て行くクロノ。


「ふう……」


 私はゆっくりと煙を吐き出した。


 まあ、二月と三月が特に何かを企んでいるわけじゃないことはわかった。


 とりあえずそのことだけでも依頼人に伝えておくとするか。


 私は机の上の電話の受話器を取りプッシュした。


「ああ、もしもし、四月さんですか。ヒョウです。いえ、今のところ、二月と三月に怪しい動きは見られませんよ。安心して春をむかえてください。ええ。それではまた、何かわかれば。はい、失礼します」


 四月まであと一ヶ月。


 何もなければいいのだが。


 あとはクロノの調査を待つことにしよう。


 もしかしたらまた新たな情報が入るかもしれない。


 そう思いながら私は短くなった煙草を灰皿に押し付けた。




                  完





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「二月と三月の会議」報告書 クロノヒョウ @kurono-hyo

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