040 理想の冒険者パーティ

 初日の道のりはアクシデント等に見舞われることなく、無事に進むことができた。装備品のメンテナンスや夕食を済ませる。

 とりわけ、セフィリアは回収した矢が再び使えるのかを入念に確認していた。

 俺もステータスを確認するが、レベルは9に上がっていた。次はいよいよ大台のレベル10か……。次の部屋拡張に必要なホームポイントは100だが、次のレベルアップでがっつりもらえると嬉しい。理想は風呂、せめてシャワーが欲しい。今はキッチンで出したお湯を使って身体を拭くくらいしかできないからな。まぁ、それも部屋数が増えたおかげでスムーズにできるようになったが。

 そんなこんなで後は寝るだけっていう状況だが、時折ミーティングみたいなことをしている。


「今日は大丈夫だったけど、このエリアでストームイーグル以外に戦闘を避けるべき魔物って何がいる?」

「この辺というか、もう少し先だけどレッドホーンブルは危険ね。ジャイアントホーンブルの上位種で三級魔物よ。ジャイアントホーンブルが四級で、ビッグホーンブルは五級だから戦えるはずよ」

「なるほど。……ブルってことは牛だよな。食えるか?」


 マリーが食いしん坊を見るような目で俺を見るが、まぁ気にしないぞ。


「ビッグホーンブルの肉はちょっと固いけど、食べられるわ。ワイルドラビットの方が美味しいけど、一度にまとまった量を確保できるのがいいわね。腹部のお肉はまだ柔らかいけど、腐りやすいから干し肉にすると保存ができて……あぁ、次元収納があるから気にしなくてよかったわね」


 肉を食えるのはありがたいな。でも生き物としての牛がけっこう好きだから戦えるかな……。なお、今話題に上がったビッグホーンブルのように、一部の魔物は上位種に進化することで強くなるらしい。ボールで捕まえる某モンスターを思い浮かべてしまうが、誰に言ったって伝わらないからぐっと堪える。上位種の方が強くて倒すのが難しいが、サイズが大きくなるし味もおいしくなるらしい。


「レッドホーンブルもストームイーグルも三級か。エッグベアーと一緒なんだな」

「まぁ、二級以上の魔物が頻繁に現れたら人類は滅んじゃいますから」


 マリーがサラっと言うが、二級や一級の魔物というのはそれほどの脅威なんだと改めて思い知らされる。災害のようなものじゃないか。

 そんな天災のような魔物たちに比べれば、三級の魔物は人類がなんとか討伐できる水準らしい。それでも、ちゃんと装備を整えた腕の立つ冒険者が徒党を組んで連携し協力しなければ倒せないということなのだが。


「ダンジョンに入れるようになったら、その次の目標は打倒エッグベアーか?」

「ふふ、気が早い相談ね。今の三人じゃ厳しいけれど、いずれは……ね?」

「そうだな。……なぁ、一つのパーティーって最大何人だっけ?」

「六人ですね。もし今の状態から加えるなら……どんな人が必要になってきますか?」

「そうね、剣士が二人と魔術師だから……打撃武器使いと斥候と回復役が欲しいわね。斥候がある程度、魔術も使えると理想的ね」


 斥候と回復役はなんとなくわかるが、打撃武器使い?と思って詳しく聞くと、魔物の中には金属質だったり硬い外皮で覆われていたり、石みたいな素材のものがいたりして、剣とか槍だけじゃどうにもならない場合があるらしい。しかも、えてしてそういう魔物は魔法に耐性があることも。そんな時、安定してダメージが叩き出せるのが、打撃武器らしい。


「護衛依頼のことも考えれば、もう一人くらい仲間がいた方が心強いけど、流石にそれはこの空間がもうちっと広くないとなぁ」


 1LDKで四人はあまりにも狭い。そういう意味も含めて、マイホーム……成長が待ち遠しいぜ。

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