第二十七話

「外に出すなんて危ない真似は絶対にしないし、学校に行かせたりもしない。」


 黒は本気の目をしている、嘘をついているようには見えない


 どうやら、このぶっ飛んだ話も冗談ではないらしい


 だがそれが事実ならば一つ気になることがある


 何故俺のことを好きになったのかが全くわからない事だ



「俺を好きだと言ったが、詳しく話せ」


「それは私が君を好きだと思った理由を答えればいいのかな?それともその感情が生まれた経緯を説明すればいい?」


「両方だ」


「わかった。まず私は君の事を初めて見た時からずっと興味があったんだ。君はこの学校では有名人だからね。」


 確かに俺は学校ではかなり目立つ方だが



「そしてある日の放課後、たまたま校舎裏を通りかかった時に偶然君を見かけたんだ。その時は会話をしたことはなかったけど、遠くから見てすぐにわかったよ。ああ、これが一目惚れなんだなって。その瞬間に頭の中で何かが弾けたような感覚があって、それからはもう夢中だった。気がつけばいつも君のことばかり考えるようになっていた。胸が苦しくて切なくて、たまらなかった。こんな気持ちは初めてだった。」


 まるで恋する乙女のような表情で語る黒


 その姿はとても演技とは思えない程リアルで、真実味を帯びていた


 本当に俺の事が好きで好きで仕方ないのだということが伝わってくる

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る