第41話 師匠の新居に行きました

 師匠達が出発してから、早くも1週間ほどが経過した。

 朝、アイギスさんと畑作業をしていると、イリアから手紙が届いたと声がかかった。

 その手紙は、師匠から手紙だった。

 あっという間に、新居が決まったようだ。


 手紙が来たからと言って、いきなり押しかけるわけにもいかないので、俺達は数日後の日付を手紙に書いて、その日に伺いますと送った。


 それから、諸々の準備や商業ギルドへの納品を済ませて、師匠達が新居を構えた港町へと向かった。


 港町は、今まで見てきた港町と比べるとかなりの大きさだった。

 なんとなくな印象としては、港町というより港街。

 さすがヒノモトの玄関口だなぁって感じだ。

 

 ヒノモトに近いこの場所は、和服の人が多い気がする。

 袴、羽織の侍や、巫女っぽい服装の女性、さすがに丁髷は……少しはいるみたいだな。

 種族も、この世界の全種族がいるんじゃないかと思えるほど、色々な種族をみかけた。

 和服スレンダーエルフ……アリだな。と見つめていると、イリアから満面の笑みで『ご主人様』と呼ばれ、「どうした?」と返したが、無言の笑みを頂戴するという貴重な時間を過ごしました。。。


 ようやく師匠の新居に着くと、庭付き、店舗部分なし、2階建の大きな建物だった。

 ギルドへ納品すれば、店舗部分って要らないよね……。

 玄関には、チャイムが付いていて、スイッチを押すと、ピンポーンと鳴った。

 こんなところに勇者の影響を感じるとは。


 そんなことを思っていると、中から、エスちゃんメイちゃん姉妹が出迎えてくれた。


 俺達は、それぞれ挨拶を交わし、師匠の元へ向かった。


 師匠はダイニングで椅子に座り、優雅に紅茶を飲んでいた。

 そこでも、俺達は、それぞれ挨拶をして、引っ越し?新居?祝いに、錬金術の素材やイリアお手製のお菓子、アイギスさんが育てた野菜を渡した。


 その後、アイギスさんとイリア、テマリ、エスちゃんメイちゃん姉妹は、別室に行ってワイワイと話しながらお茶にしたようだ。


 俺は、師匠と通信魔道具についての話をすることにした。


「師匠、通信魔道具ってやっぱり軍事機密ですかね?」


「そうだねぇ……まぁ今は、軍事に使うことなんて滅多にないし、そこまで秘匿するもんでもないんじゃないかね」


「そうなんですか?」


「あぁ、お前さん、今って戦争してるところあるかい?」


「あー、確かに。概ね平和ですよね」


「そういうことさ。でも、何に使えるかなんて考えてはいないだろうねぇ」


「なんでですか?」


「そりゃあ、通信魔道具を使うってなりゃ、かなり大きな魔石が必要になるからさ」


「それは距離とかで変わるんですか?」


「そうだね。まぁ、ここからキュウスへ向かう港町が距離としては限界だろうね」


「そんなもんなんですね」


「そんなもんって……ま、お前さんからしたら、そうかもしれないけどね? この世界では十分凄いことなんだよ?」


「あー、そうか宇宙に衛星とか無いですもんね。確かにそれで、その距離をよく届きますね」


「うちゅう? なんだいそれは?」


「えっと、空の上ですかね」


「……??」


「太陽とか月って伝わります?」


「あぁ、大丈夫だよ」


 ここで、謎の異世界語変換が起きてるようだけど、そのまま伝えて、曖昧だけど、なんとなくのイメージを伝えることができたと思う。

 そのまま、ラジオについてもザックリ説明をして、師匠と一緒に考えてみた。


「それで、どうですかね。その通信魔道具を改良して、町中だけの放送って出来ないですかね?」


「そうだねぇ……魔力に指向性を持たせなくていいとなると、かなり簡略化できそうだね。それに、町中だけってことなら、そこまで大きな魔石も必要ないね。別に誰に聞かれても良いわけだし、その辺も簡略化出来るねぇ」


「おぉ! ってか師匠詳しいですね」


「ま、その辺は、縁があってね。ってことで、早速商業ギルドに行くよ!」


「お、急ですが、了解です! お供させていただきます」


「何言ってんだい。お前さんが、主導で説明するんだよ」


「あ、そうなんすね」


「ラジオってやつの説明は任せるよ。魔道具については、あたしがやってやるよ」


「おぉ! さすが師匠! ありがとうございます!」


「さ、準備しな! 行くよ!」



 俺は、みんなに商業ギルドに師匠と行ってくると言って、ギルドへ向かった。


 商業ギルドでは、ラジオの内容と、それによる広告宣伝効果などを説明すると、ギルドの職員さんの目がギラギラとしていたのが印象的だった。


 そして、試験的に俺が住む湖の町で、ラジオ放送をやってみることになった。

 魔道具の製作に、数週間かかると師匠が言っていた。

 試験的な意味合いもあり、数は、送信1と受信5くらいになるという。


 ギルド内に、送信1と受信1を設置し、酒場や大きな宿屋や食堂に残りの受信3を設置する予定だ。


 俺としては、これでやりたいことが終わったので、後は、みんなとゆっくり港街を楽しもうと思っていた。


 ……まぁ無理ですよね。

 師匠にだけ押し付けて、遊びに行けるわけも無く。

 俺と師匠は、送受信器の作成に取り掛かることになった。

 他のみんなは、ゆっくり楽しんできてもらうことにした。


 あ、イリア、アイギスさん、美味しそうなのあったら買ってきてね。



 こうして、だいたいの形が出来上がり、仕上げや調整をしてから、商業ギルド経由で送受信器を送るということとなり、俺達は港街を後にした。


 みんなが屋台や店で買ってきてくれた、海鮮系の料理や刺身、焼き魚、寿司など、めっちゃ美味かった。

 4人とテマリは、さらに仲良くなり、俺も師匠と仲が深まった?と思います……。

 なんせ同じ部屋で寝たからね!

 ……2人とも疲れ果てて、床で寝ただけですけどね!

 身体バキバキですぅ!



 こうして、ユノミー湖の町には、ラジオが導入された。

 受信器を設置されたミュージックバー、大きな宿、大きな食堂は、珍しいもの見たさに人が集まり、さらに人気になったという。


 開発者特典というのか、俺の家にも受信器をもらった。


 ラジオパーソナリティーは、婚活パーティーの司会進行を上手いことやってくれたサラさんが初代パーソナリティーとなり、初のゲストはレイラさんとなった。


 トークと生歌生伴奏という放送内容となったが、それぞれの場所で聞いていた人達が、後日ミュージックバーへと足を運んだという。

 そのことを知った目敏い商人達は、いち早く広告宣伝の概念を理解したようで、俺が納品に行くとギルド職員さんはニッコニコで対応してくれた。


 

 後に、ラジオは師匠のいる港街にも導入され、湖の町同様、運用は上手くいったようで、師匠からの手紙に、気持ち悪いくらいの笑顔で、いつも対応してくれると書いてあった。



 その後、ラジオは徐々に世界中へと広がった。

 また魔道具も改良され世界中へ放送が届くようになり、地球でのラジオと同じように番組が組まれるまで成長することとなる。

 その中でも、ユノミー初代パーソナリティー『サラ』は、長年番組を続け、『サラさんの声は聞いていると癒される』『楽しそうに笑うサラさんの声、元気が出る』などなど、世界中の人々に愛され伝説のパーソナリティーとして語り継がれることとなるのだった。










————————————

誤字報告ありがとうございます!

修正しました!



お読みいただきありがとうございます。

ここまで皆様に読んでいただけるとは思っていませんでした。

見切り発車故、プロット?なにそれ美味しいのん?状態です。

基本的には、拠点を構えてから、1話完結型で書いています。

もともとそう書こうと思っていたねで、そこは良いのですがね。

俺がダラダラ書いても内容が無いよですから!🤣

理想として、目指す先は、サザ○さんかちび○子ちゃんか…w

今後、のんびり、ほのぼのな話が書けるように精進致しますぅ!


長々と失礼致しましたm(_ _)m

お読みくださる皆様、本当に、ありがとうございます!

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