第24話 唐揚げ
なぜか、小さな魚しか釣れなかったが、量はそれなりに確保できた。
揚げ物するなら、鶏肉とかも欲しいな。
何はともあれ、まずは油が必要だな。
俺とテマリは、港町の商店街へと向かった。
東の島国からの玄関口になっているだけあって、商品の品揃えは素晴らしいの一言だな。
ただやはり、植物性の油は高いな。
ん? あの白いのはラードか?
「すみません、これってラードですか?」
「らーど? それはオーク油ですね」
あー、なるほど。
オークから作った油だったのか。
ま、ほぼラードとおなじだろう。
値段もお手頃だし、これにしよ。
片栗粉は流石にないか。
小麦粉で代用かな。
俺は、オーク油を購入して、肉を専門で売っている店へ向かう。
ここでは、鳥系の魔物肉を購入した。
ついでに、売り物にならないような端肉を安く売ってもらいテマリのおやつにした。
他にも色々店をまわり、下味に必要な調味料、ニンニク、レモンを購入。
ニンニクとレモンを購入した店には、各種ハーブも売っていた。
種はあるか聞いてみると、専門店があると教えてくれたので、そちらに向かい色々な種を購入しておいた。
宿に戻り、追加でお金を支払い調理場を借りて、小魚と鳥肉を調理する。
鳥肉には下味をつけて放置、その間に小魚に塩と小麦粉をつけて揚げる。
その後に、下味をつけた鳥肉も小麦粉をつけて揚げた。
オーク油を使ってみたけど、匂いはなかったな。
あとは味だけど……。
オニカサゴを揚げたのを食べてみる。
うん! カリッと揚がっていて、美味いな。
テマリにも少し冷ましてあげると、ハグハグと美味しそうに食べていた。
鳥肉も、下味にニンニクをいれたので、ジューシーでニンニクの香りもいいね。
俺の分はレモンを絞って、テマリはそのままで食べた。
ニンニクがあるからテマリは大丈夫かなと思ったが、こちらの方が魚より勢い良く食べてるね。
宿の女将さんが、この料理を宿で出してもいいかと聞いてきたので、了承しておいた。
他にも色んな魚を揚げても良いし、イカやエビも良い、あとはオーク肉を揚げてもいいかもと行っておいた。
オーク肉はパン粉と卵使うといいよってザックリ教えておいたので、あとは研究してみてくださいな。
あと、オーク油を処分するのが面倒なので、女将さんにそのままプレゼント。
料理を教えたことで、先ほど支払ったお金を返してくれた上に、オーク油代もくれた。
ありがたや。
さっそく今日の夕食から試しに出してみるらしい。
この日の夕食には、エビの素揚げがサービスでついていた。
塩だけでも美味しいけど、マヨネーズやタルタルソースほしいね。
タルタルソースってマヨネーズと玉ねぎとゆで卵だっけ?
マヨネーズは売ってなかったんだよなぁ。
東の島国にならありそうだけど。
転移勇者なら作ってるはず。たぶん。
夕食には、アイギスさんとイリアも一緒だったので、2人も揚げ物の魅力に気づいたようだった。
最初は、イリアが食事を一緒に食べるのは〜って言ってたけど、情報共有の意味もあるからってことと、アイギスさんも一緒に食べようと誘ったことで、今では一緒に食べている。
少量のお酒も飲みながら、みんなで美味い夕食を食べて就寝。
異世界らしく常温のエールかワインしかなかったことが残念だったな。
揚げ物っていったら、キンキンに冷えたビール飲みたいよなぁ。
氷魔法だけでも、どうにか覚えられないかな?
それさえあれば、エールでも冷やしたら美味そうな感じだったし。
こっちに転移や転生してきた人も、同じように考えていたのかなぁと思いながら、ゆっくり意識が夢の中へ旅立っていった。
次の日から出航の日までは、そんな感じで釣りをしたり、食材を買ったりしながら過ごしていた。
魔法については、飲み水生成のイメージをキンキンに冷えた水で試したら、キンキンに冷えた水が生成されたので、もしかしたら、イメージを続けることで、ここから水魔法などが発現するかもとちょっと期待している。
また、釣りをしていた時に、漁船が帰ってきて、タコを捨てているのを見たので、急いで声をかけて、1匹ゲット出来た。
宿に戻り、これを食べるって言った時は、みんなドン引きした表情をしていたね。
何回も塩でヌメリとったりして、茹でてから調理するから、手間がかかるんだけどね。
刺身にして醤油で食べたり、揚げ物にしてみたり、俺とテマリが美味しそうに食べていて、ようやくみんなチャレンジしてみる気になった感じだった。
みんな食べてみて、美味しいことがわかったようで、その時の女将さんがコレが捨てられてるなら……ふふふって笑っていた。
その日から夕食の時は、お酒とつまみが1品サービスでついてきた。
ありがたいことです。
こうして、最終日には、満面の笑みの女将さんがわざわざ見送ってくれて、俺達は東の島国へと出航した。
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