第10話 錠剤効果確認
痛い、寒い……。
起きました。
あんまり眠れなかったな。
眠い目を擦りながら、キッチンへと向かった。
師匠が朝食の準備をしていたので声をかける。
「おはようございます」
「おはようさん」
「あの2人はまだ起きてこないですか?」
「あぁ、ちょっと様子を見てきておくれ」
「了解です」
俺は、2人の様子を見に行く。
ノックをしたが反応なし。
開けるぞっと声をかけてドアを開ける。
まだ寝ているようだな。
ま、ここが安心して眠れる場所ってことなのかもな。
「おーい、そろそろ起きろー」
モゾモゾと2人が起き始めた。
「良く眠れたか? 姉さんのほうの状態を確認したいんだけどいいかな?」
寝ぼけたままの2人が頷いたので、姉の包帯を確認する。
そっと包帯を捲ると、回復しているようだ。
「うん、回復してるかも。食事終わったら、師匠と一緒に包帯外すからね」
うーん、まだボーッとしてるわ。
2人に浄化をかけて、キッチンに来るように声をかけて、俺は先に戻った。
「師匠、姉の眼ですが、回復してる気がしますので、食事の後に確認をお願いします」
「おぉ! それは良いね! それなら、食後に錬金部屋が暗いから、そこで確認してみようかね」
「お願いします」
師匠と話していると、2人が手を繋ぎながら入ってきたので、そのまま食事となった。
みんなで食事を済ませ、錬金部屋へと移動する。
蝋燭1本ほどの灯りで、眼の状態を確認する。
姉に声をかけて、包帯を外す。
師匠が、ゆっくり目をあけてみなっと言い、姉はゆっくり瞼を開く。
暗くて、はっきりした色は分からないが、眼球が再生していることは確認できた。
「小娘どうだい? 見えるかい?」
「……は、はぃ。みえ、ますぅ」
そう言って姉は泣き出してしまった。
まぁ、そうなるよね。
ガキンチョの方も姉に抱きついて一緒に泣いている。
とりあえず、錠剤でも効果があることがわかったな。
「師匠、あの作り方だと、錠剤が3錠出来る訳ですが、ハイポーションは何本出来るんですか?」
「そうだね……あの分量なら、1本ってところかね」
「おぉ、それなら錠剤もいい感じですね」
「まぁ、即効性はハイポーションだけどね。その辺も既存のハイポーションとぶつかる事が無いから、ギルドへの登録もすぐ出来そうだね」
「じゃあ、今日は登録に行きますか?」
「そうだね、そうするかね」
「あ、この子達はどうします?」
「あー。追い出すにはまだ状態が心配だね……お前達、名前は?」
師匠が、そう声をかける頃には、2人はだいぶ落ち着いていた。
「わ、わたしは、エスです。こっちは妹のメイ」
「姉ちゃんを助けてくれて、ありがとうございます」
姉妹だったんだね。
年齢も確認する。
妹のメイちゃんは、10歳で、男の子みたいな赤髪ショート。
姉のエスちゃんは、14歳で、赤髪セミロング。
2人ともガリガリ。
「あ、あの錬金術師様! 私達をここで働かせてくれませんか!?」
「また急だねぇ。ま、ここで生きてくには、それくらいじゃなきゃね。お前達は生活魔法は使えるのかい?」
「いえ……まだ教会に行ったことがないので……」
「そうかい。ならここで働く前に教会に行くべきだね。もしかしたら、良いスキルや魔法を覚えるかもしれないし」
「師匠、そんなこともあるんですか?」
「あぁ、稀にってくらいだけどね。女神様の気まぐれって言われるやつさ」
「そうなんですね。なら、みんなでギルドに行ってから教会ですかね?」
「そうしようかね。よし、お前さん達準備しな! 行くよ!」
こうして、俺達は、ギルドへ向かった。
師匠がギルドで錠剤を登録し、持ってきた2錠を売却。
結構いい値がついたようだ。
俺達は、そのまま教会に向かい、師匠がお布施を俺達の分まで渡してくれたので、気兼ねなく中へ。
せっかくなので、みんなでお祈りする。
プルメリア様、加護のおかげで、早速スキルを取得できました。ありがとうござます。なんとか生きていける目処がたちました。お菓子は砂糖がまだ無くて作れませんが、しばらくお待ちくださいませ。
『はいはーい』
うん、御答いただきましたね。
みんなもお祈り終わったみたいだ。
そして、俺達は、師匠の家まで帰宅した。
姉妹に、生活魔法以外に何かあるか確認する。
「お前達どうだった?」
「私は、鑑定というスキルがありました」
「僕は、魔力向上がありました」
「お! 凄く運が良いじゃないかい! それがあればこんなとこじゃ無くて、もっと良い場所で働けるよ」
「いえ! 私達は、ここで働かせてください。教会に行く前に、メイと話したんです。どんなスキルや魔法をもらったとしても、錬金術師様のもとで働こうと」
「そうかい……わかったよ。ここで働きな。お前さんはどうするね」
「俺ですか?」
「もう錬金術のスキル手に入った訳だし、錬金術師としてギルドに推薦しとくよ」
「おぉ! ありがとうございます!」
「で、どうするんだい?」
「あー……。月末のオークション次第ですかね。そこでお金が手に入れば、東の島国にでも行ってみようかと」
「お前さんなら、そのほうがいいだろうね。ま、この家も狭いからね。そんなに部屋がないから丁度良いさね!」
「あは、は……」
まぁ本気でそう言ってるようには見えないからいいんだけど。
確かに、ここは狭いからね。
「ということで、師匠もう少しお世話になります。つきましては、寝袋だけでも買っていただけるとありがたいです」
カウンターの裏は、せめて寝袋が欲しいです。
「そうだね。少しはやいが、餞別ってことで買ってやろうかね」
「ありがとうございまーす!」
こうして、姉妹と俺の今後が決まった。
オークションの金額次第だけど、幌馬車と馬が買えればいいな。
あとは、護衛か……可愛い奴隷ちゃんでも買えたら良いかも!
そんな妄想をしながら寒くて辛いカウンターの裏で就寝した。
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