第7話 魔物とキノコ

 次の日、朝食を済ませて、師匠に質問する。


「ところで、魔物? モンスター? っているんですか?」


「お前さん、さすがにそれは知ってるだろう? ここまで来るのに一回も会わなかったのかい?」


「え、と、あは、は……会ったことも見たこともないですね」

 

 城からギルド行ってここに来たからな。


「どういう運してるんだい。魔物は、草原にもいるよ」


「どんな魔物がいるんですか?」


「そうさね。草原にいるのは、魔物なら、角ウサギ、ゴブリン、ウルフあたりかね。動物も色々いるけどね」


「へぇ、強いんですか?」


「レベルが5もあれば素手でも大丈夫だろうね」


「どうやったらレベルって上がるんですか?」


「どうって、生きてりゃそれなりに上がるだろ? お前さんなら5くらいあるだろ?」


「……1ですが」


「ん? 何がだい」


「いや、だからレベルが」


「……そんな訳あるかい!」


 こりゃ話がややこしくなるから、もうこっちの境遇話ちゃうか。


 ということで、カクカクシガジカでして、えぇ、はい、そうなんです、それでここに。


「はぁ……そういうことなら最初から言いな! お前さんの常識のなさや変に色々知ってる知識は転移者だったってことなら納得だよ」


「そういうことなんですよ。ところで生きてれば上がるってどういうことです?」


「そりゃ、だいたい5歳で1レベル上がるんだよ」


「あぁそれで、俺は5くらいあるはずなんですね」


「そうさ。あとは魔物を倒したり、魔法やスキルを使用したりすればって感じかね。1番効率がいいのは、魔物討伐だけどね」


「そうなんですね」


 とりあえずは錬金術スキルとって、レベル3くらいになったら角ウサギ倒せば良いかな。

 あとはどのくらいでスキルが取得出来るかだけど。

 さすがにまだ取れてないよな?

 ステータス……。


=========

名前:麦蔵 譲司 (ムギクラ ジョウジ)

年齢:35

職業:無職

レベル:2

魔法:生活魔法

スキル:錬金術

加護:プルメリア神の加護

=========


 

 おぉ! スキルゲットしてる!

 レベルも上がってるし。

 浄化と錬金術で経験値が貯まったのか?


「師匠、レベル2になってました。あと錬金術もありました!」


「はぁ!? いやまぁ、お前さんは異世界からの人間だから、こちらの法則がどこでま当てはまるか謎だからね。そういうこともあるか……」


「法則が? 錬金術のスキルも何か違う可能性があるんですかね?」


「さぁね。ま、試してみりゃわかるさ」


「そう、ですね。じゃあ今日は草原で採取ですかね」


「日銭が欲しいからね。そうしようかね」


 そんなこんなで草原へ。

 薬草を採取しながら、じっくり観察してみる。

 匂い、形、ついでに齧って味も……うん、ヨモギだ。

 あ、そういえばキノコってないのかな?


「師匠、キノコってあるんですか?」


「この辺にはないよ。あそこに見える森まで行かなきゃないさ」


 そう言って師匠は、遠くの森を指差した。

 うーん、歩いて30分から1時間ってところかな。


「危ないところですか?」


「そりゃ、オークやらゴブリンやらがウヨウヨしてるさ」


「俺じゃすぐ死んじゃいそうですね」


「だろうね。レベルで言えば8は欲しいかね」


「キノコあれば、スープも少しは美味しくなるのに」


「へぇ、そいつは良いこと聞いたね。お前さん、いくよ!」


「え?」


「ほら! ボケっとしてないでついてきな!」


 師匠は森へと歩いて行った。

 慌てて俺もあとをついて行く。

 30分ほど歩いて、森へとついた。

 少し森に入ったところで、師匠はキノコを採取し始めた。


 俺もその辺を探してみる。

 キノコは何種類かあるみたいだな。

 ってか、こんなにいっぱいあるんだ?

 ま、異世界の不思議ってことでいいか。


 まずは、赤いカサに小さな白丸がいくつかあるキノコ。

 ヒョロヒョロな茶色っぽいキノコ。

 全体が青いキノコ。

 そして、朽ちた木に生えている椎茸。


 天然の椎茸ってあるのか?

 まぁ、異世界だからなぁ……。


「師匠、この椎茸って食べれるんですか?」


「ん? シイタケ? って! それは魔力茸だよ! こんな浅い場所で採取出来るなんて運が良いねぇ」


「椎茸が魔力茸……。これって栽培してたりするんですか?」


「栽培? そんなこと出来る訳ないじゃないか。そんなことが出来たら、それだけで稼いでいけるよ」


「へぇ、そんなに高価なんですね。あっちの世界だと、これと似たようなキノコが栽培出来たんですよね」


「はぁー、そりゃ凄いね。とりあえず、このくらい集まれば十分だろ。魔物に会う前に帰るよ!」


「了解です」


 夕方になる前に、師匠の家まで帰ってこれた。

 さすがに疲れたな……。

 魔力茸は3本くらい採れたな。

 あとは、よく分からない師匠が採ったキノコ。

 師匠に聞いて、味が良いキノコはそのままに、普通くらいのキノコは切って乾燥させて、スープを作ってもらう。


 うーん! いい出汁が出てるねぇ。

 旨味が増したね。

 師匠は、無言で夢中になって食べていた。

 しかし、椎茸かぁ。

 魔力茸は錬金術で使うから、残してある。

 カサが開いてないのが1本あったから、それで実験してみようかな。 

 

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