第11話 初探索終了:奏と今後の方針決め
初ダンジョン探索後、肉体的疲労と精神的疲労からいつも活発な穂乃果でさえ大人しかった。
そんなことから、今日は解散し、後日反省会をすることとした。
「それじゃあおつかれさん」
「……お疲れ(様でした)」
3人はそのまま帰宅して行った。
素材は後日換金するとして、俺は冒険者支部にいき奏と会うことにした。
支部に入ると、奏は受付に座っていた。
受付の前まで行き、奏に声をかける。
「お疲れ。今終わったよ」
「あら。お疲れ様。どうだった?」
「そのことと今後について話がしたい。いつもの部屋はいいかな?」
「ええ。そう言うと思って空けておいたわ」
「助かる」
受付終了の札を立て、会議室に向かう奏の後を歩く。
会議室は高額換金や、聞かれたくない話などをするときに利用するのだが、新宿ダンジョンで高額換金される物はめったにでない。
そのことから、この会議室は基本的にいつでも使用可能なのである。
会議室に入り、奏の対面に座る。
「まず、今日は第1、2階層のゴブリンを集団で狩った。そしてスキルレベルは皆2あがったよ」
「おめでとう。あなたの仮説が正しかったのかしら?」
「いや、まだわからない。なんせレベル1が3人だったからね」
「そうね。それであの3人はどうだったかしら?」
「ああ。友美は初戦闘にも関わらず、ゴブリンを見つけ次第すぐに駆けて攻撃していたよ。物怖じしてなかったし素直にすごいと思った」
普通、初魔物で戦闘スキルを持っていないと、怖くなって怖気付くと思っていたのだが……。
そこで颯爽と俺が魔物を狩り、尊敬の眼差しを浴びる予定もあったのだが……。
「それはすごいわね。私でも躊躇しそうだわ」
「奏は鑑定スキルだからな。戦闘するより、相手を鑑定して皆に情報を伝えることがメインになるんじゃないか?」
奏の鑑定スキルはLv.8まで上がっており、恩恵として物をより詳細に鑑定できるようになった。
ゴブリンの魔石を例にすると……
鑑定スキルLv.1:ゴブリンの魔石
鑑定スキルLv.8:新宿ダンジョンにて獲得されたゴブリンの魔石。ゴブリンLv.3。魔石の中に魔力が残っている。
このようにどこでとれたのか、魔物のレベル、魔石中の魔力量など詳細に鑑定することができるのだ。
人物鑑定でも、より詳細なデータが手に入るようになり、かなり強力なスキルとなっている。
何故、奏がここまでレベルが上がったのかは、俺のせいだ。
基本的にダンジョンで取れた物はすぐそばの冒険者支部で買取するのが通例だが、高額アイテムや珍しいものは持ち帰り、奏に鑑定させていた。
奏には昔からお世話になっているし、少しでも恩返ししたいと思っていたので、そのようにしていた。
「そうね。私は剣道していたから、多少は武器を扱えるわ。自衛で持つことはあっても自分から戦闘に参加する気は今のところないわ」
「それでいいよ。十分戦力になる」
そこから、ダンジョンでこっそり撮影していた戦闘の様子を奏と一緒に見ながら、反省点を洗い出した。
多角的な視点からみると、色々なことがわかっておもしろい。
今後の方針を練りながら、この平和な時間をまったりと過ごしていった。
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