第6話 私、転学して来ます

「という事で今度.....また結衣と会う事になった」


「そうなんですね」


「まあとは言え土曜、日曜日だろうけどな。.....今週は休みは無いし」


「そうですね。.....まあそうなるでしょうねぇ」


朝になってから俺はそんな会話を憂ちゃんとしていた。

憂ちゃんはご飯をよそいながら笑みを浮かべる。

因みに親父と.....憂ちゃんの母親の流花さんは出勤している。


親父は朝早い仕事である。

流花さんもどうやらその様だが。

その為にご飯が炊いてある。


「おにーさん」


「.....何?憂ちゃん」


「結衣に宜しくです」


「.....ああ伝えておくよ」


「それから.....私は貴方と同じ高校に通います」


「ああ。それは.....は?」


ブハッと味噌汁を吹き出した。

そしてそれを拭き拭きする憂ちゃんを見る。

憂ちゃんはニヤッとする。

それから、あれあれ?おにーさん聞いてなかったんですかぁ?、とおちょくる様にいってくる。


「聞いてないが.....冗談だろ?」


「冗談で言いますかね?こんな事を今。.....冗談じゃないですよ。おにーさん♡」


「.....」


「.....あれあれぇ?おにーさん何かコーフンしました?」


「してないけどな。おちょくるなって.....」


胃痛がする.....。

俺は考えながらそれを抑える為に味噌汁を飲み。

豆腐に掛かっていた出汁まで飲んだ。

ヤバいんですけど。

何でこんな事になるのか.....。


「出汁まで.....というかおにーさん。私は職員室に行きます。.....のでちょっと行くの遅くなります」


「でしょうね.....まあ良いけど」


「.....良いんですか?アハハ」


「これ以上にどう表現しろと」


「.....そうですね。それもそうだ」


そしてニヤニヤしながら食器を片付ける憂ちゃんを手伝う。

困った事になったな.....。

あのクラスに転学して来るのか?

あの教室.....まあ良いけど。

友人はアイツしか居ないしな。



「やあ」


「.....よお。ユニ」


「.....どうしたんだい。.....君らしくも無い顔をしているな。ゲンナリして」


相澤ユニ。

目の前の話し掛けてくる知的なコイツの名前である。

見た感じそうだな。


ちょっと身長の低い女子だ。

そして童顔をしている。

ぴょこんとアホ毛がある感じだ。

顔立ちは.....美少女クラスだが.....まあ童顔のせいでそそられない。

友人である。


「.....聞いてくれ。ユニ」


「.....?.....何をだい?」


「俺のクラスにめっちゃ可愛い転校生が来る」


「.....そうだね.....え?そうなのかい?女子なのかい?」


「そうだな。.....しかもその子は俺の義妹だ」


「.....ほほう。興味深いじゃあないか」


何が興味深いのか。

俺は思いながらユニを見る。

まるで知的な文学者の様に顎に手を添える。

そして柔和な顔で見上げてくる。

俺は?を浮かべた。


「君は女難が凄まじいね」


「いや女難っておま」


「.....冗談だ。.....しかし.....可愛い女子の転校生か.....まるで君には似合わないな」


「.....今まで興味無かったしな。二次元にしか」


「その言い方ではまるでその義妹を好いている様な言い方だね」


「いや。あのな.....」


いやいや。それも冗談だ。

しかしそうなると。

この教室の野蛮な者達が嫉妬に狂うだろうな。

と言いながら教室を見渡すユニ。

俺は、まあそうだろうな、と鞄を置きながら同じ様に見渡す。


「まあ君の女ならもう大丈夫ではあろうな。.....しかし.....それにしてもやはり煩くはなるだろう」


「良い加減にしてくれ。.....俺の女では無い」


「そうか。確かにそうだったな」


「わざとだな!?」


「まあそうとも言えるし言えない。.....だが冗談には程近いな」


「ユニ.....お前な.....」


俺は額に手を添える。

するとユニはクスッと笑った。

それからチャイムが鳴る。

俺達はそのまま噂で蔓延していたクラスを見渡しつつ。

椅子に腰掛ける。


「席に着いているか?お前ら。.....よし」


教室に名木沢が入って来る。

担任であるが.....女性だ。

そして俺はその名木沢を見てから教室の廊下を見る。

喜べ。男子ども。美少女だぞ、と言い放った。


「「「「「うぉおおおおおおおお!!!!!マジっすか!!!!!」」」」」


想定していたが煩いなやはり。

猿の様な奴らだな。

お前らは猿の◯星の猿か?

俺は苦笑いで考えながら廊下を見る。


名木沢が、じゃあ入ってくれたまえ、と言うが。

憂ちゃんは入って来なかった。

と同時に後ろのドアが開いて俺の元にトテトテと駆けて来る。

俺は目をパチクリした。


「おにーさん。ほら。来ましたよ」


「.....何やってんの?」


「貴方の愛しの義妹です」


「.....いや。それは.....今は言う事じゃ無い.....」


俺は青ざめながら憂ちゃんを見る。

早速秘密を暴露してしまった。

教室にヒビが入った気.....がする。

俺は顔を引き攣らせながら横を見る。


「.....ククク.....」


俺は額に手を添える。

悶えて腹を抱えて爆笑しているユニがいた。

これは役に立たない。


俺の方を向かずに机に突っ伏している。

他人事だと思って.....っていうか!!!!?

俺は慌てて憂ちゃんを見る。


「どうしたんですか?おにーさん」


「.....教室を見ろ。ヤバいぞお前。.....俺を殺そうとしているからな教室の半分が」


「それは見たら分かりますよ。おにーさん。でも私はおにーさんが好きなので」


「お前さんそんな感情絶対に無いよね!?冗談でも止めてくれ.....!?」


そう言った瞬間。

捕縛してぶち殺せ、と声がした。

俺はまた青ざめながら.....背後を見る。

何で俺はこんな目に.....半分ボッチなのに.....。

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