第30話 藤井風の歌を聴け

猿面冠者、忍者の兄さん

 文学論を展開するとよく「村上先生の◇◇に似ているね」に

落ち着くことがある。何故か?

 世に溢れているからである。出川哲朗さんみたいなもんだ。

令和の今は「好感度ナンバーワン」みたいな立ち位置だが

あの芸風をお笑いの頂点と見なしていいだろうか?

「露出が多い」=売れていると言うのは違う気がする。

「身体を張る」=ヨゴレ芸とみなすのも失礼だが

スシローぺろぺろとやっていることは大差無い。

倫理や道徳、常識から避けることを立候補してやっているだけだ。


村上春樹さんのデビュー作は、母校(長州大学)の教科書にもなり

僕も繰り返し熟読した。表題は『風の歌を聴け』

 嫌いな作品では無い。余韻余白を味わうには持って来いの作風。

しかし、余韻余白はノープランだから生まれる可能性もある。

造り込んだ余韻は伏線となり回収されて答えとなる。

 薬指が無い女性、自殺した少女、ネズミの葉書……

これらを母校の大学教授は因縁付けて解き明かそうとしていたが

それも又、余韻だと思って講義を聴いていた。


『アンダーグラウンド』批判はしないのか、って?

ううん、じゃあ、少しだけ。

 怒りを感じる焦点は二点。

一つは被害者を吊るし上げたこと。人には思い出したく無いこともある。

一つは仮名と実名を混ぜると言う暴挙に出たこと。

「A1」「A2」「A3」「A4」123456789とABCDEFGHIJKLMN

「A1」「B1」「C1」「D1」仮名にするまでも無い、記号で充分。

機械みたいな扱いにすんな、って?

「だったら実名晒していいのかよ?」

作家先生なら因果もクソも無い仮名で塗り替えてみせろよ!

「私、本当の事件被害者に逢って、

実際にインタビューして来ましたよっ!」

と言う浅はかな充実感が見え隠れする。

本当のインタビュアーの仕事した録音媒体に

耳をそばだてる、と言う謙虚さは無いんかい!

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