第13話

 アンソニーに手を握られて緊張するシェル。

 シェルは、「お願いだから手を離して欲しい」と思うも顔を赤らめ緊張し、思わず顔を下げアンソニーの問いにアワアワする。


 ど、どうしましょう!誰が助けて。


「あ、あの…プ、プラロース様…その…」


 下を向いたまま、必死で声を出すけど言葉が続かない。私ってヘタレでした……残念。


「シェルさん、違いますよ? 私の事はアンソニーですよ? 忘れてしまったのかい?」


 私が俯くその耳元でそう囁く。

 のだけれど…止めて下さいそのイケメンボイス!私は少し低い声に弱いのよ~~!

 それに、顔が赤く成るのが分かって更に顔を上げられない。


「どうしたのかな?シェルさん。さぁ顔を上げて? ん?」

「い、いえ……その…す、少し…お待ち下さいませ……」

「フフフ、貴女は可愛い人だね。テレてるのかい?」

「そ、それは…」


 そうだ!と一瞬顔を上げて抗議しょうとしたけれど…アンソニー様の微笑む顔を見たらまた、テレてしまって。

 また、俯いてしまう。

 あ~床のカーペットが綺麗。


 アンソニー様、貴方は…どしたのかな?

 何故先程とは違って何でそんなに饒舌なのよ!


「それは…何かな? シェルさん。さぁちゃんと話をしょう」


 アンソニー様は私の手を離してくれた。 (ほっ、やっと手を離してくれたわ)

 と、ほっとしたのも束の間、その離れた手は私の顎へと移動した。

 のだけれど…今度は指が私の顎に触れてゆっくりと顔を上げさせられてしまう。


「…っ」


 アンソニー様の指で顔を上げさせられてしまったので当然アンソニー様と目が合う。

 それに、アンソニー様の指がまだ私の顎から離れない。


 お願いですから離して下さいまし!


「ほら、やっとシェルさんの顔が見れたね?」

「みっ……」

「シェルさん? 先程からどうしたのかな?私との名を呼ぶのは嫌?」


 スッと目を細くして私の顎から指が離れた。でも顔は何故か笑ってる?


 この方……楽しんでない?


「い、いえ。そ、そんな事はございませんわ。た、ただ……その私は殿方とはその…」

「そ、そうだったのかい? シェルさんは、あの馬鹿とはその…スキンシップは、取らなかったのかな?」

「そ、そんなもの!一度足りともございませんわ!」


 あっ、声を荒げてしまったわ……恥ずかしい。


「そ、そうなのかい? だが……」


 だがと言って考え込まれてしまったけれど、なに?


「あ、あの…プラロース様?」

「……」

「あのプラロース様」

「おっと、済まない。だが私の事はアンソニーだよ?」

「そ、そうでしたわねぇ~アハハ……(駄目言えない)」

「ほら、アンソニーだ」

「(無理無理)」

「ほら?」


 これは何時で続く…あっ、私次第ですわね。それならば、それなら!ん~~言うのよ私!


「…ア、アンソニー様……」

「フフフ、良くできました。今後はそれでは頼みますね?」


 頼むってぇーーーーー。


「アハハ!シェルさん、貴女は楽しい人だ。私はこの先楽しい人生を君と送れそうだね?」

「そ、そんな!私の何処が…」

「ほら、それ、それだよ。学園では君と話せなかったからね。シェルさんって、どんな人かと思って居たのだけれど、私の一言で百面相してる」

「ひ、百面相って……」


 そ、そんな私って表情変わる?

 頬に手を当てて黙り込むと、また笑われて仕舞う。


「ハハ、ほらそれだよ。シェルさん、君は、可愛いね」

「か、かわ…………」

「ハハハ」

「も、もう!アンソニー様、失礼ですわ!」

「ハハハ、それは失礼。はぁ~笑った。シェルさん!是非私と結婚して欲しい。私は絶体君を幸せにするよ。私は#あいつ__馬鹿王子__#とは違うからね」


 き、来たわーーーー

 甘々プロポーズ!




 どうしたら良いのぉーーー


 受ける?受けない?

 ……のは無理そうだわね。



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