第12話
アンソニー・プラロース公爵子息を屋敷に迎えシェルはアンソニーと会話をする。が……中々に会話が進まない。
*****
こ、困ったわ会話が進まないし、彼方から話をしてこないのだけれど…一体この方はなにをしにわざわざ家へ来たのかしら?
まあ何をしに来たのかは、ちゃんと私も分かってる積もりだけれどね。
に、しても口に出すのが恥ずかしいわね。
けれど口数少ない割には、お出ししたお茶は気に入ってくれた様で口にしてくれたから取り敢えずは良かったけれど。
さて、これからどうしたら?
出来れば向こうから話を進めてくれればそれで話しは進むし、早めにお帰り頂けるかも。
けれど、一向に話す兆しはないし。
だったら、私から話ししても良いのかしら?
「あ、あの…プラロース様?」
「ん…何かな?」
「その、先日はお手紙を頂きありがとう存じますわ」
ここはちゃんとお礼をしないとね。
内容はあれだけれど。
「…そうだったね、済まない。これでも結構緊張しててね。そうだね、ちゃんと話をしないといけないな」
「そ、そうなのですね? お手紙ではその……」
「ああ、それはちゃんと私から言わせてくれないかな?」
そう言いアンソニー様は、ソファーから立ち上がると私の横に座る。
すると私の手を取り、私の目を見つめるとこう言った。
「あ、あのプラロース様?な、なにを…(ひ、ひゃ~!手てがぁ~~)」
私が内心ワタワタしていると隣に座り私の手を取るアンソニー様が言葉を続ける。
のだけれど…ちょっと、ちょっと待って欲しいのよ~~!!
「辺境公爵令嬢シェル・ガルズ様、どうかこの私アンソニー・プラロースと結婚を前提にお付き合い願いたい。先ずは婚約と言う形を取りたいのだが、どうだろうか?」
つ、付き合うとか、それにプラロース様と私が婚約ですの?!
「……そ、そんなことを急に言われてましても、その私は先日は婚約者から破棄をされてしまい。…その自分でいうのも…その…」
「貴女の言いたい事はわかって居ります。ですが、私は貴女の婚約者だった者等気にしませんよ。寧ろあいつとの婚約が破棄されて喜んでるのですから、っとこれは不敬な事を言いましたね?お詫びします」
「………い、いえ。そんな事は別に構いませんが。その……なぜ私なのでしょうか? その…プラロース様の様な素敵な方でしたら、他にもっと条件の良いご令嬢が多くいらっしゃると思いますが」
「ハハハ、そんな事はありませんよ。確かにご令嬢は居ますがね?学園でも私に近づいて来るご令嬢は今したが…どの方も私の好みではなかったのでね、すべてお断りさせてもらっていたのですよ」
「そ、そうでしたか。あの…私は学園には通って居たのですが…その余りにも多忙だった為、学園での事や生徒のお顔が」
「ハハハ、それは存じてますよ。私が貴女と同じクラスだったのも存じて無いようでしたのでね」
「そ!それは大変申し訳なく……」
しまったわ!何故クラスの生徒の顔も知らないの私は!
あ~返して私の青春。
学園の催しには一切参加出来なかったし、クラスメイトの顔を覚えもしなかった私が悪いのだけれど…
王子と側近の三バカと友人三人の顔しか覚えてないとか…どんだけよ!私は……
今の私は多分青い顔をしている…それに…アンソニー様の顔を真面に見れないから目を反らしてるし。
「あ~そのシェルさんと、呼んでも良いかな? ガルズ殿だと少し…ね?」
「あっ、は、はいどうぞシェルとお呼び下さいませ」
「フフフ、ありがとう。それではシェルさんで。それと私の事はアンソニーと、呼んでくれないかな?」
「そ、そんな……いいのですか?」
「ああ、構わないよ。その方が私は嬉しいしね」
っと言ってパチリとウィンクしてくるよこの人!!
「っ…………!」
ど、どうした良いのよこの展開は!
想定外よ…本当に慣れて無いのよ。
あの馬鹿王子とは殆ど話せてなかったからこんなの全然慣れてないわよ!
だ、誰が助けてぇ~!!
それと手を離して下さいまし!
だ、駄目だ顔が赤くなるのが分かる……どうしたらいいの?と顔を反らして俯くしかない私って……。
へたれでした。
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