第8話   改稿

………話は少し遡り


 パーティー会場に残された人々たちは?


 主にやらかし王子とその家族とその他の者たち。

(要は当事者以外の者たちの事だが…)


 国王陛下は先ず、パーティー会場に居る者達に詫びの言葉を口にした。


 それから、護衛騎士達に王子の側近三人を拘束させこの場から退場させて、後日三人から事情聴取する事を命じた。


 勿論自分の息子もだ。

 目の前立つ息子の愚かさに目眩を起こし目頭を押さえてボソリと呟いた。「こやつはまだ騒ぐのか」と。


 国王は仕方なく、側近一人に未だ騒ぐ息子の動きを封じさせ黙らせた。偽聖女も騎士に拘束させパーティー会場から退場させた。



 この後の予定は、城へと戻り王子と偽物聖女の二人を引き離し、一人ずつ話を聞くことになる。


(なんとも骨が折れるものだ……)

と国王は思う。


 城へ戻った国王と王妃は、護衛騎士にガッツリ腕を掴まれたガラルドと一緒に執務室へ入ると、王妃はゆったりとソファーに腰掛け、国王は自分のデスクに腰掛けて前屈みに為り肘をデスクに載せると、護衛騎士に息子を離すように命令する。


 拘束されたガラルドの方は、騎士に掴まれていた腕が自由に成り騎士が部屋から退出すると、部屋は親子三人になるが三人は無言のままだ。


「「「……」」」


 無言の空間で国王……トラジス現国王は頭を抱えた。


 第三王子がやらかす!のは前々からシェルから話を聞いていた。

 が、まさか話の通りに為るとは思っていなかったトラジス国王と王妃。

 まさか自分たちの息子がそれ程愚かに育つ訳がないと、たかをくくって居たのだ。


 二人からすればシェルか言った通り愚かな息子に育ったと嘆くばかりだ。

 何故こんなに愚かに育ったのだ!教育係りはなにをしていた!と、怒り浸透の国王と王妃。

 


 それからシェルが言っていた通り、本当に偽物聖女が現れたのだ。

 もうこれは疑い様のない事実で二人は頭を痛めた。

 

 そして、シェルの言う通り聖女の偽物が現れたのは紛れもない事実だった。


 国王と王妃は予め、偽物聖女が現れるのはシェルからは聞いていた。

 だが、国王と王妃は神殿から聖女が現れるとは聞いていなかった。

 シェルからも何処から聖女が現れるとは聞かされていなかった。


『聖女が現れた』と巷で騒ぎになったと言う話しは国王も王妃にも届いてなかったのだ。


 何処から偽聖女は現れた?

 為らば聞くしか有るまい。

 話を知らなかった国王はそう考えた。



 ……だが先ずは自分の息子が先だが。


「ち、父上!私は騎士に拘束される謂れはありません!」


 執務室で声を荒げるガラルド第二王子。

 その姿は白いシャツに黒のスラックスとラフな姿だ。


「拘束したぐらいで騒ぐなみっともない。それに喧しい。全く…次から次へと問題をお越しおって! この恥知らず目が!」

「そうよガラルド! 私…恥ずかしくて他の貴族の婦人達にも顔を合わせられないわよ! もう、どうしてくれるのかしら」

「は、母上。そんな事はご自分で処理してください。私の所為では……」

「……馬鹿者!全てお前の所為だ。それすら分からんのか?」

「父上…それは」

「…それはなんだ?」

「……」


(こいつ詫びもせんのか、なんとも無駄な時間よの……)


「はぁ~。それで、あの聖女とやらとは何処で知り合った?」

「そ、それは……」

「なに? 言えんのか」

「い、言えます。言えますが……」

「なんだ、ハッキリ申せ」

「…………あの、城下町で知り合いました」

「………」


 王妃はガラルドの噺を聞いて頭を抱え口を開いた。


「ガラルド、貴方…まさか一人で城下へ行ったの?」

「い、いえ。あの側近と四人で……」

「………はぁ~。まさか側近以外の護衛も着けず、お忍びで遊びに行きおったのか?」

「は、はい。そこで知り合いました」

「で、あの女の身元は?」

「父上! 女ではありません! ルルベルです! 聖女ルルベルですよ」


 聖女ねぇ……


「喧しわ!それで其奴の身元は」

「み、身元は確か男爵家のご令嬢だと」 

「ほぅ……一応は貴族なのか? で、何処の男爵家のご令嬢なのだ」

「……た、確か…そう! ハミルトン男爵家のご令嬢だった筈です」

「ハミルトン男爵家か…王妃よ」

「なんですの?」

「ハミルトン男爵家と言えば、確かあの家には娘は居らなかった筈よの?」

「……ええ、あの家には娘は居りませんわね」

「だそうだそ? ガラルド」

「そ、そんな筈はありませんよ。確かに彼女は言ってましたし。それに自分は聖女だとも」


 はぁ~自分の息子がここまでとは……


 良かったこいつが第二王子で。


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