第3話
…母よ、私の肩をがっちり掴んで威圧しないでくださいませ!それに痛いですわ。
「お、お母様…お顔が怖いです。それに肩も痛い……」
「あら~シェルちゃん? お母様のお顔が怖いですって?」
ひぃーーこ、怖い。
お父様と、お兄様に助けて!と目で訴えると二人に目を逸らされたわ!
うぅ酷いぃ~もう、助けてよ!
「い、いえ~別に。わ、私の気のせいでしたわ!」
「んフフ、そうよね?シェル」
「ですがお母様、その…肩からは、手を離してくれるとありがたいですわ!」
痛いわよ!母。
「あらあら、ごめんなさいね? シェルちゃんが、あんまり我が儘を言うものだから、お母様手に力が入ってしまったわ。うふ♡」
不気味に笑う母に寒気を覚える。
母は普段は温厚で優しい方だけれど怒ると怖い。
それに母の怒りに触れると、父でも押ささえ切れない程の威圧感が荒れ狂う始末。
本当に怖いのだ。
「そうか、納得したのかシェル。それなら決まりだな! 社交シーズンを乗り切ってからの領地へ戻るで良いな。シェルよ、お前の気持ちは良く分かる。だが、ここは大人しくしててくれ。学園も卒業したことだし、もう暫くこの屋敷でのんびりしても良いだろう。それに任せたい事も有るんだ」
「ま、任せる?」
一体なにを遣らせる気なのかしら?
簡単なお仕事でしたらお手伝い致しますが…何をさせる気かしら。
「まあ、そう身構えるな。シェル、なに簡単な仕事だぞ、なぁマーガレットよ!」
「ええ、そうよ~!私のお仕事に付き合って頂戴ねっ」
「お、お母様の……ま、まさか社交…なんて事は無いですわよね?」
「ウフフ、そんなことはさせんよシェルちゃん。お仕事と言っても大した事ではない」
「そうねぇ~あれは……お仕事では無いわね。むしろ奉仕ね無料の」
奉仕?無料……ああ、ボランティア!
「奉仕ですの?」
「そう、奉仕よ。私が王妃と一緒に神殿に居る子供達や、最下層の民達に神殿の前で炊き出しを毎月二回行っているでしょ~?」
「ええ、存じてますが……。ですが…あれは王妃様の」
「知ってるなら話は早いわ。王妃様はね、前々からお考えが有ったのよ?」
……考えとは……何かしら?
「お考えですか……」
「シェルちゃんが王家の一員に成ったら私と貴女と三人で、神殿での炊き出しの手助けを一緒に遣りたかったそうなのよ。だからねシェルちゃん、私とその現場に行って貰うわ」
「まさか王妃様と炊き出しをですの?」
ええ~私は行きたくないですぅ~。
嫌すぎて心の声が…出そうだわ。
「ええ、そうよ。どうせうちに居ても遣ることがないのでしょ?」
「……まあ、それもそれはそうかも知れませんが」
けれど私は先に冒険者登録をしたいのよね。
それでお兄様と狩りに行きたいし。
それに……リドも連れて行きたい。
あっ、リドって私の従魔なのよ。
普段は子猫なんだけど、実は大きく成れるのよ。
リドはアリスタス様からのプレゼントに……為るのかしら?種類はサーベルタイガーなのですって。
まあ要はね、アリスタス様からのお詫びだそうなの。私の従魔だと言って渡されたのよ。
渡された時はビックリしたけどめっちゃ可愛いのよ!
だからこんな狭い王都の屋敷じゃなくて、思いっきり領地のあのだだっ広い山の中で狩りをさせたかったのだけどねぇ~。
ま、王都の近くにも森は有ってそこにも魔物は出るからそこで狩りでも良いんだけれどね。
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