第二章
第1話
卒業パーティーが終わった次の朝。
シェルは朝早くからもぞとぞと起き出して、毎朝欠かさない朝のランニングに勤しむ。
タッタッタッと足取り軽く、軽快に辺境泊家の屋敷の庭を走るシェル。
そのシェルの後ろからは兄のクリスが付き走る。
…なんかおかしい。
お兄様が私の後ろからなんで付いて来てるのか?
なに…なんか遠慮してるのよ。
いつもの通り私の横を並走して走れば良いのに。
「お兄様!ハッハッ一緒にはしりましょうよぉ~。な、なぜ後ろから付いて来るんですかぁ~?」
走る息を切らせ後ろから付いて来る兄に声を掛けると、兄が追い付いて来て私の横に並走してくる。
むぅ…この細マッチョめ!体力もあるのよね。
「シェル、い、良いのか?」
なにその返しは?
なんで遠慮してるのかしら。
「ハッハッ…も、もう良いですから!走りますよ! それに……ハッハッ。
う、後ろでだらだら走ってる貴方方もよ! そんな後ろから付いて来ないでください!いつもの距離で良いですから」
まったく普段はすぐ後ろを走って付いてくる癖に。
今日に限ってなによ!その距離は!もう。
面倒臭い方達ね。
「お嬢!良いのでしょうか?」
後ろからそんな返事が返って来るけど……もう!
「いいから!疲れるから、喋らせないで」
そう叫ぶと兄以外の他の騎士達が私達の後ろから走って付いて来た。
まったくなにを気を使ってるのかしらね!婚約破棄なんて大した事では無いわよふん!
と、こんな一幕が朝からあった。
そして、トレーニングが終わり汗を流し着替えて廊下に出ると、ダイニングへと行く途中で兄とばったり。
「お兄様!汗は流しましたの?」
「ん?今風呂から出た所だよ。シェルも、さっぱりしたのかい?」
「ええ、さっぱりしたら、お腹が空きました」
「ハハ、シェルは色気より食い気が先かい?」
「お兄様、色気は今のところ要りませんもの。食い気が先でいいです!」
「ま、昨夜の事があったからね。それはそれでいいかもな」
色気より食い気がとか…失礼ねぇお兄様は!
「ん~もう失礼すぎですわよ! …でもほんとにお腹空いたわ。さっ、早くダイニングへ行きましょうお兄様」
兄と連れだってダイニングに行けば、テーブルに両親が満面の笑みを浮かべて座ってるし。
一体何かしらねこれは?
「おはようございます。お父様、お母様。今朝はお二人ともお早いのですわね?」
「ま、まあな!今朝ほど楽しい朝はないだろ?なぁマーガレット!」
「ええ、そうねぇ~貴方!とっても爽やかな朝だわ!」
「………そ、そうでしたか…」
さ、爽やか…それよう御座いましたわ!
私は爽やか等と言えませんけど。
だから私はノーコメントで良いかしら。
うん、話を逸らそう。お腹すいてるのよ私は。
「お父様と、お母様は御食事は?」
「いや、まだだ。お前達を待っていたのでな」
「そうでしたか、其では食事を運んで貰いましょうか」
兄が執事に合図するとメイド達が次々に食事が目の前に置かれた。
はぁ…やっと食事が出来るわ。
目の前に置かれた朝食のメニューは、トーストにハムエッグ。
それと、サラダにコンソメのスープ。
ん~美味しそうです。
この世界、何気に食文化は日本とそう変わらない。なぜだろうか?
だけど…料理の仕方がいまいちで、たまに謎な食べ物が出てきたりする。
俗に言うミステリアスである。
だから、屋敷の料理人達にはちゃんと料理が出来る様に教えたのよ私が。
例えばこのコンソメスープ。
これも一から教えたわ。
それから玉子に関しては、必ずクリーンを玉子に掛けてから調理する様に教えたし。他にも色々とあるけど、きりが無いので説明は?この辺にするけど。
誰にしてる?
で、私が考え事をしてる間に他の家族は黙々と手を動かし口に料理を運んで食事が終わせてた。
お……もたもた出来ません。
私も急いで食事を終わらせないと。
モグモグ……ごくん…ふぅ美味でした。ごちそう様でした。
ご飯美味しかったわ。
さてさてこれからが家族と今後の話しをしないとね。
何せこの先の事は何も聞いていないのですよ。
……誰に?
勿論……神様よ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます