第7話
そんなことをしてると、ほら来たわよ……貴女の未来の御両親に成る予定の方が!フフフ。
そして、何食わぬ顔顔をしてお出座しのダンディーなおじさまが聖女に話し掛けた。
「失礼ながら……お嬢さん?」
「ひぃ……な、何よ!あんた誰よ」
あらら、未来のお義父様に何て事を仰るのかしら。私でもそんな口は利けないわ。
そんな光景を見た殿下の顔色が、途端に青く為ってるけれど……どうするのかしら。
「私かね? 私は……ふむ…(以外と知られていない?私はショックだぞ)シェル譲、私は誰かな?」
ふむ……っと言って、目を細めて私の名を呼ぶけど…陛下!お願いですから、私に振らないで欲しいわ、是非その役はご自身のご子息に振ってくださいませ!
でも、私の名が陛下の口から出たのだから、これは…私が挨拶する流れ?
むぅ……仕方ないわ、挨拶は基本ですものね。しますわよ御挨拶を!
「これは国王陛下と王妃様。お二人はいつ此方へお着きに為られましたのでしょうか? わたくし気がつきませんでしたわ。早々に御挨拶も出来ず今に為り、大変ご無礼を致しました」
そう言いつつ陛下と王妃様に深々とカーテシーをして無礼を詫びると、会場に居た全員が陛下と王妃に頭を下げる。
唯、一人を除いてはね。
…お二人はいつ来たのかしら?
お二人がここへ来るのは知ってたから驚かないけれど…。
普通ならお二人が会場に着けば、直ぐに御出座しの知らせはあるのではなのかしら?
これは…陛下や王妃様が知らせを止めたのね。
そしてこの状況を何処かで観ていたと、言うことよね?
…それならば話は早いわね。
それに私は陛下との賭けに勝ったわ。
フフフ此でもう私は王家には縛られないわ。
お父様!勝ったわよ私は!
本当に断罪イベント発生したもの。
私はニヤリと挨拶をしながら笑ってしまった。
「やぁ、シェル嬢。挨拶など別に構わない楽にしてくれ。それに、随分久しぶりだな息災だったかい?」
「そうよ!シェルちゃん。ずいぶんお久しぶりだわね? 城では殆んど顔を会わせないから寂しいのよ?」
「陛下、お久しぶりでございます。王妃様も申し訳御座いません、お顔も出さずに。わたくしはここのところ、王妃教育が忙しくて……」
申し訳ございませんと再び頭を下げてニッコリ微笑み二人に詫びる。
うふふ…陛下と王妃様のお顔が引き攣ってらっしゃるわ。
「まぁ妃よ、直ぐにシェルとは会える故…少しの我慢だ。ワハハハ!それで、怪我は?大丈夫なのかな?」
やっぱり、何処かで様子を観てたのね…それならもう少し早く出てきて欲しかったわ。
「ええ、先程自分で治しましたわ。此方の聖女様にお願いしましたが、何故か調子が悪いそうですわ」
「そうだったのか。それで、ガラルドよこれはなんの騒ぎだ? 今日はお前とシェル嬢や、その他の生徒の卒業式ではなかったか?」
「ち、父上。それは……」
殿下はお二人揃って、なんで来た?と言う顔をしてるのは何故かしら?学園の卒業パーティーですもの、陛下が来るのは当たり前ですわよ。
それすら知らなかったのかしらね。
でも私も黙ってないわよ!ここは先に言わせて貰うわ。
「恐れながら陛下、発言をお許し願えますでしょうか」
「ふむ…なんだいシェル嬢?」
会話に割って入ったのは申し訳ありませんが、そろそろ私は家に帰りたいのです。
殿下とその他の皆さんに、言いたいことをいわれたので私も言いたいことを言って帰りますわ。
「その…殿下が…」
申し訳無さげにチラリと殿下を見てから、言葉を続けようとしたら、陛下が覚って下さり話をさせてくれたわ。ほんとに有り難いわ。
「構わないぞシェル。シェルはもう私達の娘も同然だからね」
「そうよ? それで、この馬鹿息子に何を言われたの?」
「ありがとう存じます陛下、王妃様。では失礼して。…先程、ガラルド殿下の口から私との婚約を破棄すると言い渡されてしまいました。わたくしはとてもショックで…」
手持ちの扇子で、顔を隠して悲劇のヒロインを演じて見た……フフ通じるかしら?
「……ほぅ……それで? その理由は聞いたのかい?」
「…あの…それが……」
こんなこと私の口から言えんわ!
何で私が、人を虐めたと自分の口から言わないといけないのよ!
事前に話を知ってても、言いたくはないわよ!
塀かは前以て理由を知ってるのに、私の口から言わせるのね?それもこれも、みんなこの王子が悪い!糞王子め死に晒せやくそ!
あっ!お口が悪う御座いましたわ!オホホホホ。
私が及び腰に為ってると、また殿下が割り込んで来て口を開いた。
「ち、父上!私はこのルルベルと結婚するのです! 私は本当に愛する人を見つけました! そして私は、このシェルとの婚約は破棄を致したのです!」
父である国王陛下に向かって愛する女と言いつつルルベルを自分の身体に引き寄せ肩を抱いて宣言したわよこの男は!
「まぁ~ガラルド王子様!私、嬉しいわ!」
抱き寄せられたルルベルはうっとりとして頬を赤らめ更にガラルドに自分の身を寄せた。
それを見た両陛下は?
「なっ………(知ってるとは言え…こやつは!)」
陛下は絶句する。王妃は手に持つ扇子で顔を隠したまま動かない。
ああ、言っちゃった……私は知らないわよ?
でも私は助かったわよ、私が彼女を虐めたなんて事実は無いもの。
それにしても、殿下の言葉に喜び抱きつく聖女様?
…何てはしたないのかしらね。
ま、それが良いなら別に構わないわ。
「国王陛下。と、言うことだそうですわ」
と、私は絶句する両陛下に向かい言葉を掛けた。
すると、陛下が重い口を開いてガラルド殿下と話を始めた。
「………ほぅ………ガラルドよ」
「は、はい、なんでしょうか父上?」
「お前……本当の愛だと?」
「ええ!そうです! 私はこの聖女ルルベルと、一生涯共に過ごす覚悟です!聖女ルルベルなら、王家には申し分のない身分ですし、この国も安泰でしょう!」
ま、それが本当の聖女ならね。
 ̄ ̄ ̄ ̄
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