第6話

 それならそこを少し突っつく?

 フフフ楽しく為ってきたわぁ~。


「あら、可笑しいわぁねぇ~。聖女様って、人を差別を為さるのかしら? この方が未来の王子妃様ですの? 殿下…私、この国の行く末が心配に為って来ましたわ。……ねぇ、皆様?」


 回りで事の次第を見守るだけのギャラリーに私は訴える。

 だって王子の妃だって慈悲の象徴ですわよ。王族に名を連ねるなら其くらいの慈悲は持合せないと…勤まらないわよ?


 そうではないかしらと続けて、今の王妃様は本当に慈悲深くてお優しい方ですし。

 それに、孤児達に寄付やスラム撲滅の為にご努力為されて色々とご苦労されてるのにと。

 すると、回りの卒業生達もウンウンと頷いてるわ!


 その中には私の友人達もちらほら。

 そして、私に頑張れと親指を立てて応援してくる。

 けれど…貴方方も少しは前に出てくれないかしら?

 そう頭を抱えたくなる気持ちで、聖女を凝視すると焦った聖女が口を開く。


「そ、そんなことは私は知らないわよ!(誰もそんなことは教えてくれなかったわ!)」


 お、やっぱり神殿に引き取られてない。

 ではこの方は何処から出てきたの?

 むぅ…素性がわからない。


 だって神様から聞いてるのは、名ばかりの聖女が出てきて君は婚約者を取られる可能性が有るから気を付けてね。(ハート)

 としか言われてないし詳しく聞かされてないし!ややこしい。

 そもそもこの世界、創造神のアリスタス様が創ったんだそう。


 で、

 アリスタス神様が言うには、私の住む世界の日本で流行りだったらしいファンタジー物の小説を模写してるのだそう。

 その模写した世界へ転生した私は、悪役令嬢のポジに転生させられたらしい。

何故このポジなのか?

 本当に迷惑な話(これは神様をちゃんと神様を責めたけどね)


 でも、悪役令嬢なんて真っ平なので家族や国王陛下と王妃様を巻き込んだのだ。

 それと、殿下にも話そうとしたけれど逃げられ話せてないから、この断罪イベントがルート通りに発生したと、こう言う事だ。ふん!


 ヒロインはルルベルと云うらしい。

 つか、ヒロインの名前をしらなかった。名ばかりの聖女としか聞かされてないし。

 何で名ばかりなのだろう、ヒロインなんでしょ?


 まあ、そんな世界に転生させられたので今度は死なない為に必死で回りを巻き込ながら16年も生きて来たのよ、前世をたすと……ウフフ。

 私って苦労人だわ~。


「まあ!常識を知らないなんて、未来の王妃様の発現かしら、次代の王妃様はなんて冷たいのかしら? ねぇ……殿下、そう思いませんこと」


 こんな女を王妃に?と冷たい目で見つめる。

 すると焦った殿下は話をこう切り出した。


「と、兎に角ルルベル、ここを納めないと為らんぞ! だから非常に癪ではあるのだが、聖女の慈悲でこいつの怪我を治してやれ! そうしないと、こいつとの婚約破棄もまま為らんのだ」


 っ!さっきから、こいつこいつと本当に失礼な王子だこと!ムカ腹の立つ。


「ガラルド王子様は酷いわ!私に神様から預かった力を、意地の悪い女の為に力を使えと言うの?」


 また始まった、これでは堂々巡りになるし。

ほんとに頭の悪い女だわ。


「……それは当たり前なのでは? 聖女なのでしょう? 仮にも聖女なのだし、力を使ってなんぼ……っと、こほん力を使って自分の立場を示すのが貴女なのでは?」

「……な、なら治すわよ!仕方ないわね!治せば良いんでしょ? なら、早く足を出しなさいよ」


 乱暴にそう言われて、私も仕方なくではあるけれど、そっと痛む足を聖女…ルルベルの前に再び突き出した。

 すると聖女は素直に……私の足に手を翳すが……。


 ………なにも起きないわね?

 普通なら、ここで金色に輝く聖なる光が私の足首にっ!とか始まるパターンなのだけれど…何も起こらない。

 見兼ねた私は聖女に話し掛ける。


「あ、あの聖女様? 一向に痛みが治まらないのですが…。なにを、してらっしゃるのかしら?」

「う、煩いわね!今やってるでしょ?」

「……はぁ?」


 聖女が手を翳す足首の腫れを、この場に居る卒業生達が固唾を飲み凝視してるわ!

 けれど…何分待っても痛みが引かないので、痺れを切らした私は再び聖女ルルベルに話しかける。


「………あの……聖女様……まだでしょうか?」


 そろそろ本当に、この体制で立ってるのも辛いのだけれど…。


「煩い煩い!煩いわよ! 今日は調子が悪いのよ!あんたに階段から突き落とされて!体が痛いのよ!」


 なんとも……当て擦りと言うか八つ当たりというか…

 出来ないのを人の所為にするというか……


「今日は魔法が使えないと仰ってますが、本当は聖魔法が使えないのでは? でしたら仕方ありませんわね、良いですわ、それなら自分の傷は自分で治しますわね。『ヒール』」

私は自分の足首に手をかざして小声で「ヒール」と唱えると、足首が光りに包まれて足首の腫れが引いて怪我が治った。

「ふぅ~治りましたわ。もう痛く無いわ!まったく自分でやれば良かったですわね?オホホホ」


 ごめんなさいね、手間を取らせてしまって。


「ち、ちょっと!なんで私があんたの怪我を治すのに、怪我した本人が自分で治せるのよ!出きるなら最初から………」


 聖女ルルが出来なかった治療魔法を私が出来てしまって騒ぐ聖女様……。

 それと、聖魔法が使える私を仰視してこの騒ぎを観ていたギャラリーと、王子達。

 ですが……聖女様、あんまり騒ぐと、ほら!嘘がばれてしまうわよ?フフフ。





 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


な、長い。


すみませんまだ続きます。

宜しければお付き合いくださいませ。

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