第5話
「な、何で私があんたの怪我を治さないと、いけないのよ!」
「そうだ!突然聖女の力を使え等と!失礼だろ!」
おっと、またしゃしゃり出てきましたわね!グロース。貴方は黙ってくれませんか?
「あら~そうでしょうか? でも…此方の方は聖女様なのですわよね? でしたら、その神の加護を持った方に、私の怪我を治して貰うのは悪いことかしら? 神はどんな者にも平等なのでしょ?」
私は何も悪いことしてないわよね……神様。
【あたりまえですねぇ~】
ん?
「そ、それは…」
「む、それもそう…なのか? いや、だからと言って…」
おや?殿下もそれもそうかと思ったのかしら?何故か半分だけれど同意したぞ!
渋ってはいるけるどね。
「い、いやよ!私は。王子さまぁ~私、こんな酷い人の為に神様から授かった力なんで使いたくないわ! どうせこの人の怪我なんて、見せ掛けだけで大した事ないのよ!私が診た限りでは大した事無いわ。そうよ!実際ぃ~この人、立って歩けてるじゃないですかぁ~。それにこの人ぉ~、私を階段から突き落としたのよ」
また甘えた声を出して殿下に甘えて、私に冤罪を擦り付けるのは勘弁してくだいませ!
「ふむ……まあ、そうか。ではルルベルがこいつの怪我を治さなくても…だが…(ここで、こいつの怪我など治療などしてやる義理が無いだろ。だがルルベルの力を皆に見せるのは…私にも有利なのか…ふむ…迷うな)」
なにを迷ってるよの?!
折角聖女とやらの力を皆にお見せ出来るチャンスなのよ!よし!ここは粘ろうではないか、是が非でも聖女の力を使わせてやる!
「それでも申し訳有りませんが、私の怪我を治して頂けないかしら? 聖女様…わたくし昨日の怪我で、肩の腫れと足首を少し痛めてしまって。今は痛めた足首がとても痛いのですわ」
今度もちゃんと怪我した足を出して、聖女と言われる女の前に腫れた足首を見せた。
すると腫れた私の足を見た殿下は、驚き聞いてきたけど…なに?今更心配するの?
何故?
「お、お前! そ、そんな腫れた状態で、ここに来たのか!シェル?!」
…おや?
殿下は私が怪我したのを知らない?それなら私を階段から突き落としたのはルルベル?それとも三馬の誰かかしら?
「ええ、私は今日を楽しみしていたのです。だって、殿下と御一緒に卒業出来る記念のパーティーですもの。それに、殿下とのダンスも楽しみしていたのですわ。フフフ」
「…………そ、そんな事を言っても騙されないわ!王子様ぁ、気を付けてくださいませ? これがこの女の嫌らしい処よ? 騙されては駄目。ねっ♡」
「そ、そうだな!騙されないぞ!シェル」
こ、こいつ…魅了の力を持ってるのかしら?殿下がルルベルの言葉を聞いてポワンとしてるし、腕も組まれて…女は殿下を上目遣い見つめてるから殿下の鼻の下が…伸びてるし。
だらしない事で…
「騙す? 誰をでしょうか? 聖女様申し訳有りませんが、早めにこの怪我を治して下さいません?(その力があれば……ね?)それに、聖女様の力を見てみたいわ!どんなに凄い力なのか!」
足を引っ込めて手を組んでうっとりと聖女を見つめる私。
あぁ嫌だ!寒気がしてきたわ!
「そ、それもそうだなやはりルルベル、君は私の妻に為るのだから、使いたくないの無いだろうが、是非ここにいる皆に君のその力を存分に、見て貰おうではないか!ルルベル済まないが、あの女の怪我を治すのを私にも見せてはくれぬか?」
おゃあ~何故殿下はルルベル、偽物聖女の力を見たがってるわ!これは面白い。
やっぱり聖女の自作自演なのかしら。ウフフ、怪我を治せないのを殿下は知らないのかしら。そして殿下はやっぱり騙されている。
と、言うことよね。
これどうすんのかしら?
後の始末は国王陛下にお任せしてるけれど。
この断罪ストーリーは神様から聞いてる。けれど大まかなことしか聞いてない。ぜっぜん細かい事は聞かされてないし!
知らんがなって感じなのよね。
本当、神様っていい加減。
「………い、嫌よ!何度も言ってるじゃない! 私の力を安売りなんて出来ないわ! ましてや、私はあの女に虐められてたのよ? 何で私を虐めた女に、私の力を使わないと為らないのよ!」
いや、私は貴女を知らないし、虐めることも出来ませんし、さっきも言ったわよ?貴女なんて知らないって。
それにしても…言っちゃったわねぇ~聖女様。
神殿では人は平等と教えられる筈よね?
あっ、もしかしてこの人神殿に引き取られてない?
おや、この人の聖女教育されてないの?
これは不味くないかしら?
ほらほら、どうするのかしら回りがざわつき始めたわよ。
これは……どうするのかしら?
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