第4話

 私も貴方なんて大嫌いですわよ。


 ですが…とうとう殿下の本音が聞けた気がするわ。

 はぁ~殿下には以前ちゃんとお話したのに…あの時まったく私の話を聞いてなかったのね。

 近寄って来るご令嬢にはくれぐれも気を付けてくださいませと。

 その時ちゃんと気を付ける理由も話し……あっ!そこまで話す間もなく殿下は私の前から消えてたわね……すん。


 でもこれ、この状況って不味くないかしら?

 段々私と、殿下の痴話喧嘩みたいになってきてるし。これは収集がつかなくなりそうだわ。


「き、嫌とは。はぁ…それでしたら構いませんが、もう・・。それならそれで良いですけれど、私も聞きたいのですよ。昨日、私も階段から誰かに突き落とされましたのよ? それで、私を階段から突き落したのはそちらに居られる、誰かの仕業ではないかと、そう思っておりますの。殿下は御存じ有りませんこと?」


 さて、どいつが私を突き飛ばしたのか…聞いても良いわよね?


「「そ、そんな出鱈目を言っても信じないぞ!」そうだ!怪我など何処にも見当たらないではないか!」そうだ!そんな出鱈目言っても信じる者は居ないぞ」


 あら、宰相閣下の三男様で…確かお名前…忘れたわ。ご免なさいね。

 それから…将軍家の確かあの方は…長男だったかしら?そちらの方…もお名前が。

 ご免なさいね。知らないわね?知ってるけどね。が、何かキャンキャン吠えてるけれど…なにをそんなに焦って喚くのかしら?


「そうだ、グロース達の言うとおりだぞ!貴様!我らを愚弄するつもりか? だがおかしいではないか! 貴様が階段から落ちた? 何故階段から落ちて怪我をして居ている者が、ここに元気そうに立っているのだ?」


 ん?殿下は知らない?

 でもこれは…もう少し揺さぶる?


「それを言うなら、そこの聖女様もそうですわよね? 階段から落ちたのですわよね? おかしくありませんこと? 何処もお怪我をしている風には、見えませんわよ?」

「ルルベルは聖女だぞ!自分の怪我等直ぐには治せるのだよ!貴様と違ってな!フフン」


 なんで、あんたがそう答えるの?

 偉そうに、よく分からない王子よね、顔は良いのだけど性格が…ね。

 どうして、あの陛下の息子がここまでお馬鹿なのでしょうか? 

 信じられないわ。

 確か勉強は出来る筈。

 期末の試験では、確か……50位内にはなが載ってた筈……?

 でも…性格が残念。


「そ、そうだ!聖女様なのだから、ご自分の怪我などは直ぐに癒せるのだよ! 貴様と違ってな!」


 おや?何故焦ってるの?

 なんでかしら? 

 なにか知ってそうよねぇ~。

 クフフ楽しく為って来たぞ!


「そうだ!この田舎者目が!」


 い、田舎者?誰が田舎者なのかしら?


「これはこれは……確か貴方は。そう!将軍家のご長男様の、確か……ええっと…そうグリース様?だったかしら。と、宰相閣下のご子息様でしたわね。貴方のお名前何でしたかしら? 覚えにくくて。何せ犬の名前の様で」

「し、失敬な!私は殿下付きの近衛のグロースだ。ほんとに嫌な女だ!田舎者目が」


 失敬なのはどっちかしらね。


「私に対しても不敬だ!この田舎者、私はロペスだ!」

「あら、そうでしたの?これは失礼。それで将軍家の御息子様と、宰相様の息子様が随分偉そうですわね? まあ、そんなことは良いですが!」


「「こ、この!」」と剣を抜き、私に斬り掛かって来ようとする二人の愚か者。だがここでラインベルトがそれを止めた。


「よせ!グロース、ロペス。ルルベルが怖がる」


 はん!ルルベルですって!

 聖女が怖がるから止めろと?私はどうなっても良いと?


 もうーーあったまきたぞ!

 これは私は悪くない!反撃開始ですわよ!頑張れ私が一番!


「ふぅ…危うくそこの愚か者達に怪我をさせらるところでしたわ。ああ、それならそれも良かったかも?」

「な、何故怪我をしても良かった等と、訳の分からん事をほざく? お前…とうとう頭もおかしくなったか? ハハハ!それは良い!愚か者には相応しい。なぁ~シェルよ」


 愚か者はどっちかしらね?騙されてる癖に。


「恐れながら殿下? 私の頭はまったくもって、おかしくありませんわよ? それはそうと私、そこの聖女様に少しお願いがあるのですわ」

「む…なんだ? 貴様、なにか悪巧みをしてるのではあるまいな?」


 そんなことしてない…あら?してるのかしら…してるわねフフフ。


「私、昨日階段から落とされてしまって、この通り怪我をしてますの。それでそちらに居られる聖女様に、私の怪我を治して下貰いたいのですわ」


 ドレスの裾を少しだけ上げて、怪我をした方の足を前出して見せて願い出た。

 これねぇ、痛くて立ってられないのよね。本当は、靴を履くのもやっとだったのよ。今朝メイドに泣かれたのよ?怪我を治させてくれとね。


「な、何で私があんたの怪我を治すのよ!」


 えっなんで、焦ってるのかな?


 聖女の力を今こそ!回に居るギャラリー見せる時よ?

 ほら、早く見せて見せてよぉ~!

 私にさぁ。


 ふふん、そんな力も無いのは知ってるから、早く見せて見せて!


「あら、貴女様は聖女なのでしょ? 早くその力を見せてくださいませ」


 どう誤魔化すの?それを見せて。



 わ・た・し・に。



※※※※※



『シェル』:あ~楽しく為って来てしまったわぁ~!断罪イベント。w




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