第一章 

第1話

「ここに居たのかシェル!」


 卒業の祝が儲けられて居るパーティー会場の場で、友人達と談笑していると突然後ろから現れたお邪魔虫に名前を呼ばれ嫌々振り向いた。


「あら、殿下じゃありませんこと? これはご機嫌麗しく。パーティーでのエスコートも、して戴けなくて何処に居るのかと思いきや、今頃ご登場ですの?」

「ふん!貴様の様な女を、私が何故エスコート等せねばならんのだ?」

「それはまた…。ですが、貴方様は私の婚約者なのですから一応ねぇ。フフフ」

「き、貴様は私をバカにす……」

「してませんわよ? そんな事、私はね」


 馬鹿にはしてないわよ!馬鹿にするのにも色々とネタがいるのよ?そのネタすら取り上げるのもばかばかしいから、スルーしてるだけよ。


「むぅ……相変わらず生意気な。まあそれも今日で終わりだがな。シェル、貴様の様な意地の悪い女とは婚約破棄する! 今直ぐ私の目前から消えろ」


 私に対して婚約破棄をすると宣う殿下の言葉に一瞬誰に言ってるの?と、記憶を巡らせた。


 ん?

 婚約破棄?誰と誰が…「ああ、私とか」小声で呟いてからまた考える。 

 ふむ…やはり婚約破棄ですか……(来たか……はぁ)。


 暫しの沈黙の後、私は声の主にこう口を開いた。


「……失礼殿下? いま…殿下から不遜な言葉を聞いた気が致しますが。その…失礼ですが私の空耳でしょうか? 婚約破棄と聞こえましたが、本気ですの?」


 私は手にしている扇子で口許を隠して殿下に聞いてみた。


「当たり前だ!俺は貴様に言っているのだからな」

「…婚約破棄ですか? まあそれは置いておいてですね殿下。その…少々お伺いしても、宜しくて?」

「置いて……むぅ……ふん! 良いだろう貴様等とは二度と口を利きたくはないのだが。まあ、良い最後ぐらいは聞いてやる。で、なんだ?」


 ムッカ!最後ときたかこの男は!

 その言葉此方から言いたいわ!くぅーー王族だからと偉そうに!


「でしたらお聞きしますが、殿下のお隣にいらっしゃるご令嬢は何方かしら?」


 とりあえず知らない女性だし!

 予め知ってるけど!

 でも初お目見えなのは事実だし!

 そもそも、浮気女を連れてきてるのは何故かしら?ここは一応関係者以外は立入禁止なのよ?知らないとは言わせないわ。


「……なに? 貴様がこのルルベルを知らぬ訳がないだろ?」


 このル…って…知らんがな!

 知らないのに知ってるっと言われてもと、ぽかんとしてると殿下の後ろに隠れて目に入らなかったけれど…その者達から避難をされる。


「「「そうだ!、ルルベル様を知らない訳がないだろ?」」この性悪る女め!」


 し、しょう…来たわね、王子のひっき虫三人組が。

 はぁ~情けない!そんな女にまんまと騙されて。

 貴殿方にも、婚約者は居るでしょうに。いったい何してるのかしら。

 確かあの三人組、一人は宰相の息子で三男のロペス様だったかしら?多分…

 もう一人は確か財務大臣の…えっと…ああ!ザンネ様だったわね。

 それから…ああ、騎士団長のご長男でグロース様ね。あぁ~あ、自分の将来まるっと潰すのね…残念。三人とも顔だけは良いのに……本当に残念ねぇ~。

 というか、性悪って……私の事かしら?


「はぁ……何を申されてるのかが、分かりませんが…。私はその方をお見受けするのは、今が始めてですわ」

「そんな訳がないだろ!貴様がこのルルベルにしたことは罪に成るのだぞ!」

「私がその方に…? 記憶に御座いませんわね? いったい私がその方に何をしたと仰るのかしら?」

「惚けないでよ!貴女が昨日学園の階段から、私の事を後ろから突き落としたじゃない!」

「ククク、だそうだぞシェル。私は普段から貴様の事を、意地の悪い女だと思って居たが…。私の愛するルルベルを階段から突き落とし怪我をさせた!そんな女と、この私が結婚等する訳がないだろ? 私はこのルルベルと、結婚するのだからな!ハハハ」

「何を笑っているのか存じませんが、殿下? 此のような公の場で、そんな有りもしない虐めとやらで、私に婚約者破棄すると仰るのですか?」


 自分は浮気してる癖に何が婚約破棄なのよ!こっちから願い下げよ。まったく忌々しいったら。


「ふん!当たり前だ、貴様がやったんだろ?ルルベルを階段から突き落としたんだろ?」

「さぁなんの事やら? 私にはそんなことが出来るとでも?」と否定するとまさかのお邪魔虫の女が口を挟んで来たわ。邪魔よ今は私が殿下と喋ってるのよ!

「王子さまぁ~あの意地悪な女とは早く別れて下さいませ?」


 と、のっぺりした甘ったるい口調で、飛んでも無いことを言いランベルト王子の傍らにへばり付いてる。

 緑色の髪をした頭の軽そうなご令嬢が宣ったわ。

 ピンクじゃ無いのね…笑。


 このくそ王…おっと…殿下は、私の目の前に居る令嬢に虐めをしていたと、この広い会場全体に響く様に声を大きくし、高らかに宣言しゃがり…ごほんごほん…しましたわ!

 その王子の言葉に会場に居る者達がざわつき始める。

 はぁ~このままじゃ不味いけれど…

 でも待って!

 そのルなんとかが階段から落ちて?その割には元気…なご様子ですわよね。

 …ああ、この世界には魔法が有ったわね。

 だけど私はそんなことはしてませぇ~ん。

 寧ろ私が昨日誰かに階段から突き落とされたわ。


 ……あれは油断したわ……。





 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄




プロローグの内容と1話の重複部分がありますが、プロローグとは若干変えております。

そして、追加の話しがありますので決してバグではございません。


よろしければ、お読みくださいませ。




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作者としてはそれが糧になります。

そして、やる気も出るのです。

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