第8話「親交」

昼休み中に友達となった丈太郎と咲空。

その日の放課後、2人は親交を深めるため

高校の近くの公園へと来ていた。


「な、なぁ咲空……なんで公園なワケ…?

もっと良い場所あるだろうに……」


季節は5月半ば、時刻は18時30分

ちょっと肌寒いと感じてる丈太郎。


「だってここ好きなんだも~ん

緑に囲まれてのんびりしてて

それにこの時間帯は人も少ないし」


そう言いながら咲空は

先程コンビニで買ったコーラと

ポテチを丈太郎に渡す。


「お、ありがとう」


「へへ、じゃあカンパ~イ」


カ~ンッ


「グビグビ……ぷは~美味いっすな~」


「ああ、美味いな」


「ねぇねぇ、丈太郎の事詳しく聞かせてよ」


「俺の事?」


「うん、中学時代の思い出とか

3留の理由とかさ」


今更だが2人は既に

下の名前で呼ぶ関係になっていた。


「中学の思い出か~……そうだな……

ひょんな事から給水タンク破壊したり……

嫌いだった教師の車パンクさせたり……

女子更衣室覗いてたのがバレて

女子達からリンチされたり……

まぁ……他にも色々」


「……ろ…ろくな思い出ねぇじゃん……」


「あ、それと3留理由だろ~……?

えーとね、1留目の理由が

ギャングの抗争に巻き込まれて

大怪我&長期入院で出席日数不足

で、2留目がトラックにはねられて

異世界転移して出席日数不足

そして3留目が数、英、体の

授業サボりすぎて単位落としたから…です」


「な、なかなかハードな理由だね……」


「へへ、そうでもないさ……

あ、そうだ、次は咲空の事教えてくれよ」


「私?」


「ああ、家族の事とか中学の思い出とか」


「家族は父、母、姉2人と私の5人家族で…

中学は………特にない……思い出は……」


「え?何もないの?部活の事とかは?」


「ごめん……あんま思い出したくない……」


彼女にとって中学はあまり

良い思い出のある場所ではないみたいだ。


「そ…そっか……ごめん…嫌な事聞いて」


「ううん、別にいいよ

それよりさ、丈太郎が好きな

アーティストとか聞かせてよ」


「好きなアーティスト?そりゃ勿論……」


その後2人は2時間近く

互いの事を語り合った。


「おっと、もうこんな時間か

そろそろ帰らねぇとな

明日も学校だし」


「うん、そだね」


2人は公園の出口まで歩く。


「んじゃ、俺こっちだからさ」


「嘘?私もそっち」


「え?マジで?じゃあ途中まで一緒に帰るか」


「うん」


それから約20分後……。

2人は途中で別れる事はなく

丈太郎が先に家へと着いた。


「……嘘………ここが丈太郎の家……?」


「お、おう……そうだけど?」


「私の家…………この隣」


「へ?」


なんと2人はご近所さんだったのだ。


「…プッ……ハハハハハ!

何かウケるだけど!」


「ハハハ……確かにな…

こんな近くに居たんだな~俺達って」


楽しそうに笑う丈太郎と咲空。

そんな2人を微笑ましく見るかの様に

月明かりが彼らを照らしていた。

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ダブリのジョー ゴリラバナナ @oatmeal

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