第4話「活動初日」

キーンコーンカーンコーン


帰りのSHRを終えて

俺、天竺丈太郎は

そのまま真っ直ぐ家に帰る……のではなく

家庭科室へと向かっていた。

なぜかと言うと今日から"柔術部(助)"とかいう

ワケの分からん部活動を始めるためだ。


ガラガラガラッ


着いて中に入ると誰もいなかった。

どうやら俺が一番乗りのようだ。

顧問の雫先生や

部員の夢咲が来るまで暇なので

俺は聖書を読んで待つ事にした。

そして10分くらい経った後に

夢咲が来た。


「…あれ?アンタ1人…?先生は?」


「さぁね、その内来るんじゃねぇか?」


俺がそう答えると

夢咲は俺から

やや離れた場所へと座り

カバンから"ジャンプ"を取り出して

読み始めた。


そして、それからまた

10分程経った頃に

顧問の雫先生が入ってきた。


「いや~、ごめんなさ~い

遅くなっちゃって……お?

2人とも揃ってるわね!

感心!感心!」


先生が到着し

早速部活を始める事となった。


「それじゃあ、まず始めにね……

昨日、部活申請書を出しました……

そしてなんと…本日を持って…

柔術部(助)は正式に部として

認められる事となりました!!

Yeah!! Fooooo!!!」


(テンション高過ぎだろ……)


丈太郎と咲空はそう思った。


「それでね、一応さっき校内中に

柔術部(助)のビラを貼ってきたの!

これなんだけど~……」


そう言って雫は

2人にビラを見せた。

そして2人はそれを読み上げる。


「「……柔術部(助)……

あなたのお悩み解決します……

放課後気軽にご相談に来てください…

活動時間、16時~18時…

場所、2階家庭科室……

ちなみに…現在部員も募集しています…

入りたい場合は1-A担任の雫に

相談を………」」


「へへん!!というワケですぅ!!

2人とも!!ご理解いただけた

かしらぁん!?」


「「は、はぁ………」」


「よっし!

じゃあ私は職員室に戻るから

ピンチになったら呼んでちょうだいね!

それじゃあ2人とも、ご武運を!」


そう言って雫は

家庭科室から出ていった。


「「…………」」


沈黙する2人。


「……なぁ…一応さ……

自己紹介とか…しておかないか?」


先に沈黙を破ったのは

丈太郎だった。


「……いいよ…アンタからどーぞ」


「ああ、俺、天竺丈太郎

既に知ってるとは思うけど

色々あって3留なうです

ちなみに中学時代は……」


「柔術で日本一でしょ?」


「え?……し、知ってたの?」


「…そりゃあよ~く知ってるっつの

だって私、アンタと中学同じだもん」


「え、マジ!?」


「大マジ、アンタが3年の時、私は1年」


「……そ、そうだったのか…」


「ちなみに去年同じクラス」


「マジか!?」


丈太郎は驚きの連続だった。


「んじゃ次は私ね、私は夢咲咲空

色々あって1留なう

中学時代はバレーで全国優勝

趣味は読書(ジャンプ)

よろしく」


「す、すげーな…

バレーで全国か……

高校で続ける気はなかったのか?」


「全くなかったね

中学でバレーやってた理由は

ほとんどは内申点のためだったし」


「ほぇ~…」


「アンタはどうなの?

柔術続けてるの?」


「いや、MMAに転向した」


「へ~そうなんだ

もう試合とかしてんの?」


「アマでたまに」


「ふ~ん」


ガラガラガラ


2人がそんな会話をしていると

1人の女子生徒が室内へと入って来た。


「あの~…すいません…

貼り紙見たんですけど…

ここ、柔術部(助)ですよね…?」


「え…?あ、ああ……」


「そう……だけど……」


2人がそう言うと

女子生徒は歓喜の表情になる。


「ッ!良かった!ここであってた!

あの!相談したい事があるんですけど

いいですか!?」

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