3、ぬぅ…

「そんなのはぼくでもわかりますよぉ」

「でも、口止めされてることをベラベラとは話せないでしょ」

うぬぅ、いつもどうでもいいことは喋ってるくせに…

彼女の会社で起こったこととか、その他諸々。

「でも、『母親がいる』という事実を100%信じていた、

 逆に言えば『父さんは間違っている』と100%思っていたわけじゃな

 いんでしょ。」

「それは…まぁそうですが。」

「じゃぁ、今日のところはこれで終わり!

 ほら、あのアニメでも見る?最新話録画しといたよ」


ほら、そうやってまた誤魔化そうとする…


まぁ、最新話も父さんの話と同じくらい、もしくはそれよりも気になってたからいいんだけど。



◆ ◆ ◆



ピンポーン。

チャイムが鳴った。

「はぁーい、

 だいちくん、お父さんいらっしゃったわよ」

「あーい」


「本当にもう、いつもありがとうございます」

「いえいえとんでもない!

 また遊びにきてね、だいちくん」

「うん!」



「ねぇ、お父さん?」

「うん?」


「…なんでもない。」

「なんだよ。」

お父さんの口元が笑ってる。

お父さんの嘘を問い詰めるのは、また今度にしよう。

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