第103話 怪盗クロネコの奮闘

ここは、神の世界ニャ

みニャさん、こんばんは、

フクさまを助けるヒーロー

〈怪盗勇者 クロネコ〉ですニャア。



ただ、困ったことが…


フクさま達の入れられている牢屋が見えるのですが、先に進めニャい!


透明な壁がありますニャ。


えっと、こういうときは…


!「罠サーチ」ニャ


…ニャにもマップにでニャい…


罠ではニャいのか?


うーん、


こうなれば、〈野生のカン〉をフル回転ニャ!



と、誰もいない神々の宮殿をウロウロするクロ、


お使いを頼まれた時にしか来ない主神の部屋まで来たのだが、あからさまにおかしな点が主神の部屋の前にある。


「扉の前にあんニャ石像あったかニャ?」


盾と剣を持った騎士が扉の左右に立っていた。


「鑑定」ニャ。


「神界の門番像」


「近付く者が有れば、石像からレベル200のリビングアーマーが侵入者を倒すまで無限に生み出される」


…絶対なんか隠してるけど、絶対近付きたくニャい!…


アルドさんのウソつき!


「クロ。お前にしか出来ない作戦だ!」


って、誰にも出来ない作戦じゃニャいのか?


でも、侵入者を排除するなら、主神も入れニャい…?


!どっかにスイッチが有るのニャ!


そうと解れば〈トレジャーハンター〉のスキルよ仕事をするのニャア。


と言って、


再び宮殿をウロウロするクロ、


普段は気にも止めない石像がやたら気になる…


「別に前からずっとここにある〈鷹〉の石像だけど…気になるニャア?」


と、ペタペタと〈鷹〉の石像をさわるクロが何かを見つける。


「この鳥の石像、コーモンがあるニャ!」


たまたま、肉球に触れた穴の感触に驚き、鷹の石像の後ろに周りこむクロ、


雄々しく翼を広げる鷹のそこには、尻の穴ではなく鍵穴があった。


「ニャんだ鍵穴かぁ。コーモンかと思っ……鍵穴ニャア!!」


クロは鍵穴を覗きこむ、端から見れば鷹のコーモンを覗きこむ猫というシュールな構図の石像のようでもある。


「これは難しい感じの鍵ニャ、時間が掛かるから使うしかニャい!」


とアイテムボックスから、摘まみのある短い棒を取り出して鷹の尻の穴に差し込み


〈クルッ〉っと〈ひねる〉…すると、


「ガッチャン」と音がなり鷹の近くの壁が「ゴゴゴっ」と動き、


入り口が現れた。


「当たりだニャ!」


クロは、喜びながらも用心して「サーチ」をかける。


マップに点が現れた。


「やっぱり、性格がアレな主神だから有ると思ったニャ、罠。」


クロは慎重に罠を外し通路を進む、


たどり着いた小部屋には、同じ形の台座が2つあり片方にクリスタルがあるが、もう片方には何もない。


そして、達筆なメモ書きを見つけたのだが、


〈右!ペンをもつ方がスイッチオン。〉


確かに現在右側にクリスタルが乗っている。


「アホなのかニャ?」


と呟きながらクロはクリスタルを左の台座に移動させた。


何も音はしなかったが、〈野生のカン〉が「手応えアリ!」と叫んでいた。


離れの牢屋に行く前に主神の部屋に続く通路を覗きこむと、石像がキレイさっぱり消えていた。


「よし!」


と決意し〈サーチ〉で確認しつつ部屋まで移動するクロだった。


しかし、到着した主神の部屋の扉の鍵は開いていた…


「あれほどのセキュリティーなら鍵なんか要らニャいか…」


と、変な納得をしながら部屋に入ると、部屋の端にまた空の台座があり、


また、メモが貼ってあった。


〈スイッチの石は机の引き出し〉


…アホニャの?…


クロは主神の机の引き出しを開けると、クリスタルとメモが二通入っていた。


〈結界のスイッチの石、外すとスイッチオン〉


〈神力の宝珠はベッドの下、キツイ麻痺の呪いが掛けて有るから触る前に「呪解」を忘れずに〉


と書いてあった。


「危ないニャ、アホで助かったニャ。」


クロはクリスタルを〈カチャリっ〉と台座に戻してから、ベッドの下を覗きこむ。


有るニャ…


と呟き、〈記録〉スキルで確認をしつつ濾しとりを始める。


うーん、ベッドの下から出せないから、

ベッドごとだニャ


「濾過」


「サイズ メートル」

「持続時間 十分」


「濾過膜A 指定枠1 〈無し〉」

「濾過膜B 指定枠2 〈呪い〉〈神力〉」


パッケージ あり


「発動ニャ!」


と、クロは、濾過ポイでベッドごとパサリと虫取網で捕まえるかのように床までグッと濾しとった。


スキルを解除して、ガードを拾うが…


思ったよりもガードが多い、


金色に輝く「神力 」

紫色の「麻痺 大の呪い」

紫色の「霧散の呪い」

紫色の「依存の呪い」


知らない呪いが有るのニャ?


えっ?主神様のベッドが呪物なのかニャ?!


と、驚くクロだが、


「!考えるのは後ニャア!」


今、フク様を助けるられるのは〈怪盗勇者 クロネコ〉だけニャア!


と、離れの牢屋に急ぐクロ、


先ほどの見えない壁も無くなり牢屋の扉までこれた。


「フクさま!」


と呼ぶ声に 商神 フク が振り向く


「クロ、どうしたんだい?」


と聞く飼い主に


「助けに来ましたニャ!」


と扉の鍵を魔法鍵で開けながら答える猫


「主神達は?」


と聞いてくる技能神さまに


「地上で暴れてるニャ。」


と答える。


クロは辺りを見回すと、横になり眠っている 〈学神様〉〈狩神様〉 それにボロ雑巾な 〈武神様 〉と 部屋の隅には、2人の 魔神様もいた。


「全員いるのニャね。」


と確認して、アイテムボックスから〈フルポーション〉を出して、


「手分けして飲ませて欲しいニャ!」


とお願いし、クロは一番ボロボロの ラウドさまに〈フルポーション〉を飲ませた。



神々が目覚め、状況を説明したクロは、


「濾過EX」を出して、


「これで魔力を濾しとればいくら神様でも気絶するニャア。


コレを使って勇者達を止めて欲しいですニャ!」


とお願いし、


「そうニャ!

主神のベッドの下の物を濾しとったら

こんな物が、ついでに出てきたニャ。」


と、呪いのカードを見せた。


学神様 と 技能神様 が


「しまった!」という顔をしたあと、


技能神様が


「呪いを直接かけるのは神界では不可能だし、鑑定眼鏡で間接的に主神を見ても呪いが無い筈だ…


呪われた寝具を使ってたのなら、間接的なスキル行使だし、使用者は呪物に触れている間に、ステータスを微量に吸い出して霧散させ、その寝具に横に成ることに依存させるおまけ付きだぜ…疲れも、悩みも、ついでにステータスも軽減させる効能の寝具だ。」


と説明してくれた。


学神様が、


「もう、アレを主神にと崇めるのには無理があります。

神々総出で止めますわよ!


多分ですが、メディカよりレベルが下になったタイミングで、根こそぎ判断能力を奪われていると思う…そうでないと、今回の事は説明がつきませんわ。」


と言ってから、二人の魔神の方を向き、


「あなた達の王子様が頑張ってるんだから、あんた達も行くのよ。


準備しなさい。」


と指示をだした。



神々が準備をしている間に、

クロは治癒神の神力の宝珠を探したが全く見当たらなかった。


置いて行って無いのかも!

という結論にたどり着いたころには、

出撃の用意が整っており、


ラウド様が「リベンジだ」と興奮していた。



とりあえず助っ人は、たっぷり連れて行けそうニャ。



商神 フクさま の神船 〈宝船〉に神界に捕らわれていた七人の神様達が乗り込み、ミスティルに向かった。

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